肝斑とは?シミとは違うの?原因と治療法と薬~肝斑の疑問をわかりやすく解説

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肝斑イラスト

「美白ケアをしても、いっこうにシミが良くならない」「スキンケアするほど、かえってシミが広がってる気がする」「シミの範囲が広くて、お化粧でも隠せない!」こんな症状に悩まされていませんか?

シミにはいくつかの種類がありますが、一般的な美白ケアでは効果が得にくいシミとしては「肝斑(かんぱん)」が挙げられます。

ふつうの「日焼けによるシミ」とは原因や対策が大きく異なり、治すためには「肝斑用の治療」を行うことが必要になるのです。

ここでは肝斑の見分け方やその原因、治療法や注意点について詳しく解説していきましょう。

紫外線が原因のシミやソバカスの対策にはこちらのページがおすすめ。美白成分の解説や肌悩み別の美白化粧品選びを解説していますので、是非参考にしてみて下さい。

シミの無い白い肌へ!徹底美白したい人のための化粧品・食事・サプリとは?




ふつうのシミとどう違うの?肝斑の見分け方

虫めがねと男の子

肝斑(かんぱん)とは、30代~40代の女性にできやすい薄褐色のシミのことを指します。

ある製薬会社が行ったアンケート調査では、25才~50才の女性のうち、30%以上が「肝斑」と考えられるシミがあると判明しました。

「肝斑」は通常のシミとは異なる以下のような特徴があります。現在のシミの状態と「肝斑」の特徴を照らしあわせてみましょう。


できる場所は「頬・鼻の下」等

女性の頬

肝斑ができやすい箇所のナンバーワンは「頬骨」のあたりです。頬骨の上側にかけてが最も現れやすい他、頬の広い範囲で出来ることもあります。

また鼻の下(口元の上)、口元周辺、額等も肝斑のできやすい箇所です。


目の周辺には出てこない

肝斑は目の周辺(眼窩の内側)にはできにくいという特徴を持っています。

その他の範囲の肌の色が薄茶色にくすむため、目の周辺のみが色が抜けたように白っぽくなり「逆パンダ」のように見えることもあります。


左右対称にできる

タージマハル

通常のシミと大きく異なるのが、「左右対称にできやすい」という点です。蝶や鳥が羽を広げたように顔の外側に向けて広がったり、両方の頬骨から目尻の下のあたりに小さく広がることもあります。

なお「必ず形・大きさが左右対称」というわけではなく、左右で少々大きさが違ったり、上下の差が生まれることもあります。


色は薄茶色(薄褐色)

ベージュ

通常のシミ(老人性色素斑)の場合、その色は黒~焦茶色・濃い褐色をしています。しかし肝斑は色が薄く、薄茶~薄褐色(濃いベージュ、薄いキャラメル色)といった色合いです。

範囲が広い場合には、シミというより肌がくすんだように見えることもあります。


形が不明瞭

日焼けによるシミは、原則として丸い形をしていますね。またソバカス(雀卵斑・じゃくらんぱん)の場合、その形は「三角」や「四角」のように直角的で尖っています。

これに対し、「肝斑」は特定の形状をもちません。頬骨全体にモヤモヤ、ぼんやりと薄く広がった状態になっていたり、太い筆でサッと色を乗せたような広がり方をすることもあります。


輪郭がぼやけている

ぼんやりした風景

日焼けによるシミは、シミとそうでない箇所の差がくっきりとしているものです。特にメラニン色素が集まって濃い黒色になっている場合、ホクロのように形状がハッキリと見て取れます。

ところが肝斑の場合、「どこからどこまでがシミなのか」という境がハッキリしていません。

モヤモヤ、ボンヤリとした形であるため、初期の時点では「シミ」であることに気付かないケースも多く見られています。


肝斑ができる原因は?

通常のシミ(老人性色素斑)の場合、その原因の多くは紫外線B波(UVB)等の刺激によるメラニン色素の発生です。ごく簡単にいえば「日焼けするとシミができる」というわけですね。

ところが「肝斑」の場合、主な原因は紫外線ではありません。以下のような原因がシミ生成の要素となると考えられています。


ホルモンバランスの乱れ

女性悩む

最も大きな要因と考えられているのが「ホルモンバランスの乱れ」です。「ホルモン」とは内分泌腺から血液に分泌され、体の中の様々な働きを調整する役割を果たす物質のことを指します。

ホルモンには「甲状腺ホルモン」「副腎皮質ホルモン」等の様々な種類がありますが、肝斑に大きな影響をもたらすのは「黄体ホルモン(おうたいホルモン)」であるプロゲステロンであると考えられています。


プロゲステロンは生理や排卵に関わる

黄体ホルモン「プロゲステロン」とは、女性ホルモンの一種です。妊娠を助けたり、基礎体温を上げたりと、主に女性の生理や排卵に関わる働きをしています。

ちなみにもう一方の女性ホルモンは「エストロゲン」で、こちらは女性らしい体を作ったり、自律神経を整える・子宮の内膜を厚くするといった働きを行う物質です。


プロゲステロンが過剰になるとメラニン色素が大量に

2つのホルモンは体の中で均衡を保ちながら分泌されていますが、分泌バランスが崩れて黄体ホルモンが過剰に分泌されると、肌が敏感な状態になっていきます。

更に「メラニン色素」が大量に生産されるようになるのです。このメラニン色素が「肝斑」の元となるわけですね。

ホルモンバランスが乱れる理由としては、以下のようなものが考えられます。


ホルモンバランスが乱れる理由

妊婦02

妊娠・出産

「肝斑と黄体ホルモンとの関係性」が着目されるようになったのは、妊娠した女性に肝斑ができやすいためです。

妊娠をするとエストロゲン・プロテストロゲン共に分泌量が急上昇し、更にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンも増加します。

妊娠3ヶ月後程度になるとhCGの量は激減しますが、エストロゲンは出産に至るまで増え続けますし、プロゲストロゲンの分泌量も不安定に動き続けます。

ホルモン分泌が常に激しく変動し、乱れやすい状態なのです。

妊娠で白髪が増えたという女性も少なくありません。これもホルモンバランスが原因です。

ホルモンバランスの乱れが原因で薄毛になってしまう理由を下記のページで解説しています。興味のある方は是非参考にしてみて下さい。

特徴も原因も違う?男性・女性の薄毛・抜け毛の違い


ピルの摂取

妊娠以外の原因として、ピル(経口避妊薬)の長期的な摂取も指摘されるようになっています。ピルは脳に「妊娠をしている」と捉えさせるための薬です。

つまり脳や身体にとっては妊娠しているのと同じ状態であり、それだけホルモンバランスも乱れやすいというわけですね。

近年ではPMS(月経前症候群)予防やニキビ対策のために低用量ピルを使用する女性が増えたため、若年性の肝斑が出るケースも目立っています。

通常であれば30代~40代で目立ち始める「肝斑」ですが、ピル摂取の場合だと20代前半からでも目立つことがあるのです。


更年期症状

更年期(更年期障害)とは、閉経を迎える50才前後に起こる女性の心身症状を総称したものです。

女性ホルモン「エストロゲン」は30代半ばに分泌のピークを迎え、卵巣機能が低下する毎に分泌量が減っていきます。

これによって起こるのが「イライラ感」や「冷え」、「のぼせ」、「体の重さ」といった症状です。更に「肝斑」が症状として見られることもあります。

「肝斑」は、ホルモンバランスが乱れやすい30代~50才頃に最も目立つシミという特徴を持っています。

閉経すると悪化が止まる

通常のシミ(老人性色素斑)の場合、その大きさや濃さは年齢が上がるに連れて濃く・大きくなるものです。

しかし「肝斑」は、閉経をするとホルモンバランスが再度安定するため、それ以上の悪化をしなくなる、もしくは薄くなる傾向を見せますし。これが通常のシミと肝斑の違いの1つです。

ホルモンバランスの乱れで現れる肌悩みには「大人ニキビ」もあります。下記のページで大人ニキビについて、通常のニキビとの違いや原因・対処法を解説しています。是非参考にしてみて下さい。

大人ニキビには洗顔?サプリ?皮膚科?10代ニキビとの違いと対策


ストレス

仕事中の女性

近年注目されているのが「ストレス」による肝斑の発生です。これには「自律神経」と「ホルモン」が強く関連しています。

自律神経とは

大脳の「視床下部」で作られる神経で、脈拍・血流・脳の働き等、様々な体の機能を調整する神経です。自律神経には以下の2つがあり、どちらか一方が前面に出て体の機能をコントロールしています。


交感神経

仕事で握手

興奮や緊張をした時や集中した時等に出て来る神経です。心臓の脈拍を上げたり血管を縮める、胃腸への血流を抑制する等の働きを持ちます。

カンタンに言うと「起きている時や昼間」に主に活動する神経ということになります。


副交感神経

寝る女性

リラックスした時に出てくる神経です。心臓の脈拍を落とし、血管をゆるめて血流を良くします。「眠い時、眠った時、夜、落ち着いている時」等に活動しやすい神経です。


自律神経の乱れがホルモン分泌に影響する

本来、上記の「交感神経」「副交感神経」は交代に出てきて働くものです。ところが生活時間の乱れや働きすぎ、悩み等の精神的ストレスを受けると、「交感神経」ばかりがずっと出てくることになります。

このような自律神経の乱れが直撃するのが、視床下部のごく近い場所にある「脳下垂体(のうかすいたい)」です。

この脳下垂体とは、体内のホルモンを分泌するいわば「ホルモン工場」。お隣の自律神経の様子がおかしいと、その影響を受けてホルモン分泌も乱れてゆくのですね。

特に脳が慢性的なストレスを受けている場合、肝斑の生成への影響は大きくなると考えられています。

ストレスでなるといえば白髪もそう。しかし、白髪になるのは悪いストレスだけではないんですよ。

下記のページでは、どのようなストレスが白髪に影響するのか?またその他の原因は改善する方法を詳しく解説しています。白髪に悩む方はこちらもおすすめです。

白髪になる原因・習慣をチェック!改善のためのアドバイスも


過剰な摩擦刺激

女性顔イラスト

肝斑が悪化する原因としては、摩擦による刺激の影響も大きいと考えらます。皮膚が摩擦等の強い刺激を受けると、脳は「肌がダメージを受けた」と捉え、肌を強くするために「メラニン色素」を多く生成します。

そのため摩擦を多く受ける箇所は、一度できた肝斑の色が濃くなったり、大きくなったりしやすいのです。

日常生活で肌が摩擦を受けるシーンとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

青クマの原因

  • 洗顔による摩擦
  • クレンジング(化粧落とし)による摩擦
  • タオル・シーツなどとの接触による摩擦
  • マッサージによる摩擦
  • ピーリング・ゴマージュによる摩擦

肝斑にマッサージは逆効果

特に近年問題視されているのが、マッサージやピーリングによる摩擦刺激です。日焼けによるシミの場合、肌の古い角質を取る「ピーリング」でシミが薄くなることはあります。

またマッサージによる血行の改善で肌のターンオーバーが活性化され、これが日焼けシミの改善に繋がることもありうるでしょう。

しかし肝斑の場合、このような「外側からの改善法」は残念ながら大きな効果を生みません。強い摩擦刺激で却って肝斑を悪化させたり、再発をしてしまうケースが多いのです。

過剰な摩擦で起こる肌状態には「インナードライ肌」があります。

インナードライ肌とはどんな状態なのか?またその改善方法を下記のページで解説しています。是非参考にしてみて下さい。

インナードライ肌になりやすい6つの原因と対策~改善は洗顔や食べ物で


肝斑の治療法と薬

薬を飲む

日焼けによるシミの場合、シミ対策にはスキンケアによる肌の外側からの対策と、食事やサプリメントによる内側からの対策で「美白ケア」を行いますね。

しかし「肝斑」の場合、上記のような市販品による美白ケアは根本的な対策とはなってくれません。「医薬品(内服薬・外用薬)」「漢方薬」等を使用した医療的な対策を行うことが必要です。

では具体的にどのような薬が使われるのかを見ていきましょう。


内服薬:トラネキサム酸(トランサミン)

歯ブラシ

「トラネキサム酸」とは人工的に合成されたアミノ酸の一種で、止血剤や抗炎症剤としても使用される薬です。

また歯茎からの出血を抑える作用があるため、歯肉炎を防ぐためのハミガキ等にも配合されます。

なぜ止血剤に使われる「トラネキサム酸」が肝斑に使用されるのでしょうか?それは、このアミノ酸に肝斑の根源「メラノサイト」の活性化を抑える作用があるからなのです。


初期の段階でメラニン発生を抑える作用

女性ホルモンが乱れると、血液中のタンパク質分解酵素「プラスミン」の分泌量が増えます。このプラスミンがメラノサイトを活性化させ、メラニン色素を増やす・・・これが肝斑ができる要因のひとつというわけですね。

「トラネキサム酸」は、血中のプラスミンの働きを抑制する作用を持っています。メラノサイトが活性化する手前で伝達ルートをブロックし、初期段階でシミの発生を抑えてくれるのです。


処方薬・市販薬どちらもある

皮膚科・美容皮膚科での肝斑の治療では、この「トラネキサム酸」を使用するのが基本となっています。

原則1日2回~3回の服用を最初に4週間続け、効果が確認されたところで更に4週間~6週間程度の服用を行うのが一般的です。

なお、近年では「トラネキサム酸配合薬」が市販薬としても販売されるようになり、肝斑治療をより気軽に行えるようになりました。

トラネキサム酸配合薬:トランシーノII

トランシーノⅡ

画像引用:第一三共ヘルスケア

市販で唯一の肝斑治療薬

2007年から発売開始され、市販薬で唯一「肝斑」の治療薬と表記できる「トランシーノ」の改良型です。従来の「トランシーノ」よりも有効成分の配合量が上げられています。

1日3回から1日2回(1回2錠・朝/夜)と服用回数が減少したことで、より継続した服薬治療がラクになったと言えるでしょう。
※商品情報は公式サイト等で最新をご確認ください。


購入は薬剤師対応のみ

なお「トランシーノII」は第一類医薬品に分類されるため、薬剤師の在籍する薬局でしか購入できません。該当する薬局でも、薬剤師が不在中の場合には販売できない決まりです。

また購入時には薬の効能・効果・使用上の注意・副作用等についての説明を薬剤師から受けることが義務付けられています。


内服薬:L-システイン

シミイラスト

「L-システイン」もトラネキサム酸と同様にアミノ酸の一種です。爪や髪・肌等にも元来多く存在するアミノ酸なのですが、食事等からの多量な摂取が難しく「欠乏しやすいアミノ酸」とも言われています。

L-システインは肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を正常化する働きを持ち、角質層に沈着したメラニン色素(=シミ)を体外へ排出するための助けとなる成分です。

また体内のビタミンCの働きをサポートし、メラニン色素の生成を抑える働きも持っています。


一度で多量の吸収はできない

ただし一度に多量に服用しても体外に排出されてしまうため、1日2~3回の服用といった形で定期的な摂取を行うことが必要です。

皮膚科・美容皮膚科では、前述した「トラネキサム酸」と合わせ、「Lーシステイン」を組みあわせて処方するケースが多くなっています。


内服薬:ビタミンC

赤緑ピーマン

ビタミンCはメラニン色素を生成する酵素「チロシナーゼ」を抑制する働きを持ち、シミの悪化・肥大化等を防ぎます

またビタミンCは肌の元となるコラーゲン・エラスチン等を作る時の強力なサポートをする栄養素であるため、定期的な摂取を行うことで肌のターンオーバーが活性化され、シミの体外への排出もサポートしてくれます。

L-システインと同様、ビタミンCも体内に維持できる量に上限があり、一度の多量摂取では尿として排出されてしまう成分です。そのため服薬治療においては1日2回~3回の定期服用でビタミンC不足を防いでいきます。

美肌のビタミンとして有名なビタミンC。でも誤解されやすいビタミンでもあるんです。「柑橘類をたくさん食べている」ではキチンと摂取できていないかも。

下記のページでビタミンCの誤解しやすいポイントや効果的に摂取するコツを解説しています。是非参考にしてみて下さい。

ビタミンCのウソホント!誤解しやすいポイントと本当の効果とは


外用薬:ハイドロキノン

真っ白の女性

ハイドロキノンは強い漂白作用(美白作用)がある成分です。メラニン色素ができるのを抑えるだけでなく、色素の元である「メラノサイト」そのものを減少させる作用を持っています。

また皮膚に沈着したシミに対しての働きかけも行うため、従来の美白成分の主な働きである「シミの予防」だけでなく「できてしまったシミへの対処」が可能であるとして注目される存在です。

従来の美白成分に比べ、その力は100倍以上であるとも言われています。

刺激が非常に強い成分であるため、誤った使用をすると白斑・炎症といった重篤なトラブルを引き起こす可能性があります。使用前には必ず医師・薬剤師の指導を受け、注意点をきちんと守った上で使用してください。

漢方薬:当帰芍薬散料

当帰

当帰(とうき)・白朮(びゃくじゅつ)・芍薬(しゃくやく)等の生薬が配合されている漢方薬が当帰芍薬散料(とうきしゃくやくさん)です。

血(けつ)の流れを正常にし、冷えや生理不順、手足の冷え等を改善していきます。血行不良・冷えによるホルモンバランスの乱れを整えていく薬です。


漢方薬:加味逍遙散

ハッカ

当帰(とうき) 芍薬(しゃくやく) 白朮(びゃくじゅつ)の他、牡丹皮(ぼたんぴ)、甘草(かんぞう)、 薄荷(はっか)等の10種の生薬を配合した薬です。かみしょうようさん、と読みます。

巡りが悪くなり上半身に向かって熱のたまった体をほぐし、女性ホルモンの乱れを調整していきます。肝斑治療だけでなく、更年期障害全般にもよく用いられます。


レーザー治療はNG?

紫外線でできる通常のシミ(老人性色素斑)とは異なり、肝斑についてはレーザー治療は原則NGであるとされています。

従来のレーザー治療の場合、レーザー照射が刺激となり、色素斑(シミ)が却って大きくなったり、色が濃くなったというケースも多々見られているのです。


肝斑と通常のシミがあるところは最も危険!

特に「肝斑」と「その他のシミ」が混在している場所にレーザー照射をすると、「その他のシミ」が薄くなっても、肝斑だけが濃くなって目立つということがあります。

「シミがあるからレーザー治療をしよう!」と安易に決定してしまうのは危険です。「どうしても」という場合には、シミ治療の経験が豊富な美容皮膚科・美容クリニックで、肝斑の可能性を考慮した上での治療法を相談した方が良いでしょう。

美容皮膚科の受診の前に抑えておきたい治療の種類や相場などは「エステ・クリニック・皮膚科でできるシミ対策の違いとは ~ ガンコなシミにはイオン導入?レーザー治療?」で詳し解説しているので一緒にご覧ください。


肝斑を予防するには?

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肝斑は、女性であれば誰もが起こりうるシミです。「いま大丈夫だから」と言って、今後も肝斑ができないとは限りません。

また一度起こると再発しやすいシミでもあるため、完治後も日々の生活に注意をしていくことが大切になります。

肝斑を予防し、また再発をさせないためには、どのような点に気をつけていけば良いのでしょうか?


生活習慣での予防

お湯につかる

睡眠不足・就寝/起床時間の乱れを避ける

ホルモンバランスが乱れる一因である「自律神経の乱調」は、睡眠不足や体内時計の狂いによっても起こります。以下のような生活習慣の場合、自律神経が乱れやすい状態です。

  • 1週間の睡眠時間平均が6時間を切っている
  • 就寝時間・起床時間が安定していない(夜更かし・朝寝坊が多い)
  • 寝付きが悪い・睡眠中に何度も目が覚める

睡眠時間はしっかりと確保し、週末等にも可能な限り同じ時間に寝起きをするようにしましょう。「どうしても!」という場合の朝寝坊は1時間~2時間以内にしておきます。

わかっていても寝る時間がなかなか取れないのが現代人。下記のページを参考にして、できる限りの快眠対策をしてみませんか。

最強スキンケアは睡眠!睡眠美容の重要性と美肌を作る眠りとは


浴槽に浸かる習慣を付ける

特に女性の場合、「体の冷え」がホルモンバランスを乱す一因となっていることも多いです。

入浴をシャワーだけで済ませず、きちんと毎日温かい浴槽に浸かって血行を促す習慣を付けましょう。


体をほぐす習慣を付ける

立ち仕事・座り仕事で「立った状態/座った状態」が長く続くと筋肉がこわばり、体も脳もストレスを感じる状態になります。こまめに体を伸ばし、筋肉と脳をリラックスさせる習慣を付けましょう。

お風呂の中でマッサージをしたり、お風呂上がりにストレッチをしてみるのも手です。ゆっくりと体を伸ばすことで自律神経も整えられますし、睡眠の質を上げることにも繋がります。


食生活での予防

大豆製品・豆乳を食べる

豆腐と大豆

豆乳等の大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをすることがわかってきています。

30代後半から分泌量が減る「エストロゲン」の代わりをイソフラボンにしてもらうことで、ホルモンバランスの乱れを抑えよう・・・というわけです。

豆乳の他、日本人の食生活の基本である「和食」の中には以下のような様々な大豆製品があるため、手軽に摂取ができるのも嬉しいですね。

大豆製品の一例

  • 納豆
  • 油揚げ
  • 豆腐
  • おから
  • きなこ 等
適量を食べる

なお、大豆製品は「とにかくたくさん摂れば良い」というものではありません。食べ過ぎによって却ってホルモンバランスが乱れることもあるのです。

大豆イソフラボン1日あたりの推奨摂取量は75mg(豆乳の場合には1日1カップ半程度)となっていますので、推奨摂取量の範囲以内でバランスの取れた食事を取るようにしましょう。

大豆製品である豆乳、いろいろな種類が売られていますが「イソフラボン」の摂取を目的に摂りたい場合は、どのような製品を選べばいいのでしょうか?

下記のページで豆乳の種類の解説や飲み方を紹介しています。是非ご覧ください。

豆乳で美肌になる6つの秘密~効果を引き出す飲み方とアレンジレシピ


小麦胚芽を食べる

全粒粉パン

小麦胚芽には美白を助けるアミノ酸である「L-システイン」が多く含まれています。

胚芽は「全粒粉」を使ったクッキー・パン・ビスケット・シリアル等に多く含まれる原料です。

オヤツの時間にダイジェスティブビスケットを選んだり、胚芽を使ったパンやシリアルを朝食に摂るのも手ですね。


甘味料を「ハチミツ」に

ハチミツ

ミツバチが花から集めてきた蜜である「ハチミツ」にも「L-システイン」が豊富です。

コーヒーや紅茶、ヨーグルト等の甘味付として砂糖の代わりにハチミツを加えたり、料理の甘味にハチミツを使うのも良いでしょう。

ただし100グラムあたり294kcalとハイカロリーな食品ですので、使いすぎには注意してください。


お酒は控えめに

お酒を飲むと、アルコールを分解するために「ビタミンC」等の多様なビタミンが消費されてしまいます。

週3回~4回以上の飲酒習慣がある人の場合、ビタミンC欠乏になりやすいだけでなく、内臓トラブルによる肌の疲れが出やすい状態です。

またいわゆる「寝酒」は睡眠の質を著しく落とし、脳を睡眠不足の状態にさせてしまいます。

ストレス発散のために少量を楽しむのならば許容範囲と言えますが、多量の飲酒及び毎日の常飲は避けた方が良いでしょう。


スキンケアでの対策

鏡でチェック_女性

クレンジングシートは使わない

日々のスキンケアでは、摩擦による刺激をできるだけ減らすことが大切です。特に紙との強い摩擦を生む「クレンジングシート」しの常用は避けましょう。

肌との摩擦が比較的少なく、また洗浄力がマイルドなミルククレンジング等に切り替えます。

数あるクレンジング剤の違いを比較した下記のページを参考に、自分に合うクレンジング剤を探してみましょう。

クレンジング剤6種を徹底比較!オイル、クリーム、リキッド...肌に合うのはどれ?


「攻めのケア」はほどほどに

ピーリング、マッサージ等のスペシャルケアの「やりすぎ」は、却って肌の負担となり、肝斑等のシミの原因となることがあります。

週一回・月一回といった規定回数を守り、肌の状態を見ながら行いましょう。特に生理中や妊娠中等、肌が不安定な時に過剰なケアを行うのは避けた方が無難です。


刺激の少ない基礎化粧品を選ぶ

アルコールやパラベン等の防腐剤、合成界面活性剤、合成着色料等が多量に使われている基礎化粧品を長期使用すると、肌には疲れが溜まります。

できるだけ添加物の少ない基礎化粧品を使用し、肌への負担を軽減していきましょう。

また少しでも刺激を感じた場合、「もったいないから」と無理をして使用を継続するのはNGです。

基礎化粧品の選び方に困ったら、インナードライ肌用で使うものを参考にしてみませんか?自然と刺激の少ないものが選べます。

下記のページで3点の化粧水を紹介しています。是非参考にしてみて下さい。

インナードライ肌を化粧水で改善!厳選おすすめ11選~原因と保湿成分を解説


肝斑を治療する時の注意点

トラネキサム酸の副作用に注意

食欲不振イラスト

トラネキサム酸は副作用のほとんど無い安全性の高い薬とされています。しかし止血剤にも使われる薬であり「血を止める作用」がある点には注意すべきです。

特に脳血栓・心筋梗塞等、心肺機能に疾患を持つ人が服用すると、大きな副作用が生まれることがあります。

この他、体質によっては食欲不振・胸焼け・眠気・発疹といった副作用が出ることもあるので、「何か変だ」と感じたら速やかに服用を中止し、医師に相談をしましょう。

また妊娠中・授乳中の場合には、必ず服用前に医師もしくは薬剤師にその旨を報告した上で、服用が可能であるかを確認してください。


内服薬とサプリ・外用薬の無断併用をしない

医師バツイラスト

肝斑対策の内服薬を服用する場合、その他のサプリメント(L-システイン配合サプリ等)や市販の外用薬等を自己判断で用いるのは厳禁です。

美白をサポートするアミノ酸「L-システイン」は副作用の出にくい成分ですが、1日1500mg以上といった過剰摂取を行うと、吐気・嘔吐・腹痛等の急性症状が起こる可能性があると臨床実験で指摘されています。

また長期的な飲用を行うことで、白髪の増加・紫外線刺激を受けやすくなるといった報告も見られているようです。

専門家である医師のチェックを受けつつ薬やサプリを飲用するのであれば問題はありません。しかし自己診断で誤った飲用を続けたことにより、重篤なトラブルを起こすケースも散見されています。

特に市販薬を購入する場合には、薬剤師の指導をきちんと受けた上で、用法・容量を守った服用を行うようにしましょう。


UV対策は継続を

帽子

「肝斑には通常の美白ケアは効かない」というと、「じゃあ、UV対策も必要ない?」と思う人が多いようです。

しかし肝斑ができやすいということは、日焼けによるシミもできやすい状態であるということ。

肝斑の上に更に日焼けシミができたり、日焼けの刺激で肝斑が濃くなってしまうこともあるのです。

日焼け止めやUVカット用品で毎日きちんと紫外線(UVA・UVB)をカットするようにしましょう。

紫外線カット対策なら下記のページがおすすめ。帽子や日傘の選び方などを紹介しています。是非ご覧下さい。

紫外線対策グッズの賢い選び方~日傘の色は?服の素材は?UV対策のコツを徹底解説


おわりに

カフェで微笑む女性

肝斑はかつて「治らないシミ」とまで言われてきたシミですが、トラネキサム酸や漢方薬という対処法が見つかったことで、多くの女性達がその悩みから解放されています。

「これ、肝斑かもしれない・・・」と思ったら、自己流の美白ケアは一旦おやすみして、肝斑用の対処をはやめにスタートしてみましょう。
※本記事で紹介している製品の成分内容・価格などは最新の情報をサイトでご確認下さい。





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