キャッシュポジションが取れることがポイント

これまでは長らく債券の時代が続き、投資信託も、債券主体のものがよく売れていました。しかし、アベノミクス後、日本の株式市場は活気づき、日経平均も2万円台を付けるなど、回復の兆しを見せています。

また、ゆうちょグループの上場や日銀の国債買い入れによる国債金利の低下等、株が買われる状況となっています。

このような状況を受け、今は株式主体の投資信託が売れるようになってきています。

ランキング上位にはREITも入ってきていますが、長い間債券主体の投資信託が売れていたことを考えると、状況が変わりつつあることが分かります。

そんな中、株式主体の投資信託を選ぶには、いくつかポイントがあります。

まずはキャッシュポジションが取れることが挙げられます。

キャッシュポジションとはその名のとおり、現金のことです。キャッシュポジションが取れるかどうかは、下降トレンドで真価を問われます。

というのも、株式相場の下降トレンドが続いた時にも株への投資を続けなくてはならないのでは、含み損を抱えることになるからです。

例えば、もともと運用していた株が含み損を抱えたので損切りをして、また別の株を買ったとしても、新たな含み損を抱えるだけになる可能性が高いのです。

株式相場全体が落ちている時には、他の銘柄を選んだところで、含み損となることが多いいため、株式投資を控える必要があるのです。しかし、フル投資型の投資信託の場合は、それができません。

そのため、キャッシュポジションを取れるかどうかは非常に重要になります。

下降トレンド時にはいったん株への投資をストップし、投資資金を引き揚げて現金化することができれば、株による含み損のスパイラルに陥らずに済み、相場が好転した時に、再び有望な銘柄を買う、という効率的な運用ができます。

以上のことから、下降トレンドになった際に、キャッシュポジションを取り現金比率を高ることができる投資信託かどうかが重要になります。

なお、キャッシュポジションが取れるかどうかは、目論見書をチェックしてください。

取れる場合は、株式の組み入れや現金の比率を調整する、現金比率をコントロールする、等現金の比率について記載があります。

反対に、キャッシュポジションが取れないフル投資型の投資信託は、90%以上を投資する、株式の組入比率は原則高位を維持する等の記載があります。

また、月次レポートでベンチマークしている指標との比較チャートを確認するのも一つの手です。ベンチマークの上下に投資信託も連動しているのも、フル投資型の特徴です。

集中投資はできるのか

集中投資ができるかどうかも、株式主体の投資信託の重要ポイントになります。

例えば株式相場全体が下降トレンドになった時、全ての銘柄が下がるわけではありません。大部分の銘柄は下がりますが、それに逆行して上がるものも、数は少ないですが、あります。

先ほどは、下降トレンドの時にキャッシュポジションを取ることで効率的な運用ができる、ということを書きましたが、集中投資することでも、効率的な運用ができます。

もしも購入した投資信託が投資している株が、下降トレンドのために値下がりした時、これをいったん損切りして、市場とは逆行している銘柄へ乗り換えて集中的に投資することができれば、運用パフォーマンスも上がります。

日本株主体で運用している投資信託は、多くがTOPIXや日経平均株価をベンチマークしていますが、TOPIXや日経平均が下がれば、ベンチマークしているファンドも当然値下がりします。

そのため、TOPIXや日経平均とは異なる動きをする銘柄を選ぶ必要があり、それに集中投資することで、高パフォーマンスの運用を実現することができるのです。

そのため、株式主体の投資信託を選ぶポイントとして、相場の状況に合わせて、特定の銘柄に集中投資することができるかどうかも重要になります。

ファンドマネージャーの腕も問われる

投資信託の成績のよしあしは、ファンドマネージャーの腕も重要です。

というのも、相場の変化を察知できなければ、折角のチャンスをふいにしたり、相場状況に応じた適切なポジションを取れない、ということになります。

とは言っても、ファンドマネージャーがそれまでどんな運用成績だったのかを知ることは、なかなか難しいと言えます。

ファンドマネージャーを公開している運用会社もありますが、大抵の場合は非公開となっています。

そのため、誰が運用しているのか、その人がかつてどんな投資信託やファンドを運用し、どんな結果だったのかを知るのはなかなか難しいと言えます。

ですので、運用状況からそのファンドマネージャーの腕のよしあしを測る必要があります。

例えば、その投資信託の運用状況を見た時に、基準価額がベンチマークに沿うような動きをしているようであれば、その投資信託のファンドマネージャーは腕が良いとは言えません。

ファンドマネージャーが変われば、投資信託のパフォーマンスの高低も変わります。それくらい、ファンドマネージャーの腕が問われるのも投資信託の特徴と言えるでしょう。