アカウント型保険は、積立てと保障が組み合わされた保険です。

保険料のうちアカウントに積立てられた積立金は、一定の条件の元、出し入れも可能。満了すると主契約が終身保険に移行。保障は特約で、設計や見直しの自由度が高いことから、「自由設計型保険」とも呼ばれます。

大手国内生保の一部が販売していましたが、複雑な仕組みが理解されにくく、現在は販売をやめるところが多くなっています。

アカウント型保険のしくみ

アカウント型保険の正式名称は「利率変動型積立終身保険」といいます。主契約の積立て部分と、特約として付ける死亡保障や医療保障、介護保障などの保障部分がセットになった総合保障タイプの保険です。

保障を自在に設計できるという意味で、「自由設計型保険」とも呼ばれています。

アカウント型保険は、支払う保険料の一部が専用アカウント(口座)に積立てられ運用されます。他の保険の場合、契約時の予定利率がずっと適用されますが、この保険では、適用される予定利率は一定期間ごとに見直されます。

一定ルールの元で、このアカウントのお金を出し入れすることも可能です。保険料の払込満了時には、積立残高に応じた額の終身保険に移行します。

保険期間中の保障部分はすべて掛け捨ての定期型の特約で、10年や15年の更新型となっています。

通常、80歳までは自動更新が可能ですが、更新をした場合、同額の保障のまま更新すると本来は保険料が上がりますが、保険料のうちアカウントの積立に回っていた分が減額されたり、また、アカウントに十分な積立金があれば、これを取り崩して保険料に充てることで、表面的な保険料が上がらずに済む場合もあります。

図表1 アカウント型保険のイメージ図
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35歳男性 死亡保障1,000万円+各種特約など
保険料 月12,000円(積立部分含む)
保険期間:10年満期
保険料払込期間:10年
(F保険会社 2015年10月現在)

アカウント型保険の特徴

アカウント型保険の最大の特徴が、主契約のアカウント(口座)です。

支払った保険料はまずアカウント部分に入り、その中から特約の保険料を支払う流れになっています。アカウントは、一定の条件の元、お金を引き出したり、逆に一時金を投入したりと、まるで預金口座のような使い方もできます。

アカウントの積立金を保険料に充てることも可能です。適用される予定利率は普通預金よりも高めで、しかも定期的に見直される変動金利型です。

主契約の保険料払込満了後、アカウントに残った残高に応じた終身保険に移行し、生涯の死亡保障を確保できます。

残高が多ければ多いほど高額の終身保険となりますが、保険期間中に引出したり、保険料として使用したりした場合は、あまり残っていないことも多く、保険金額が小さな終身保険になってしまいます。

大手国内生保の一部が2001年ころから販売してきましたが、複雑な仕組みが理解されにくく、最初に販売を行った明治安田生命まで販売をやめています。

アカウント型保険はどんなに向く?

アカウント型保険は次のような人に向きます。

●ライフステージごとの保険見直しを手軽に行いたい人
生命保険に加入した後も、結婚や出産、転職、子どもの独立、退職など、ライフステージが変化するにつれて、保障内容を随時見直していく必要があります。

アカウント型保険の場合は、特約の追加や内容変更で見直しが手軽にできます。しかも、アカウントに積立額があれば、保険料を増やさずに保障の増額を行うことも可能です。

●家計がピンチの時でも保険を継続したい人
転職やリストラ、もしくは支出のタイミングが重なるなど、資金を捻出する必要が発生した場合、貯蓄型保険でも減額や解約、あるいは契約者貸付を受けて一時金を捻出することも可能ですが、途中解約は解約控除などがかかる場合もあり、契約者貸付は金利がかかります。

そんなとき、アカウント型保険であれば、アカウントの積立金を払出して使うことも可能です。ただし、アカウントの積立残高が低い場合は捻出できない場合もあります。

●アカウントを積立口座の1つとして活用したい人
アカウント口座の貯蓄機能を活用して教育資金やマイホーム資金、老後資金などの積立をすることも可能です。

一時金の入金もできるため、臨時で入ったお金なども貯えてくことも可能です。利率は預金金利よりも高く、しかも予定利率は変動のため、今後金利が上がっても反映されます。

アカウント型保険はココに注意!

販売の現場では少しでも保険料を抑えるニーズに押されて、アカウント部分は毎月わずか数百円に設定される契約が続出。

また、積立金を途中引き出すことも自由なため積立金が貯まりにくく、保険料の払込満了時にも影響が。

積立残高が終身保障に移行するしくみにはなっているものの、積立残高が低い場合には、終身保障の額も低く、満足いく死亡保障が確保できなかったり、解約しても解約返戻金がほとんど受取れない場合もあります。

よくできたコンセプトやしくみはとは裏腹に、積立金も簡単に取り崩せてしまい、保険会社が想定していたような形で使われないケースも増えました。

アカウントの本来の効果が発揮されないまま、仕組みが複雑すぎてわかりにくい点ばかりが指摘されてきました。そうした中、アカウント型保険の販売をやめる保険会社が相次いでいます。