運用方法にはいくつかの分類方法がある

投資信託には様々な運用スタイル・運用の手法があります。そして、どんな手法を取るかで、その投資信託の値動きも変わってきます。

投資信託の運用スタイルや手法を判断するのは、ファンドマネジャーです。ファンドマネージャーは、実際の資産運用を担当し、投資信託の運用方針を決定します。

もちろん、ファンドマネージャーは好きに運用方針を決定するのではなく、運用にあたり、企業訪問をした上でファンドに組み入れる銘柄を選定し、アナリストなどと綿密に経済・金融情勢、企業の業績動向などを話し合います。その上で、投資信託の運用スタイルや手法が決定するのです。

投資信託の運用手法にはいくつかのタイプがあり、それぞれ分け方が異なります。主な分け方には

  • インデックス運用とアクティブ運用…専門家の判断を駆使するかどうか
  • トップダウンとボトムアップ…調査の方法による違いから
  • グロース型とバリュー型、大型株と小型株…組み入れる銘柄の性質によってわける

といったものがあります。

インデックス運用とアクティブ運用

タイプ 説明
アクティブ運用 ファンドマネージャーが時間とコストをかけて有望な銘柄を発掘。
状況に合わせて組入銘柄の入れ替えを行う
インデックス運用 インデックス銘柄に投資

投資資信託の運用手法にはアクティブとインデックスの2種類が存在します。インデックス運用は、別名パッシブ運用とも言います。

アクティブ運用は、ベンチマークする指標を上回る運用成績を目指す運用手法になります。一方のインデックス運用は、ベンチマークする指標と同じ運用成績を目指す運用手法になります。

なお、資産運用全般に言えることですが、アクティブ運用に明確な定義は実は存在しません。完全なインデックス連動型でないものを「アクティブ型」とすることが多いようです。

アクティブ運用とインデックス運用とでは、どちらが良いのでしょうか?

現代ポートフォリオ理論では分散投資を重視しており、保有銘柄が十分に分散化されたインデックス運用が最も効率の良い運用方法であるとされています。

また、インデックス運用は、アクティブ運用のように銘柄選定に伴う調査費用がほとんどかからないことが特徴で、機械的に運用できるのが特徴です。

ただし、それは裏を返せば、インデックス運用は銘柄選定の自由度が低いということでもあります。

仮にベンチマークしている株価指数が急落したとしても、指数算出会社が採用銘柄の見直しを行わない限り、特定の銘柄を排除することはできないのです。

一方のアクティブ運用ですが、リーマンショック等の経済危機で起こる相場の歪みを利用して収益の獲得を目指すのが最大の特徴です。

現代ポートフォリオ運用では、理論的にインデックス運用が最も効率が良いとされているにも関わらず、アクティブ運用が投資信託の代表的な手法として根付いているのは、まさにこの特徴のためで、市場は予想どおりには動かないために、アクティブ運用のような手法が活きてくる場面があるのです。

例えば、リーマンショックや欧州債務危機等、大きな経済危機の発生後の2011年以降、TOPIXなどのインデックスが下落した時にも、内需関連企業を中心に好調を維持した銘柄は存在しました。

アクティブ型の投資信託は、時間とコストをかけて有望な銘柄を発掘し、定期的に入れ替えを行うのが特徴です。

トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ

投資信託で運用する銘柄を選択する際、トップダウン・アプローチとボトムアップアプローチの二つの方法で銘柄を決めます。

トップダウン・アプローチ

 
トップダウン・アプローチは、経済成長率や為替・金利の動向など、マクロ経済の見通しや業種別の分析によって、銘柄を決めます。

例えば今後どこの国が経済成長するか、ということや、株であればどのセクターが好調か等、その時の動向によって投資対象国や業種別の配分を決め、そこに該当する銘柄を決める方法です。

ボトムアップ・アプローチ

 
ボトムアップ・アプローチは、トップダウン・アプローチとは違い、国や業種は考えず、企業分析や調査を行った上で、将来有望で業績が伸びる、利益が上げられると考えられる銘柄を選び、投資信託を作っていく方法です。

グロース・バリュー、大型株・中型株・小型株

主に株で運用する投資信託の場合、どんな株投資するかで、その投資信託がハイリスク・ハイリターンなのか、ローリスク・ローリターンなのかが変わります。

株で投資信託を運用する場合、その会社の時価総額と成長段階によって分けます。時価総額の場合は、大型・中型・小型、といった形で分け、成長段階の場合は、バリュー・グロースに分けるのが一般的です。

時価総額(発行済株式総数×株価)で分けた場合、以下のように分けられます。

  • 大型株(時価総額の大きい企業の株式)に投資する投資信託
  • 中型株(時価総額が中くらいの企業の株式)に投資する投資信託
  • 小型株(時価総額が小さい企業の株式)に投資する投資信託

株式を発行している会社の成長段階によって分ける場合は一般的に、PERやPBRを目安にします。

バリュー 運用は、PERやPBRが割安だと判断できる会社の株で運用する投資信託です。もともと資産価値や業績の評価が割安であるため、値下がりする可能性は比較的低い銘柄への投資をします。そのため、グロース運用に比べると、値動きが小さくなります。

グロース運用は、将来的な成長が見込める銘柄に投資する投資信託です。バリュー運用とは違い、市場では評価されているため、価格が高くなりつつある銘柄のうち、将来性があり、今後の成長ができる銘柄へと投資します。

市場で評価されているため、PERとPBRは高くなります。将来の業績予測に基づいて投資するため、見通しを誤ると大きく値下がりする危険性も高い運用方法と言えますが、見通しどおりになれば、大きなリターンが期待できます。