転職したいと思ったらぜひ読んで欲しいエントリー
「転職」と言うものについて皆さま、どのようにお考えでしょうか?
雇用を維持することの難しさ
昔と比較して転職しやすい価値観が社会に醸成されてきていると言われます。良く言われるように、以前は「就職」ではなく「就社」と言って、一生その会社に勤務をして尽くす。厳しいこともあるが、その代わりに会社は定年までの雇用を保証するという現代版『御恩と奉公』の形がそこにはありました。
しかし、これもご存知のように、会社は以前のように雇用を保証することが難しくなってきています。これは、経営者が解雇しやすいように労働法制が変化しているだけではなく、経営を実際に行う上でも、以前のような雇用を維持しながら、「苦楽を共にする」と言うことができなくなっていることも理由にあります。
それをどのような理由に求めるのか、諸説存在していますが、業務のIT化、様々なアウトソーシングが可能になってきていることなど、以前であれば社内で行わなければならなかったことが、その必要がなくなってきているのです。
タイプライターと雇用
1つ例を出しましょう。これは、ある企業の事例です。今から35年前、1980年頃のお話です。その会社では企業報や統計資料、経済政策への提言などを行っています(今も行っています)。当時、ワープロですら貴重品。性能も良くありません。
しかし、その企業の「商品」として印刷物を製作し、各所へ提出しなければなりません。印刷会社にお願いをすれば良いのではないかと思われがちですが、経済統計などを製作することは「速報性」が重要視されますし、公表できないデータなども関係してきます。
つまり、外部の印刷会社にお願いすることは時間的にも、情報の保護(今よりも緩い時代ではありましたが)の面からも難しく、何をしていたかと言いますと、専門のタイプ室、タイプライター(ワープロですらない)、タイプをする人を数十人雇っていたということです。
この人たちの仕事は「タイプするだけ」です。現在の価値観であれば、派遣社員にお願いするか(タイプの早い人)、アルバイトを雇えばよいのでは?と思いますが、違いました。タイプには速報性が求められるため、いつ、どんな記事をタイプすることになるのかわからないため、常に待機。全員正社員として雇用していました。
男女雇用機会均等法制定前でしたが、彼女たち(ほとんど女性です)は、男性正社員と同等の待遇で雇用されていました(代わりがいないので)。しかし、PCやIT技術の発展によって、誰でも原稿を作成することができるようになります。他の社員が自分のPCで記事を作成すれば良くなったのです。
タイプライターのニーズがなくなりましたが、彼女たちを解雇することは(経営的に合理的な理由がないのですから)できません。彼女たちはタイプの仕事を解かれた後、一般事務社員として配置されましたが、タイプしかできないので事務能力に問題があり、会社側はかなり困ったようです。
そんな彼女たちも定年を迎えました。彼女たちのようなケースは、今ならば雇用を継続させる判断が経営者にできるでしょうか?そもそもそうした要因を正規雇用するでしょうか?
このような経営における「バッファー」を非正規雇用で補うということが、残念ながら経営には求められる時代になってきました。
働く人たちの転職への価値観の変化
そこで働く労働者は、自分の雇用と収入は自分で守らないといけなくなりました。ここに1つの意識調査があります。
人材紹介大手『インテリジェンス』によるものですが、転職成功者の中での「40歳以上」の割合が、
・2011年上期(1~6月):5.4%
↓
・2014年上期(1~6月):11.2%
と倍増しています。従来、転職は消極的だと思われていた、企業における中堅層が転職に積極的に動いていることが分かります。
この年代ですと、家庭を持っている人も多いはずです。にもかかわらず、ひょっとすると年収が下がる転職へ動くことについて抵抗がなくなってきているということになりますね。
合わせて知っていただきたいのは、ここ最近、20代後半の転職者も増えてきているということです。「3年で3割辞める」と言われて久しいですが、それを乗り越えて企業の戦力になり「これから!」という人たちも転職に積極的になっています。
つまり、転職は現在の勤務先の人間関係が厳しい、ブラックな待遇であるというネガティブな要素から逃れるために行うものだけではなく、安定した地位や待遇にある人であっても、さらなるステップアップのために行うようになってきています。
1980年のタイプライターの時代では、おそらく彼女たちは転職する方法もありませんし、正社員として再雇用される可能性も極めて低かったと思います。
「転職」という選択肢を持ってみましょう
経営者からの圧力によって退職に追い込まれるという要素だけではなく、むしろ「こちらから積極的に出て行ってやる!」という「攻めの退職」からの転職ができる時代になっています。
とはいえ、戦略も戦術もなく転職活動を行うことはマイナスでしかありません。転職先が今よりも良いという保証はなく「賭け」の要素は否定できないからです。そこで、今回「転職」と言うものについてシリーズでその内容を書かせていただきます。
転職する、しないも皆さんの自由です。しかし、将来に向けての選択肢として転職を頭に入れていただくことは無駄ではありません。
どのような方法があり、ご自身のリスクを最小化しながら転職と言うものを考えられるのか、そのためのお手伝いの1つのツールにしていただければ幸いです。
それでは、転職の世界に皆さんを案内いたします!
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