登山

登山や自然が好きで、自分自身でもよく登る人は、週末に副業として山岳ガイドをはじめてみるのはどうでしょうか。

ここでは山岳ガイドを副業として始めるために必要な能力や技術力、具体的にどのような仕事をするのか、そもそも「儲かる」のかなどについて解説します。

本当に「始めたい!」と思った人のために、山岳ガイドを募集している旅行会社も紹介しているので、興味がある人は必見です。
 





 

始めるためには

まずは何より「山を知っていること」

山岳ガイドを始める上で最も重要なことは「山を知っていること」です。

例えば山と渓谷社が主宰する「トラベルギャラリー・旅の本棚」ツアーでは山岳ガイド(登山・ハイキングツアーのガイド・添乗業務)を募集していますが、その場合の応募資格には「山と接客業が好きな方」とあります。

毎日新聞旅行の登山ガイド募集の応募資格は「55歳くらいまでの健康で明るい、登山経験が豊富な方」です。

山の楽しさや魅力を伝えるのはもちろんですが、その厳しさや危険についても理解し、伝えられる人でなければ山岳ガイドは務まりません。

とはいえ、各社によって採用基準は異なるので、ここで紹介する旅行会社などにどれくらいの経験がいるのか直接尋ねてみるのが一番の近道と言えます。

山岳ガイド・登山ガイド・自然ガイドの「資格」は必要か

山岳ガイドには公益社団法人日本山岳ガイド協会が設けている資格試験があります。同協会が認定している資格は山岳ガイド、国際山岳ガイド、自然ガイド、登山ガイド、スキーガイドにフリークライミングインストラクターの6種類。

山岳ガイドと自然ガイドには『ステージⅠ』と『ステージⅡ』が、登山ガイドには『ステージⅠ~Ⅲ』とそれぞれ『階級』も設けられています。

自然ガイドは文字通り登山道の散策時に自然の解説を行う仕事、登山ガイドは山頂を目指すことを目的とする登山をサポートする自然ガイドよりもややタフな仕事を、山岳ガイドは縦走などの本格的な登山のガイドをするさらにタフな仕事を請け負うことができます。

では山岳ガイドをするのにこの資格がなければ営業ができないのかと言えば、そうではありません。

必須の資格ではないのです。

ただし、山岳ガイドを募集している会社の募集要項には必ずと言っていいほど「資格保持者を優遇する」という記載があるので、山岳ガイドをする上で持っておけばメリットは大きいでしょう。

【山岳ガイドの資格(日本山岳ガイド協会の場合)】

  • 山岳ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)
  • 国際山岳ガイド
  • 自然ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)
  • 登山ガイド(ステージⅠ~Ⅲ)
  • スキーガイド
  • フリークライミングインストラクター

「心構え」も大事!

2006年の冬、北アルプス白馬岳(標高2932m)への登山ツアーの引率をした山岳ガイドが、天候の悪化を予測し間違えてツアー客4人を凍死させたという事件がありました。

引率した山岳ガイドは業務上過失致死の疑いで書類送検され、最終的には1遺族に対してガイドが6500万円の賠償金を支払うことで和解しています。

山岳ガイドをするにはこのようにハードな登山をガイドするということは、お客さんの命を預かる仕事でもあるという「心構え」も必要です。

もちろん無積雪期の低山の正規ルートなどに限ってガイドの仕事を選ぶことも可能なので、これから山岳ガイドに挑戦しようと思う人は、自分の実力にあった仕事を選ぶこともできます。

初期投資はほとんどいらない

山に登ったことがない人でもない限り、山岳ガイドをするにあたっては初期投資はほとんど必要ありません。

なぜなら登山に必要な靴やザック、ウェアなどは「山岳ガイドをしよう」と思う人なら既に持っているはずだからです。その意味では趣味の延長でできる副業の1つとして、魅力的な選択肢と言えます。
 





 

仕事内容とこれから

山岳ガイドって何するの?

では山岳ガイドは具体的にどんな仕事をするのでしょうか?これは仕事を斡旋してくれる旅行会社のツアー内容によって大きく変わります。

道程自体はタフではなく、道中に咲く花々や草木を鑑賞するのが目的のツアーであれば植物の解説などが主な仕事になりますし、山頂に立つのが目的のツアーであれば植物や地形・地質の解説の他にも、お客さんの安全確保なども仕事内容に含まれるでしょう。

「どんな仕事をするのか」よりも「どんな仕事がしたい・できるのか」という視点で、得意分野を旅行会社にアナウンスしておけば、先方も仕事を回しやすくなります。

ハイキングや登山をする人は減っている?

総務省が2012年に発表した資料「統計からみたスポーツの今昔」によれば、登山・ハイキングを含むあらゆるスポーツの行動者は20年間ものあいだ、一貫して低下しています。

これだけを聞くと登山・ハイキングの利用者もこのままどんどん減り続けるかのように思えて、「なんだ今から始めても仕事は減る一方か」と思うかもしれません。

しかし同じ資料によれば25年前と現在の60歳以上のスポーツ行動を比較すると、どちらの時代でも1位は「登山・ハイキング」なのです。であれば副業として見る限り、山岳ガイドは言わば最も手堅い分野ということになります。

山岳ガイドは「儲かる」?

山岳ガイドの報酬ははっきり言って実入りのいいものではありません。例えば先ほど挙げたトラベルギャラリー・旅の本棚の登山ツアーガイドの報酬は技術や経験によって幅はあるものの日給は1万円~2万円です。

例えばクラブツーリズムが販売している「静寂の秘境西大台ケ原」という日帰りツアーの場合、新大阪を7時30分にして、登山をしたあと新大阪に帰ってくるのは19時30分を予定しています。

拘束時間は12時間以上。時給は約800円~約1700円程度です。副業で山岳ガイドをする場合、月に最大でも4~8日程度しか勤務できないと考えると、それほど大きな収入にはなりません。

ただしこの仕事の最も大きな魅力は「お金をもらって楽しい登山ができる」という点です。そのプライスレスな報酬を含めると、山好きにとっては魅力的な仕事になるのではないでしょうか。

おすすめサイトは?

クラブツーリズム

http://www.club-t.com/theme/sports/aruku/staff/
特徴はツアーのレパートリーが豊富なこと。自分の得意分野が見つかるかも。

トラベルギャラリー・旅の本棚

https://www.yamakei-online.com/job/job_detail.php?id=1184
東京・大阪・福岡での募集。「経験不問」が最大のメリットです。

毎日新聞旅行

http://www.maitabi.jp/
現在山岳ガイド募集のページは無くなってしまいましたが、東京近郊に住んでいる人は打ち合わせもツアー発着地も東京のこちらの旅行会社がおすすめです。

似ている副業は?

  • スキーガイド
  • フリークライミングインストラクター
  • 山ヨガガイド
  • フィットネストレッキングインストラクター
  • リバーガイドなど

まとめ

お客さんの命を預かる仕事とはいえ、山岳ガイドは山好きにとっては憧れの仕事の1つ。

単独での登山も楽しいですが、お客さんとともに登り、一緒に自然の美しさや山の良さを共有する登山も別の楽しさがあります。

山が好きで、かつ初心者を丁寧に指導できる面倒見の良さを備えている人には、山岳ガイドという選択肢は絶好の副業と言えるでしょう。