定期付終身保険は終身保険と定期保険特約を組合わせた商品で、高額保障が必要な期間は定期保険特約を厚めにし、保障が不要になる時期にあわせて終身保険部分を残せるという、合理的な発想で作られた保険です。

かつては大手生保の主力商品でしたが、現在はアカウント型その他の保険にシフトされました。

定期付終身保険のしくみ

定期付終身保険は、終身保険の主契約と定期保険特約を組合わせた商品で、2000年頃まで約30年間販売された大手生命保険会社の主力商品でした。

終身保険で葬儀費用等の一生涯の死亡保障をカバーしつつ、高額の死亡保障が必要な期間だけ、定期保険特約で割安に死亡保障を上乗せすることができる商品です。

定期保険特約の期間の設定のし方で、更新型と全期型に分けられます。更新型は10年、15年など、満期となる期間が短めですが、一定年齢までは自動更新により継続することが可能です。

更新時に何も申し出なければ、従前と同額のまま自動更新される仕組みになっています。

更新後はその時点の年齢で保険料が再計算されるため、同じ保障額のまま更新した場合、若い頃であれば保険料は安くて済みますが、更新ごとに保険料は急上昇していきます。

更新時に必要な保障額を見直して減額していけば、保険料の上昇は抑えられます。

一方、全期型は、30年など、死亡保障が必要な期間を最初からカバーする長期の定期保険特約を設定するため、途中での更新がなく保険料は一定です。

ただし、保険料は最初から高めになります。時間の経過で必要な保障額が下がったときは、定期保険特約の減額をすることができます。

定期付終身保険には、医療特約や三大疾病特約、がん特約、女性疾病特約、介護特約をはじめさまざまな特約を付けることができ、かつては定期付終身保険1本で死亡保障や医療保障をカバーしていました。

後期の頃には、収入保障特約などもついて、さらに割安に高額保障が付けられるようになりました。

図表1 定期付終身保険のイメージ図
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<更新型の場合>
契約例:35歳男性 死亡保障:終身保険100万円/定期保険特約1,000万円
保険料:35歳時 月6,094円(45歳までの10年間)
保険期間:主契約 終身(特約部分は10年更新)
保険料払込期間:60歳
(E保険会社:2015年10月現在)

定期付終身保険の特徴

定期付終身保険の特徴としては、子どもが生まれた若い頃には、保険料を抑えて高額保障がカバーでき、更新時期などに必要な保障額を見極めながら定期保険特約の額を増減させることができます。

そうして、子どもが巣立った後には終身保険が残り、生涯の葬儀費用などを確保することができ、非常に合理的な保険ともいえます。

当初は終身保険も予定利率が高くて保険料が割安だったことから、終身保険が厚めに組み合わされ、満了後には解約返戻金を老後資金の一部として利用することもできました。

予定利率が下がってからは、保険会社は実際の運用との逆ザヤに苦しみ、魅力的な特約を発売するたびに転換(既契約の保険を解約した責任準備金で新たな保険を買う)を推奨するようになり、デメリットの説明なしに転換させられた契約者が後を絶たなかったことから、社会問題にもなりました。

定期付終身保険はこんな人に向く

定期付終身保険は次のような人に向きます。

一定期間、高額の死亡保障が必要な人

子どもがまだ幼いなど高額の死亡保障が必要な時期には、定期保険特約を厚めにして必要な保障を確保することができます。

高額の死亡保障が要らない時期になったら、定期保険特約を減額する、更新しないなどで、終身保険だけ残すこともできます。

1本の契約で医療保障をはじめトータルに備えたい人

前述の通り、定期付終身保険は各種特約を付加することで幅広いリスクに備えることもできます。1本の契約で必要な保障を確保することで、その時々で必要な保障を見極めながら継続することができます。

また、請求手続きや管理面なども1本にまとまっていると何かと便利でした。

ただし、現在は乗合い代理店も増え、有利な単体商品を組み合わせて契約をしても代理店が管理してくれるため、決して1本にこだわる必要はなくなっています。

定期付終身保険はココに注意!

定期付終身保険の注意点としては、更新型では、保障額を変えなければ更新ごとに保険料が上がっていく点がまず挙げられます。

保障額の減額、あるいは割安な商品があれば乗り換えるなど保障の見直しをすることで保険料の増加を抑えていく必要があります。

また、定期保険特約を更新しないか、満了を迎えた後は、死亡保障額が一気に下がる点にも注意が必要です。仕組みを理解していないと、「数千万円あったはずの死亡保障が数百万円に下がった」と驚く契約者もいます。

さらに、医療保障を定期付終身保険の特約で確保している場合、80歳まで継続することはできますが、60歳または65歳で保険が満了した後は、特約保険料を一括払いや年払いする必要がある点も注意が必要です。

医療特約を終身型にできる商品もありますが、やはり年払いで保険料を払い続けることになります。単体の医療保険に有利なものがあれば、乗換えを検討するのも一法です。