投資の目標を明確にしよう

投資信託のリスクとリターンについて、商品によってどのような違いがあるのか。また、その違いが具体的な投資目的に対してどんな意味合いを持ってくるのかをここでは解説します。

投資信託を行うにあたって、当然利益をあげることが一番の目的となりますが、その期間や目標額、損失に対する許容範囲については投資家ごとに異なります。

あなた自身が手元の資本についてどのような考えで運用するかにより、最適な投資信託商品は異なってくるのです。

一般に、長期の運用を考える場合には変動幅が大きい商品であっても目的にあった結果を手に入れやすいことになります。

細かな値動きがあったとしても、分散投資と長期的な運用により、その変動は平準化することになるからです。

逆に短期的な運用であれば変動幅の商品は適切とは言えないでしょう。

予想よりも大きな利益が上がる可能性は否定できませんが、本来必要となる時点で価値が沈んでいれば流動性のある貨幣に交換することは躊躇われ、結果、自分の生活設計を変更せざるを得なくなる場合もあるのです。

目標に沿って、買うべき商品を決める

では、どのような目的であればどのような商品を購入すればいいかということになりますが、目標には様々なものがあるかと思います。「老後資金」「所得の拡充」「将来の記念日のための資金」などなど。

それを一般化するにはあまりにも多くのパターンが考えられます。

しかし、投資信託を行うということを前提にすれば単純に「期間」「収益性」「リスク」の3つで考えて良いでしょう。

注意して欲しいのはこの3つはトリレンマの関係にあり、
「期間を短く」と「収益性を高く」を両立させると「リスクが大きく」なります。
「期間を短く」と「リスクを低く」を両立させると「収益性は低く」なります。
「収益性を高く」して「リスクを小さく」するには「期間を長く」考えた投資が必須になるのです。

当然、どれか1つに注目して他の要素に目をつぶることもできますが、ともかく、この3つは同時に全てを満足させることのできない要素となるのです。

したがって、あなたの目的に合う投資を考えるためにはまずはその目的が重要になってくるのです。

例えば老後に対する資金を考えた時には「期間」を長く取れますので「収益性」を高く、「リスク」を小さくできるでしょう。さらにリスクを上げればその分収益性を期待することも可能です。

当然リスクマネジメントは必要でしょうが、そこまでシビアな運用は求めなくても良いでしょう。

逆に、数年後の旅行のために資金を運用するのであれば、「期間」が短いため、「収益性」か「リスク」のどちらかを諦める必要があるのです。

例えば、リスクを大きくするならば、目標金額ならば海外へ。それ以上ならより豪遊することを考えておいて、さらに目標金額よりも下回ったり、元本割れを起こした場合には国内の温泉宿程度まで覚悟をして投資をする必要があるのです。

このような分析の元で、さらに商品ごとの特徴を知ることでどの商品が適切かを速やかに判断できるようになります。

例えば債券投資を中心としたファンドであれば、変動幅は小さいでしょうが、リスクは小さく保つことができます。

逆に、株式投資を中心としたファンドは、いくら分散投資をしていたとしても債券に対しては不安定であると言えます。

その中間がバランス型のファンドと呼ばれる複合型の商品か、もしくは、最近出始めた不動産投資信託(J-REIT)になるでしょう。

このような情報については「投資信託説明書(目論見書)」として商品ごとにまとめられていますので、その目論見書をよく読んで判断しましょう。

このように投資信託商品については中心となる投資対象によりその性格が異なりますので、自分にとって最適な対象は異なることになるのです。

今後の世界経済の動向を考えるのか、商品の種類の組み合わせを考えるのか

投資信託であっても、より能動的に、自らの考えを反映させる商品を探すこともできます。目論見書に書かれている投資信託商品の中身について知ることで、どんなリスクとリターンがありそうなのかを予想できます。

まず確認しておきたいのは「債券」「株券」の割合です。債券の方が安定的で株券の方が変動幅が大きい傾向になります。したがってリスクと収益性についての大まかな判断はここから行うことができます。

さらに、各々「国内」「海外」の分類があるはずです。

海外についても、特定地域を中心としたファンドも存在します。

先進国地域中心なのか新興国地域中心なのかで性格も変わりますが、特に新興国の有価証券を中心に取り扱う場合、その地域の地政学的要因のみならず、世界経済の動向次第で運用実績の幅が大きく変動する場合もあります。

おおよそのそのリスクとリターンについては一般的に、低い順(ローリスクローリターン順)に「国内債券」「海外債券」「国内株式」「海外株式」となります。

この内容についての情報を利用してその商品の性格を知ることで投資信託自体を複数組み合わせて、ある期間ごとに確認を行いその運用状況により各々の投資信託自体への資産を再配分しながら自分の目標に近づけるような投資を行えばさらにリスクとリターンを管理することができるようになります。

さて、このように、投資信託は、自分の求める投資信託商品がどんなものかを判断した上で実際の銘柄を選ぶことになります。

最終的にどうするかという部分については自らが決定すべきことになるのでしょうが、それに対する詳細な理解がないと投資を行うことができないというわけでもありません。

むしろ、それをプロに任せて投資してしまった後は任せられるのが投資信託のメリットなのですから、あまりに細かく考えないと納得できなくなってきたならば株式投資に切り替える事も検討してみるのも良いでしょう。

ただし、だからといって知識もなく、投資信託を複数持てばさらに安定するはず。と、不用意に多くの投資信託を組み合わせることは、手数料などで余計な資金の減退をもたらす可能性を大きくするだけです。

投資全般に言えることですが、自分の目的をしっかり見据えて、そのための道具としての投資を心がけるようにしてください。目的に応じたバランスをとった投資が最終的には一番の満足を得られることになります。