積立利率変動型終身保険は、市場金利の変動に応じて積立利率が見直される終身保険です。
最低保証されている積立利率は低めに設定されているものの、積立利率が上昇すれば、解約返戻金や死亡保障が増える可能性があるインフレ対応型の保険商品です。
積立利率変動型終身保険のしくみ
積立利率変動型終身保険は、一生涯の死亡・高度障害保障を確保できる終身保険の1種です。
一般的な終身保険は、契約時点で適用された「予定利率」(約束された運用利率。実際は保険料の割引率となっている)が契約終了まで続きますが、積立利率変動型終身保険の場合は、「積立利率」(=予定利率。商品名に合わせて以下「積立利率」と呼びます)が定期的に見直されます。
市場金利が上昇すれば積立利率も上がり、解約返戻金や保険金額も増えていきます。
逆に、積立利率が下がった場合でも、契約時に最低保証の積立利率が設定されているため、解約返戻金や死亡保険金額には最低保証分が確保されています。
なお、一度増加した保険金は、積立利率が下がった場合でも減らない仕組みになっています。
金利感応度のある商品であることから、インフレリスクに備えられる保険商品に挙げられます。
また、「IS終身保険(Interest Sensitive=金利に敏感)」と呼ばれることもあります。
図表1 積立利率変動型終身保険のイメージ図

保険料 月25,630円
保険期間:終身
保険料払込期間:60歳
(A保険会社 2015年10月現在)
積立利率変動型終身保険の特徴
積立利率変動型終身保険は、死亡保障を確保しながら、金利上昇時には解約返戻金や保険金額がプラスになる可能性がある点が大きな特徴といえます。
基本的な活用方法は終身保険と同じで、死亡保障を確保しながら、必要なときには解約返戻金を取り出して使うことができます。
一般の終身保険では、1度適用された予定利率は固定され、今後どんなに市場金利が上がっても低い金利のままです。
しかし、積立利率変動型終身保険では定期的に積立利率が見直され、金利上昇期には上がる可能性があります。
積立利率変動型終身保険はどんな人に向く?
積立利率変動型終身保険はどのような人に向く商品でしょうか。整理してみましょう。
今後、市場金利が上昇すると予想する人
一般的な終身保険の場合、予定利率がずっと変わらないことから、もしインフレが進んだ場合には、解約返戻金や死亡保険金は相対的に「価値」が目減りする場合もあります。
一方、利率変動型終身保険はインフレ対応型商品のため、そうした心配はありません。そのため、今後、市場金利が上昇すると予想する人に向きます。
相続税対策や遺産分割対策に保険を活用したい人
相続財産を減らす目的で終身保険に加入する人がいますが、積立利率変動型終身保険でも同じ効果があり、500万円×法定相続人分の生命保険の非課税枠が活用できます。
また、相続税がかかる場合の納税資金を確保する目的でも利用できるほか、特定の人に財産を残す遺産分割金の手段としても有効です。
積立利率変動型終身保険はココに注意!
死亡保障をカバーしながら資産形成ができる積立利率変動型終身保険ですが、気を付けたいのは早期解約です。一定期間は解約控除があるため、あまり短い期間で解約すると既に払込んだ保険料を下回る解約返戻金となる可能性もあります。
またインフレに対応できる商品とはいえ、そもそも最低保証されている金利は低めです。
もし、市場金利が思うように上昇しなかった場合は、積立利率は最低保証利率のままというケースも想定されます。それでも納得できるかどうかを最初に考えておきましょう。
また、最低保証の積立利率は保険会社によって異なります。積立利率変動終身保険に加入する際には、複数の見積もりを取るとともに、この最低の積立利率が何%なのかを確認した上で検討するようにしましょう。