日本で最も人気がある毎月分配型の投資信託

投資信託には毎月分配型という種類のものがある、ということはすでに触れていますが、この毎月分配型は日本ではとても人気があります。

1990年後半に登場し、毎月定期的に分配金をもらえることにメリットを感じた高齢者が購入者の中心となり、爆発的に広がりを見せました。

というのも、ご存じのとおり、現在の日本は超低金利となっています。普通預金をしていても雀の涙ほどの金利しかつかず、定期預金も金利は1%を下回るのがザラです。

また、2000年以降、団塊の世代が退職を迎え、60歳以上の人口が増えたことも毎月分配型投資信託の普及に拍車をかけました。年金を補う意味で、毎月分配型の投資信託を利用する人が増えたのです。

また、国際的にも金利が低下していたため、債権での安定的な収入が期待できるようになったことも毎月分配型投資信託の普及に拍車をかけました。

株などに比べローリスク・ローリターンな債権への投資をする毎月分配型の投資信託が普及するなど、安定型の投資信託が多数登場し、預貯金よりも高い利回りが期待できるとあって、年金のかわりに始める人が多かったのです。

毎月分配型のメリット、デメリット

毎月分配型のメリットは、やはり毎月分配金を受け取れることが一番ではないでしょうか。

毎月分配型がこれほどまでに広まった背景に、預貯金より高リターンが得られることを先ほど挙げましたが、例えば老後に貯金を取り崩しながら生活するよりは、運用しつつ現金を受け取りたい、という方にとっては年金替わりに定期的に受け取れるという意味でメリットになります。

また、毎月分配型は相場の下降局面で大きく下げにくい、というメリットがあります。なぜなら、分配金を出すことで、元本が常に小さく抑えられているためです。

では、毎月分配型のデメリットは何でしょうか?

まず第一に挙げられるのが、長期投資に向いていないことです。これについてはすでに触れましたが、複利効果がないこと、また毎月分配されることでその都度税金がかかることが挙げられます。

また、運用に失敗して運用損益がマイナスになった場合に、信託財産の一部である分配準備金を切り崩して配当を行ったり、分配を中止する場合もあります。

さらに分配準備金が少なくなると、分配額を引き下げることもあります。

そのため、必ずしも毎月配当をもらえるわけではないことも考えられるのです。

さらに、分配金を引き下げることで解約する人が増え、投資している債権や株式を運用会社が売却して投資資金を返金するために、運用額が下がります。その結果、リターンも下がり、投資効率が落ちるというデメリットが挙げられます。

毎月分配型の問題点

先ほど、毎月分配型のデメリットのところで触れたとおり、毎月分配型は分配準備金を切り崩すことがありますが、毎月分配型の問題点はそれだけではありません。

本来分配金は投資信託が株や債券などの商品に投資・運用して得た利益を投資家に分配するものです。そのため、利率や金額はあらかじめ決まっているものではないのです。

分配金は投資信託の信託財産から支払われますが、支払う度に純資産残高が減っていくため、基準価額が減少します。分配金の利回りは基準価額に対する分配金の割合を指しますが、利回りが高くなるほど基準価額は減っていきます。

毎月分配型の投資信託で、分配金を再投資せずに毎月受け取ることを選択した場合、毎月分配金が振り込まれることになります。

基本的に投資信託では、運用して生じた、元本を上回る利益の部分が支払われるのですが、昨今の毎月分配型の人気により、実際の運用益以上のリターンを支払う投資信託も数多くあります。

その場合、運用益だけでは足りず、元本を切り崩してプラスして分配しているのです。元本を切り崩すと当然基準価額が下がりますので、運用パフォーマンスが下がります。

どうしてこのようなことが起こるのかというと、投資信託はれっきとした有価証券で、預貯金とは異なるためです。

預貯金のように金額や支払が約束されたものではなく、元本保証もされていないため、元本を取り崩しても問題ない、ということになってしまうのです。

この分配金ですが、これには2種類あります。一つは普通分配金、もう一つは特別分配金です。

普通分配金は元本を上回る運用益の部分を分配したもので、本来の意味での分配金と言えます。

もう一つの特別分配金は、実は元本払戻金です。特別という名称が誤解を与えるということで問題になり、金融庁からの指導もあったため、2012年より元本払戻金(特別分配金)という名称に変わりました。

この特別分配金は、運用の結果元本を下回ってしまった時に出る配当金です。本来配当金が出せるような利益が出ていないため、元本を切り崩して出すのです。

元本を切り崩した結果、基準価額が下がります。そのようにして運用した場合、運用益は切り崩す前よりも少なくなります。

例えば年4%で100万円と50万円をそれぞれ運用した場合、100万円は1年後に104万円に、50万円は1年後に52万円になっており、それぞれの運用益は、100万円が4万円、50万円が2万円となっています。

この差は運用年数が増えれば増える程に広がっていきます。そのため、元本を切り崩さずに運用するに越したことはないのです。

なお、投資信託の元本を切り崩すことで、特別分配金を支払うことは、投資信託法で認められているため、違法ではありません。

ですので、毎月分配型の投資信託には、このようばデメリットがあることをしっかり押さえた上で、投資信託を選ぶことが大切になります。