投資信託の分類

一口に投資信託と言っても、その中でいくつもの種類があります。投資信託はどのように分類されるのか、確認してみましょう。

まず、投資信託には制度上の分類があります。制度上では「形態」「取得対象」「払い戻し方法」「投資対象」の4つの項目で分類されます。

項目 分類
形態 ・契約型
・会社型
取得対象 ・公募
・私募
払い戻し方法 ・オープンエンド型
・クローズドエンド型
投資対象 ・株式(国内)
・株式(海外)
・公社債(国内)
・公社債(海外)
・バランス型
形態

 
形態では、契約型と会社型に分類されます。

契約型とは、運用会社と信託銀行が信託契約を結んだ投資信託のことで、国内では主流となる形態です。

会社型は投資を目的として法人を設立し、その法人による投資信託です。不動産に投資する不動産投資法人などはこの形態をとります。

取得対象

 
取得対象は、公募と私募に分かれます。公募は多数の投資家を対象とした投資信託で、通常の証券会社などで購入する投資信託は公募になります。

私募は一般的には公開せず、機関投資家やごく少数の投資家を対象とした投資信託です。対象が少ない分、1口あたりの金額は大きくなります。

払い戻し方法

 
払い戻し方法では、オープンエンド型とクローズドエンド型の2つがあり、オープンエンド型であれば運用期間中の払い戻しに応じてくれますが、クローズドエンド型では運用期間中は払い戻しに応じてもらうことはできません

投資対象

 
投資対象は株式と公社債に分かれています。これは約款に株式に投資できると書かれていれば株式投資信託であり、約款に株式には投資しないと書かれていれば公社債投資信託となります。

上記のうち投資対象による分類ですが、こちらは取り扱う商品によってさらに分類されます。また、この分類が最も重要視されます。

 
以下では、投資対象についてもう少し解説していきます。

投資対象 >>> 株式型(国内・海外)

まず株式ですが、さらに国内株式型と海外株式型に分類されます。

国内株式型

 
国内株式型はさらに、TOPIXや日経225などの国内株式指数に連動して動くように作られているインデックス型と、割安株や配当金、今後の成長に期待できる銘柄などテーマに沿って運用してベンチマークを上回る成績を目指し積極的に運用するアクティブ型とに分けられます。

アクティブ型には、今後伸びると思われる業界の株に集中的に投資をするテーマ型なども含まれます。

海外株式型

 
海外株式型もいくつかの種類に分けられます。株の売買による収益であるキャピタルゲイン、もしくは配当金による収益を狙うインカムゲインがあります。

投資対象は単一国に投資するもの、アジア・オセアニア・ヨーロッパと地域別に投資するもの、先進国・発展途上国に投資するものと様々です。

投資信託協会による分類では、海外株式の地域別分類はグローバル、日本、北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中南米、アフリカ、中近東、エマージングの10地域に分類されており、投資信託の目論見書にどの地域に対して投資するかが表記されています。

海外株式型においても国内株式型と同じく、インデックス型とアクティブ型に分けられ、インデックス型の指標となるのは各国の証券取引所の株式指数です。アクティブ型はやはり多岐に渡って投資する方向性を決めています。

投資対象 >>> 債券型(国内・海外)

次に公社債ですが、こちらもやはり国内債券型と海外債券型の2つに分類されます。

国内債券型

 
国内債券型は日本国内において国債や地方債、社債などの公社債を投資対象としており、株式型に比べると値動きの小さい、安定した投資信託です。

ただし国債などは長期にわたることが多く、運用も長期にわたることが多くなります。利益は利息収入、および途中で売却した場合の売却損益から得ることになっています。

海外債券型

 
海外債券型では国内債券型よりも利回りのいいものが多く、オーストラリアなどにみられる政策金利が高い国の国債を狙った投資信託や、発展途上国など先進国に比べて金利が高い国の債券を中心とした投資信託もあります。

しかし海外の債券の場合、為替レートによる影響が大きいため円高になったときはほぼ間違いなく損をしてしまいます。また、発展途上国は政治や経済において不安定であり、そうした面でも影響を受けてしまうデリケートな投資信託と言えます。

また、エネルギー資源や鉱物などの産出国を対象とする資源国債券の投資信託もあります。こうした国は金利水準が高いのが特徴ですが、世界中の輸入国における経済の影響なども受けやすく、値動きのブレ幅が大きくなりやすいようです。

バランス型

こうした分類をしてみましたが、この分類はおおよその方針を示しているだけなので絶対的ではなく、リスクヘッジのため国内株式型でも海外株式に投資していることもありますし、公社債を買っている場合もあります。

そうした分散投資を特に日本・海外の株式・公社債とバランスよく投資している投資信託はバランス型と分類されます。

分散して投資することになるため、短期的に十分な利益を出すことが難しいことから中長期的な運用方針と言えます。

バランス型には複数の投資信託に投資する投資信託、ファンドオブファンズも多く存在します。各分野に投資している投資信託の窓口を1つにまとめたようなイメージですが、個別に投資するよりも資産の分散は避けることができます。

最近人気のラップ口座風投資信託

最近はラップ口座というサービスがあります。これは証券会社や信託銀行が提供するサービスで、個人と契約して資金の運用・管理・投資アドバイスなどを行うお任せサービスです。

投資の目的や方向性などは担当者と契約した投資家が相談したうえで決定します。こうしたラップ口座は人気を博しており、それを受けたラップ口座風投資信託も注目されています。

ラップ口座風投資信託は株式や債券、不動産など複数を投資対象としたバランス型ファンドです。

本来、バランス型投資信託は資産配分を決定してそれに応じた投資を行いますが、ラップ口座風投資信託は資産配分・投資先を状況に応じて変化させていきます。

場合によっては外部の投資顧問会社などから意見を聞くこともあります。サービスを提供する会社にもよりますが、いくつかのコースから希望に沿ったものを選び、安定性の高い投資をするか値動きの大きい資産を中心にするかといった方針を選ぶことができます。

ラップ口座との違いは、ラップ口座よりも少額の資金で行うことができ、ラップ口座では必要な口座の維持費用も不要です。

しかし必要に応じて外部からアドバイスをもらうなど経費も多くなるため、信託報酬などは高くなる傾向があります。

そしてラップ口座風投資信託は個人の資産を運用しているわけではないので、あくまで投資する判断は自分のものとなります。

 

一口に投資信託といっても様々な種類があります。果たして自分の資産運用スタイルにはどれが合うか、これから伸びそうなのはどの種類かをよく考え、判断してください。