好景気に強い株式と不況に強い債券
投資信託は、株や債券など、様々な投資商品に投資します。どの金融商品への投資が多いかで、株式主体なのか、それとも債券主体なのか、それともバランス型なのか、ということが分かり、分類できます。
株や債券などの投資商品は、景気動向によって向き不向きがあります。一般的に好景気時は株、反対に不景気時は債券が投資に向いていると言われています。
というのも、好景気の場合、企業が業績アップと生産性の向上のために、設備投資を積極的にします。そのために銀行からお金を借りるのですが、借り手が多ければ金利は上がります。また、企業の業績が良くなれば、株価も上がります。
そのため、好景気の時には株式投資が向いているのです。
反対に、不景気の時には、投資家は株を売って預貯金や債券にお金を回します。企業は設備投資を控えますので、銀行の融資件数も少なくなり、金利も下がります。
銀行はそれまで企業に貸していたお金を、安全な日本国債の運用に回すようになります。
このように金利は下がり、さらに債券の重要が増えるために債券価格は上がります。
このように、景気動向によって、どの投資商品のパフォーマンスが良いか分かれます。
そのため、投資信託を運用する際も、株式中心の投資信託が良いのか、それとも債券中心の投資信託が良いのか、ということを景気動向を見て判断する必要があります。
日本の場合、債券に投資した方が良い時代が長らく続きました。とは言っても、1980年代は間違いなく株に投資した方が良い時代でした。
バブル期だったこの当時、日経平均は3万円台後半にまで上昇し、株式が有利な時代でした。
しかし、バブル崩壊後、株価は下がり、金利もどんどん下がっていきました。金利はすでに30年以上下降しており、1999年にゼロ金利時代に突入したことで、ますます債券向きの時代であったと言えます。
これは2008年12月末の国内で販売された投資信託の純資産ランキングです。2008年12月といえば、9月に起きたリーマンショックの後ということもあり、国内景気は冷え込んでいました。
1 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 2 ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) 3 ダイワグローバル債券ファンド(毎月分配) 4 マイストーリー分配型(年6回)Bコース 5 財産3分法F(不動産・債権・株式)毎月分配型 6 DIAM高格付インカム・オープン(毎月決算コース) 7 三菱UFJ外国債オープン(毎月分配型) 8 ダイワ世界債券ファンド(毎月分配型) 9 ハイグレード・オセアニア・ポンド(毎月分配) 10 ニッセイ高金利国債券ファンド 出典:モーニングスター
トップ10のうち、債券型の投資信託は7本、債券中心型が1本となっています。
このように、不景気には債券が人気となるため、投資信託にもそれが如実に現れています。投資信託を選ぶ際には、その時の経済状況も考慮して選ぶ必要があります。
為替相場も重要
投資信託の中には、外国の株式や債券、不動産投資信託へ投資するものもあります。そのような投資信託は、為替相場の影響を受けます。
例えば、円安の時はどうでしょうか。円安ドル高の場合、円の価値は下がり、ドルの価値が上がります。そのため、米ドル建ての株や債券等の価格が仮に変わらなかったとしても、日本円にすると価値が上がります。
反対に、円高・米ドル安の場合は円の価値が上がり、米ドルの価値が下がることになりますので、米ドル建ての株や債券の価格が変わらなかったとしても、日本円にすると価値が下がります。
このように、外貨建ての資産の場合は為替相場の影響を受けますので、もともとの資産価格が変わらなかったとしても、円転した際に為替変動によって値上がりしたり値下がりしたりします。
外貨建て資産が値動きした場合は、そこに為替変動も加わるため、より一層値動きすることになります。
そのため、外貨建ての株式や債券に投資する投資信託は、円建てのものよりもリスクが高まります。リスクと言うのは、投資信託の場合、値動きの大きさを言います。
ですので、外貨建ての投資信託はリスクが高いということになります。
為替変動の影響を直接的に受けるのは、外貨建て資産への投資をしている投資信託ですが、国内の資産に投資している投資信託でも影響を受けることがあります。
例えば、為替相場の変動が業績に影響する日本企業の株式などが該当します。輸出産業や、外国での売上比率が高い日本企業の場合、為替変動が業績にも影響するのです。
そのため、このような為替変動が業績に影響する日本企業の株式へ投資する投資信託も、間接的ではありますが、為替変動の影響を受けると考えられるのです。
現在は株式の時代
日本は約30年もの間、債券の時代が続きました。そのため、債券価格は上昇し続けています。だいぶ天井に近付きつつあるのが、日本の債券です。
一方株式は、なかなか日の目を見ませんでしたが、アベノミクスの影響で、株価がだいぶ持ち直しました。日経平均は2万円を超えるなど、リーマンショックによって一時6994.80円という最安値を付けた時と比べると、約3倍も値上がりしています。
つまり、それだけ株価が上昇した、ということです。
また、2015年11月に上場予定のゆうちょグループの動向も株に影響を与えると考えられます。ゆうちょ銀行は200兆円を超える運用資産のうち、100兆円以上を国債で運用しています。
今回上場することで、投資家から成長性や収益性が求められるようになりますが、国債での運用だけでは収益性に問題があります。
そのため、債券から株式へのリスク資産を増やしていくことが考えられます。その場合、株式市場に巨額の資金が流れ、莫大な資金を元に株が買われていきますので、株価は上がっていくと考えられます。
さらに、日銀の追加金融緩和が行われていることもポイントです。黒田バズーカにより、日銀が国債を大量に買い取っていることで、国債の金利は下がり、短期国債は一時マイナスを付けることもありました。
日銀が国債を市場から買い取る、ということは、それを売る投資家がいることになります。
国債を売却した投資家は、株式などの他のリスク資産を買う可能性が高く、株が買われ、株価が上昇しやすい状態になると言えます。
そのため、これまで長く続いた債券の時代から、株の時代へとシフトしつつあると言えます。投資信託も、今は債券中心のものよりも、株式中心のものの方が向いていると言えるようになりつつあるのです。