失敗例1 リスク分散のために何本もバランス型を保有

投資ではリスク分散が必要ということは、すでに何度も書いたとおりです。「卵を一つの籠に盛るな」という投資の格言に従い、リスク分散しようと考えて様々なバランス型の投資信託を買ってしまう、ということも投資信託で起こる失敗の一つです。

バランス型の投資信託は、株や債券など、性質の異なる複数投資商品への投資をします。こうすることで、リスクの低減を図っているのが特徴です。

バランス型はリスクを軽減するために様々な投資商品への投資をしているのは確かですが、デメリットもあります。それは、資産配分の変更ができない、ということです。

ポートフォリオの組み方もファンドマネージャーにお任せ、ということですので、一部のみを組み替えることはできません。

例えば外国債券の成績が悪かったとします。自分でポートフォリオを組んだ時は、外国債券を損切りし、他の投資商品の割合を増やすなどしてポートフォリオを組み替えることができます。

しかし、バランス型の場合はそれができず、全てセットになってしまっています。

分散投資をさせてバランスを取っている、とは言うものの、相場の状況にフレキシブルに対応できるような性質のものではないため、運用してみると、意外に使い勝手が悪い、という問題が出てきます。

バランス型の持つデメリットに気づかず、バランス型自体がリスク分散されているからと、バランス型の投資信託を一本買った後に、追加で別のバランス型投資信託を買う…ということを繰り返してしまうと、何本もバランス型を持つことになってしまい、資産状況が見えにくくなります。

そして、複数持ったバランス型が値下がりし始めた時に、損切るにしても、それぞれのバランス型のポートフォリオのうち、損失が出ているものだけを切ることもできない、というジレンマに陥ってしまうのです。

このようなことから、バランス型の投資信託をリスク分散のために複数所有するのはお勧めできません。

もしもどうしても持ちたいのであれば、一本だけ持つようにし、他は国内株式型や国内債券型等、運用成績が悪かった場合にいつでも損切りできる投資信託を複数バランスよく持った方が良いでしょう。

また、リスク分散を考えたポートフォリオを組みたいということであれば、バランス型の投資信託に固執せず、自分の希望(リターンやリスクの大小等)に合わせ、性質の違う投資商品への投資信託を複数選んで、バランスの取れたポートフォリオを組むのがお勧めです。

失敗例2 同じような投資信託を持ってしまい、運用状況を把握できない

これもよくある失敗の一つです。勧められるがまま投資信託を買ってしまい、気づくとどんな投資信託を持っているのか、自分でも分からなくなっている、というものです。

勧められるがまま、とは言っても、買う度にタイプの違う投資信託を買うわけではなく、一応自分の希望するリスクやリターンに合わせて買うため、気づくと似たような投資信託を複数持っていた、ということになってしまいます。

例えば、為替リスクは取りたくない、でも、それなりに大きなリターンが欲しいと考え、日本株に投資する投資信託を買ったとします。

その後、勧められるがまま同じように日本株に投資する投資信託を買ってしまい、気づいたら、日本株に投資する投資信託を何本も持っていた、その結果、どの投資信託が今どのような運用状況なのかが把握しきれないという状況に陥ってしまった…とします。

日本株への投資とは言っても、投資信託によって、投資する銘柄は異なります。例えば大型のディフェンシブ株に投資するものであったり、ある特定の業界の銘柄に投資するものであるなど、投資する銘柄には違いがあります。

ただし、これでは日本の株式相場が悪くなった時に、持っている投資信託の全てが値下がりする危険性があります。

そのため、本来は日本株への投資信託だけでなく、国内債券や外国株、外国債券等へ投資する投資信託も持ち、バランスの良い運用を心掛けた方が良いのです。

しかし、どうしても日本株への投資をする投資信託が良いという場合は、日本株への投資割合の高い投資信託を選ぶなどし、リスク分散をしましょう。

また、外国株への投資を行うような投資信託を複数持ってしまい、よくわからなくなった、という場合も一本化するべきですが、その際は、1つの国の株式に投資するものではなく、複数の国に投資するものを選びましょう。

1つの国の株式に投資するものの場合、その国の経済状況が悪くなるとパフォーマンスが悪化し、そのまま損切ることになってしまいます。また、同じ地域にある国の投資商品への投資信託も避けた方が良いでしょう。

例えば、欧州株に投資する投資信託の場合、多くの国がユーロに加盟しています。そのため、欧州のどこかの国で経済危機が起こると、その影響が欧州全体に広がるということがよくあります。

ですので、外国株への投資とは言っても、欧州、米国、オーストラリア、新興国等、様々な国と地域への投資を行うものを1つ選ぶと良いでしょう。