終身保険は、死亡あるいは高度障害状態の場合に保険金が支払われる死亡保険の1種で、死亡保障が一生涯続くタイプの保険です。貯蓄型でもあるため、万が一に備えながら資産形成もができるというメリットもある保険です。

終身保険のしくみと特徴

終身保険は一生涯の死亡保障・高度障害保障を確保できる保険です。貯蓄型の保険でもあり、死亡保障をカバーしながら、好きなタイミングで解約して返戻金を活用することもできます。

保険料の支払い方法には、一定期間だけの「有期払い」と「終身払い」があります。「有期払い」では60歳、65歳など年齢設定、もしくは10年や15年などの期間設定が可能です。

同じ保障額であれば、払込期間が長いほど分割払いの保険料は安くなる仕組みです。

終身保険のイメージ図
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35歳男性 死亡保障 1,000万円
保険料 月24,270円
保険期間:終身
保険料払込期間:60歳
A保険会社 2015年10月現在

終身保険の特徴として、死亡保障を備えながら、解約した場合の返戻金が貯まる特徴を生かし、リタイア時期の60歳、65歳までは保障を確保し、子どもの成長と共に死亡保障の必要性が低くなったら、解約して老後資金として活用することができます。

また生涯支払う「終身払い」の場合には、月々の保険料負担を低くしながら一生涯の保障を持つことができます。

その他の特徴としては、保険料を支払っていく際にがんや脳卒中、心筋梗塞などの三大疾病になったら保険料が免除される特約(特約保険料は別途必要)を付加できる商品もあります。

また解約した際の返戻金の受け取り方法も一時金だけではなく、年金形式で受け取ることもできます。

そして無料でリビングニーズ特約をつけることで、余命6カ月と診断された場合に保険金の一部または全部の3,000万円を限度に請求できるなど、大きな病気の際には保険料や保険金受取りをカバーする仕組みも作られています。

終身保険はどんな人に向く?

終身保険は次のような人に向きます。

●葬式費用の準備として、保障をずっと確保したい人
葬式費用は約200万円かかるといわれています。墓石が必要な場合には、さらに追加でお金の確保が必要です。葬儀費用が生涯必要だという点から見ると、定期保険ではなく終身保険が向いています。

また、遺族としては、葬式費用を現金で確保するよりも保険金の方が安く準備することができ、例えば総支払保険料250万円に対して、終身保険300万円が確保できるイメージです。

●保険料を掛け捨てるのはもったいないと感じる人
解約のタイミングによっては払った保険料以上の解約返戻金を受取ることができますので、貯蓄として利用することもできます。

●相続対策として非課税枠を活用したい人
少しでも相続財産を減らしたい方には、生命保険の非課税枠が活用でき、500万円×法定相続人の数が非課税です。

例えば法定相続人が4人なら500万円×4人で2,000万円までは税金がかからないので、2,000万円の終身保険が活用できます。

●遺産分割対策に生命保険を活用したい人
生命保険の死亡保険金は固有の財産で一般には遺産分割の対象外となります。あらかじめ生命保険の受取人を指定しておくことで、請求後にはすぐに現金の準備ができます。

もし兄弟間で不動産など分割しにくい場合でも、代わりに現金を渡すことができるため、遺産分割に活用できます。

終身保険はココに注意!

保障を持ちながら積立てができる終身保険ですが、一番気を付けたいのは早期の解約です。解約返戻金が既払込保険料より下回り、特に契約の1、2年後は解約返戻金がほとんどないケースも多いので注意が必要です。

保険料も掛け捨ての定期保険と比べて高いので、保障額を高くすると毎月の保険料負担は高額になりがちですので、十分払える額かどうか、契約前に見定めることが必要です。

また、契約時の予定利率が適用されるため、今後、市中金利が上昇しても、反映されません。もしそれが気になるのであれば、金利の変動に応じて予定利率が見直される積立利率変動終身保険にした方がよいでしょう。

その他に万が一、保険会社が経営破たんした場合には、契約時に決められた解約返戻金は変更される可能性なども考慮しておく必要があります。