投資信託は株式や債券への投資と何が違うのか

投資信託はよく銀行預金や株式と比較されますが、違いが分かりにくいとも言われます。

例えば銀行預金ですが、銀行預金の一番の特徴は元本保証です。銀行が倒産しなければ、預金は減ることはなく、ほぼ確実に手元に戻ってきます。

仮に倒産したとしても、ペイオフにより、1金融機関1預金者あたり1000万円までは戻ってきます。このように安定性が高いため、安心して利用できる金融商品ということになります。

しかし、投資信託は銀行預金と違い、元本保証はされていません

株式投資の特徴

  1. ハイリスク・ハイリターン
  2. 取引毎に手数料がかかる
  3. 手数料は証券会社によって異なる

例式投資は、ハイリスク・ハイリターンといえます。自分で銘柄を選びその株を買って保有するのですが、株価が上がればその分が利益となります。

選んだ銘柄の株価が1年後には2倍となっているかも知れず、そうなったときは大きなリターンを得ることができます。

しかし株価が下がり、半額になってしまうかもしれませんし、会社が潰れて株の価値が零になってしまう可能性もわずかながらあるのです。

また、株を買うにはある程度のまとまった資金が必要であるため、手軽に手を出すのは難しいといえます。

株式の取引の際は各証券会社によって決まった取引手数料がかかりますので、取引する銘柄によってはなるべく安くすむ証券会社を選ぶこともできます。

店舗型証券会社を選んだ場合は手数料が高くなる傾向がありますが、証券会社の相談員から投資に対するアドバイスをもらうこともできます。収益性は高いものの、元本保証はなく安定性に欠ける金融商品です。

債権投資の特徴

  1. 借用証書のようなもの<
  2. 定期的に金利が入る
  3. リターンは低い

債券ですが、こちらは簡単に言えば借用証書のようなものです。

例えば、政府や会社など、個人とは比べ物にならないほど返済力がある場合、銀行から借りずに資金を調達することができます。その方法の一つが債券の発行です。

債券を発行することで投資家などから資金を調達して利息を支払うのですが、債券の場合は毎年一定額の現金の支払い(クーポンといいます。毎年2%や5%など)を一定期間行なうことを約束します。 その期間が終わった時には借りたお金である元本(額面)をまとめて返済しているのが特徴です。

多くの債券が市場で売買されており、価格は変動しますが、債券投資は利子や満期日に元本が戻ってくることが約束されているため、株式より値動きが安定しているのが特徴です。

ただし、収益は市場の金利に連動するため、長期で見た場合、一般的には株式ほど高い収益は得られません

投資投資の特徴

  1. 複数ジャンルに分散投資<
  2. 同一ジャンル内でも複数銘柄に分散投資

このように、株式や債券はそれぞれ特徴があり、株式に投資する投資信託は株式の特徴を、債券に投資する投資信託は債券の特徴を持っています。

一つの銘柄の株式、一つの債券に投資するのではなく、複数の異なる銘柄、複数の種類の債券に投資しますので、株や債券の特徴があるとは言っても、単体の株式や債券とは異なる動きをします。

また、投資信託は、様々な金融商品を組み込んでひとまとめにしている投資商品ですので、株式や債券を組み合わせている投資信託もあります。このタイプの投資信託は、株式と債券の両方の特徴をあわせ持っていると言えます。

投資信託とファンドの違い

ファンド 規制の対象外のものがある
投資信託 規制の対象

投資信託のことをファンドとも呼びますが、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

ファンドとは、基金や運用資金のことを広く指す言葉です。広く投資家から集めた資金の運用を投資顧問会社等の機関投資家が代行する金融商品のことを指すため、公募投資信託、私募投資信託、特定金外信託、匿名組合やリミテッド・パートナーシップ等を指します。

そのため、ファンドは、投資信託以外にアニメーション制作やベンチャー企業への資金提供、新興国でのマイクロファイナンス等、様々なタイプのものが販売されています。

これらは、先ほど挙げた匿名組合やリミテッド・パートナーシップ等の形態をとったファンドです。

これらのファンドのなかには、行政の監督下になく、証券投資信託法や証券取引法等、投資家の保護を図るための販売規制や、金融商品の組成・運用に係る規制が適用されていないものも多くあるのも事実です。

一方投資信託の場合は、このようなファンドに比べてはるかに監督体制が厳しく、行政によって監理されているという特徴があります。

なぜなら、投資信託の場合、「投資信託及び投資法人に関する法律」という法律に基づいて資金を集めて運用し、情報開示を行い、利益を受益者に還元しなければならない決まりがあります。

そのため、投資信託は目論見書を交付する必要があります。このことから、投資信託は、「行政の監督を受けた投資信託委託業者によって厳正な管理の下で運営されている」金融商品と言えます。

また、ファンドは資産運用会社のことを指す場合もあります。しかし、投資信託と資産運用会社は、別の法体系の下で認可や届け出を出して成立しています。

このように、ファンドという言葉は広い意味で使用されています。商品そのものを指す場合のみならず、会社のことを指すなど、混乱してしまいそうです。

「ファンド」という言葉が投資信託を意味しているのか、それとも匿名組合のような集団投資スキームを意味しているのか、はたまた、運用会社のことを指しているのか、文脈によっても変わってきます。間違えないように気を付けましょう。