毎月分配型と年1回分配型

投資信託には、大きく分けて毎月分配型と年1回分配型があります。毎月分配のように、比較的短いスパン、例えば3ヶ月に1回分配するようなものもあります。

投資信託の基準価額は、株や債券など、投資信託に組み込まれている資産の価格変動によるキャピタルゲインやキャピタルロス、配当や利子などによるインカムゲインよって変動します。

これらの利益や損失を合計した総収益が分配金になるわけです。なお、分配金額は、各ファンドの収益分配方針に基づき、決算日に運用会社が決定します。

毎月分配型は、比較的短いスパンで分配金の支払がある投資信託の中でも、分配金を支払う頻度が多いものになります。

毎月分配型の場合、損益に合わせて分配金を毎月変えるのではなく、一定水準の金額を安定的に支払い続けるタイプのものが多いのが特徴です。

一方、年1回分配型の投資信託は、一般的に、分配金の支払の有無や分配金額を、運用結果によりフレキシブルに変えているのが特徴です。

年1回分配型の投資信託は長期的な運用による資産形成を目指しているため、トータル・リターンの額で分配金が決まるわけではないことに留意する必要があります。

また、投資信託によっては、毎月分配型と年1回分配型のどちらかを選べるものもあります。同じ投資信託であるため、運用方針はどちらを選んでも変わりません。

ただし、分配方針が違うため、基準価額の変動幅や投資期間が同じであっても分配金額の合計に差が出る場合があります。

毎月分配型の投資信託の毎月の分配額は、1ヵ月の運用期間中に得られた収益とは同じにならないことに注意が必要です。

一方、年1回分配型の場合、運用状況に応じて分配を決めます。このように分配額にも違いがあることに気を付けましょう。

また、毎月分配型と年1回分配型とでは、税金にも違いがあります。

分配金には普通分配金と特別分配金があります。特別分配金(元本払戻金)は非課税ですが、普通分配金は課税対象となります。

そのため、決算回数が多いと課税の頻度も多くなります。そのため、毎月分配型よりは年一回分配型の方が課税タイミングが少なく、メリットがあると言えます。

無分配型と再投資型

投資信託には無分配型と再投資型というものがあります。無分配型も再投資型も、分配金を投資家に直接還元しない投資信託になります。

これだけ聞くと、メリットがありそうに思えませんが、ではどんな利点があるのでしょうか。

実は、長期投資による資産形成という観点から見た場合、無分配型や再投資型の投資信託にアドバンテージがあります。なぜなら、複利効果があるからです。

無分配型や再投資型の投資信託は、投資信託の運用による収益をそのまま投資信託に残して運用を続けます。運用額が大きくなっていきますので、年数を重ねるごとに利益が大きくなるのが無分配型や再投資型投資信託の特徴なのです。

例えば、年3%で運用する100万円の無分配型、再投資型投資信託を購入したとします。

その場合、1年目は100万円運用し、3万円の運用益が出ることになります。

これを分配せず、そのまま投資信託に組み込んで運用しますので、2年目には103万円で運用することになり、2年目の運用益は3万900円になります。3年目の運用額は106万900円となり、運用益は3万1,827円になります。

このように、年を追うごとに運用益が大きくなるのが特徴で、これが無分配型と再投資型の投資信託で期待できる複利効果です。

なお、分配型の投資信託の場合、同じ運用年数であっても、毎年の運用益は変わりません。上の例で考えると、1年目、2年目、3年目の運用益は、それぞれ3万円になります。

なぜなら、分配金を出すため、運用額は当初と変わらず100万円のままだからです。

このような複利効果が期待できるのが、無分配型や再投資型投資信託の長所です。

では、無分配型と再投資型はどのように違うのでしょうか。

無分配型投資信託と再投資型の違いは、課税の繰り延べの有無です。投資信託の運用によって生じた収益分配金の税率は20%ですが、無分配型の場合、分配金がないため、この税金がかかりません。償還の際の利益には税金がかかりますが、それまでの運用期間中には税金がかからないのが特徴です。

そのため、上で挙げた例のとおり、無分配型は運用益をそのまま運用益を回してきますので、1年目は100万円運用して3万円の運用益、2年目には103万円で運用し、3万900円の運用益、3年目の運用額は106万900円で運用し、3万1,827円の運用益を得ることになります。

一方の「再投資型」の場合は、一旦分配され、再投資に回したという形を取るため、分配時点で課税されてしまいます。そのため、無分配型に比べると収益性の面で劣ります。

ですので、上で挙げた例で考えると、再投資型の場合は1年目で100万円を運用しても税金20%が引かれますので、実質的には2.4%で運用したことになってしまいます。

そのため、1年目の運用益は、100万円×0.03×0.8=2万4,000円になります。

2年目は102万4,000円を運用することになり、これにより生じた運用益は、2万4,576円となります。

3年目は104万8,576円を運用することになり、これによって生じた運用益は2万5,166円となります。

このように、再投資型は無分配型に比べて複利効果が小さくなってしまいます。そのため、長期運用の場合は無分配型の方が再投資型よりもより多くの運用益を得られ、投資効率が良い、ということになります。

長期で運用利益を得るのであれば無分配型と再投資型であれば無分配型を選択する方が圧倒的にお得ということになります。

また、NISA口座での運用でも無分配型の方が再投資型よりもアドバンテージがあります。

というのも、NISA枠は1年間で100万円(2016年より120万円)という制限がありますが、再投資型の場合、この再投資分が新規投資とみなされてしまうのです。

そのため、すでに100万円分の枠を使った場合、その再投資分はNISA口座ではなく通常の課税口座で管理しないといけません。

一方、無分配型の場合は、増加した基準価額は単なる時価の増加とみなされる為、増額分はそのままNISA口座で運用され非課税のままとなります。

このように、長期投資で考えた場合、無分配型の方が再投資型よりもより多くのメリットが得られます。

ただし、無分配型の投資信託は、現在日本に少ないのが難点です。とはいえ、全くないわけではないので、長期的視点で投資信託投資をする場合は無分配型を選んでみるとより効率的に資産運用できます。