あなたは、コピーライターになりたいと思ったことはありますか?

コピーライターは、企業に代わって、商品やサービスに関する広告のコピー(言葉の部分)を考え、書く仕事です。

一時期の熱狂的な「コピーライター・ブーム」は過去のものになったとはいえ、この職業に憧れている方は依然多いのではないでしょうか?

「でも本当に未経験からでもなれるの?」

これは当然の疑問だと思います。

そこで今回は、「未経験からめざすには?」という観点から、コピーライターになる方法を検討していきます。

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避けられない弱点

未経験からコピーライターをめざす場合、まず最初に「壁」となることがあります。

それはズバリ、「作品がないこと」です。

当然といえば当然ですが、このことは未経験者の最大の弱みともいえます。

では、この弱点を克服するには、どうしたらいいのでしょうか?

具体的な提案に入る前に、未経験者の逆の立場である「実務経験者」のケースを見てみましょう。

実務経験者の就活

実務経験者の場合、コピーライターとして実際の業務を行っているわけですから、日々それなりの「作品(=成果物)」が積み重なっていきます。

転職活動を行う場合には、それらを集めたポートフォリオ(作品集)を、先方の採用担当者に見せることになります。

コピーライターというのは「物づくり」の仕事なので、何らかの「作品(=成果物)」が、その人の実力やセンスを推し量る材料になるからです。

ところで、そうした「成果物」を採用担当者に見せることが、そんなに重要なことなのでしょうか?

とあるエピソード

著名なアートディレクター・佐藤可士和さんのエピソードです。

佐藤さんは、新卒で広告代理店のデザイナー就職試験を受けた際、美術大学時代の4年間で制作した膨大な数の作品を「軽トラック1台分」も持ち込んだそうです。

もしあなたが企業の採用担当者で、こんな学生に出会ったら、どう思うでしょうか?

私だったら「即採用!」です。その方法の斬新さ・過剰さも含めて、「他と違うことをする」「おもしろさを追求する」という意図が感じられるからです。

コピーライターとデザイナー、ジャンルは多少異なりますが、このエピソードからも「成果物を見せる」ということがいかに大切か、ということが分かるのではないかと思います。

弱点克服のために

さて、未経験からコピーライターをめざす方法に戻ります。

実務経験者の例や、佐藤可士和さんのエピソードからも分かるのは、コピーライター、デザイナーといったクリエイティブ分野の就職活動においては「作品(=成果物)」が重要だということです。

つまり結論を端的に言ってしまうと、

「未経験者であってもポートフォリオ(作品集)を作ってしまえばいい」

ということになります。

上で「作品がないこと」が未経験者の弱みと書きましたが、就職試験の際に見せるためのポートフォリオ(作品集)を用意することができれば、この最大の弱点を克服することができるのです。

未経験のあなたに提案する3つの方法

では、具体的には、どうすればいいのでしょうか?

コピーライターをめざす未経験者が、実務経験者のようなポートフォリオ(作品集)を作成するためには、「実際の広告制作やそれに近い課題」に取り組み、何らかの「作品(=成果物)」を産み出す必要があります。

そのために有効な、3つの方法をご紹介します。

1.養成講座に通う

広告業界の出版社や団体が主催するコピーライター養成講座に通う方法です。

こうした講座では、広告制作に必要な基礎知識はもちろん、課題に取り組むことでコピーライティングに必要な基本的なスキルを磨くことができます。

例えば「下駄のコピーを書け」といった課題も出されます。こうした漠然としたお題は、柔軟な発想力を磨くための訓練でもあります。

ポートフォリオ(作品集)を作成するといった観点からは、より実務に近い「実在の商品やサービス」を想定した課題が望ましいです。

そうした“リアル系の課題”が多い講座を選んで受講するといいでしょう。

あまり知られていない養成講座のメリットとしては、受講生のみが閲覧できる求人が存在している場合があることです。受講生向けの求人であるため、「未経験歓迎」「勉強中OK」といった未経験者には嬉しい条件のものが多いのが特徴です。

デメリットとなり得るのは、受講生個々人の“熱意”に差があること。

ひどい場合だと、ろくに課題も提出せず、単に講師として来る有名なクリエイターに会いたいだけというミーハーな人も。

友人を作るのはいいことですが、やる気のない仲間に流されないよう自律が必要な面もあります。

2.賞・コンテストに応募する

出版社や放送局、各種団体が主催する公募の賞・コンテストに応募する方法です。

ほとんどの場合、「実在の商品やサービス」を想定した課題が出されます。

こうした課題に取り組んで作成した作品をまとめることでポートフォリオ(作品集)を作ることができます。

また、こうした賞・コンテストは、応募規定が「プロアマ不問」とされている場合が多く、大手広告代理店の若手クリエイターたちが普通に参戦したりしています。

そういう意味では、未経験者にとっては「力試し」のいい機会になりますし、受賞することができればより大きな自信につながるでしょう。

賞・コンテストには様々な形式のものがありますが、近年多くなってきているのは、地方のラジオ局が主催するラジオCMコンテストです。テレビCMのプランナー・クリエイティブディレクターとして活躍中の澤本嘉光さんは、コピーライターになりたての頃、ラジオCMの制作に取り組む中で秒数の感覚をつかみ、それが現在テレビCMの企画をする際の基礎になっている、と語っています。

その点、将来的にテレビCMの分野に進みたいと考えている方にもオススメの方法といえるでしょう。

3.完全な独学で作る

例えば、実際の新聞広告・雑誌広告などをスクラップし、そこで実際に使われているコピー以外の自作コピーを数多く考え、ポートフォリオ(作品集)としてまとめるという方法です。

普通、既存のコピーというのは、その出来がよければよいほど、こちらの発想力の広がりを制限してくるものです。

その制約を乗り越えてコピーを書くことは、新しい切り口を見つけるコツや、発想の柔軟性を鍛える訓練にもなります。

コピーライティングの実務においても、既にあるコピーの問題点を改善し、新たなコピーを提案するという場面が多々あります。

広告物というのは、基本的には無料(あるいは軽負担)で手に入れられるものです。その点、この方法は経済的に考えて、実に効率的ともいえます。

この方法は、とある有名コピーライターがご自身の初めての就職の際に使った手段として紹介していた内容を元にしています。

注意すべきは、1、2の方法と比べて「締切」などの概念がないため、より高度な自律が求められる点です。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

上で紹介した3つの方法は、未経験者がコピーライターをめざす際の弱点を克服するため、「ポートフォリオ(作品集)を作るには?」という観点から、チョイスしたものです。

これらは、どれか1つを選ばなければならないというものではありません。

ぜひ、ご自身の性格や目的に合った方法を選び、適宜組み合わせてお使いいただければ幸いです。