権利確定日までの流れを知ろう

配当金や株主優待は、それを受け取るために「この日までにその株を保有しておく必要がある」という日が設定されています。その日までに株を保有し、配当金や株主優待などを受ける権利が確定して初めて受けられるのです。

この権利が確定する日を「権利確定日」と言います。各会社ごとに「権利確定日」を設定しており、その日の時点で株主として登録されている人に対して配当金や株主優待を送るのです。

権利確定日については、会社四季報や各社のホームページに掲載されています。また、証券会社によっては、様々な会社の権利確定日をホームページに掲載しているところもあります。

ただし注意したいのが、権利確定日に株を購入しても、権利確定にはならない、ということです。

というのも、株の場合、名義書換に3営業日必要になるからです。「営業日」ですので、その会社が営業している日ということになります。

そのため、基本的には土日祝日を除く平日を指します。ですので、例えば、9月30日権利確定日の株があったとします。9月30日が月曜日だった場合、その3営業日前は9月25日(水)です。ですので、この日までに株を保有しておく必要があります。

つまり、9月30日に株主として登録されるためには、権利確定日を含まない、3営業日前までに株を持っていないといけない、ということになります。

なお上記例の場合、9月25日を「権利付最終日」といいます。9月25日に株を買い、仮に翌日の9月26日に株を売却したとしても、配当金や株主優待を受け取る権利を得ることができるのです。なお、9月26日のことを「権利落ち日」といいます。

権利確定日を知る事で、キャピタルゲインが得られる可能性も

株主優待銘柄は個人投資家からの人気が高いものが多いのですが、その中でも特に優待内容がよく人気のある銘柄については、個人投資家からの注目が高いと言えます。

権利確定日が近づくにつれ、個人投資家が買い進めていくために、株価が上昇していく傾向にあります。そのため、多くの個人投資家が買い始めるよりも早い時期に人気の優待銘柄を買うことで、安い時に買えて株主優待も得られます。

そして、権利確定日直前に売却することで、値上がり益も得られる可能性があります。なお、権利確定日後は株価が急落することが多いので、権利確定日直前に人気の優待銘柄を買うのは避けた方が良いでしょう。

このようにキャピタルゲインを得る方法以外に、株主優待を得るために有名な方法として、「つなぎ売り」というものもあります。
つなぎ売りとは、現物の買い+信用の売りで現渡しとする取引です。

権利日に株主になるためには権利確定日の3営業日前の権利付き最終売買日までに株を買っておかなければなりません。この日の翌営業日に当たる権利落ち日には、株価が下落することが多い、ということはすでに書いたとおりです。

この権利落ち後の下落リスクを避けて優待を取る方法がつなぎ売りです。優待や配当の権利付き最終売買日の翌日後の下落幅は、優待や配当の分を超えて下落することもあります。

もちろんこの値下がりは一時的なものであることがほとんどですが、権利が取れた後はできるだけ早く売却したい、という個人投資家もいます。そんな時につなぎ売りを利用すると、このような下落を気にすることなく、すぐに売却することができます。

このつなぎ売りは、権利付き最終売買日より前に現物取引で必要な単元数を買い、同じ値段で信用取引で同じ単元数を空売りし、優待権利獲得後に「現渡し」の方法で2つの取引を終了する、というシンプルなものになります。

売りと買いで値動きによる損益を相殺するために、現物の買いと信用の売りを同じ価格にする必要があります。ですので、権利付き最終売買日の寄付で買うのが一般的です。

なお、配当のある銘柄では、信用取引の売り建てで権利日を持ち越した場合は、配当相当分が引かれてしまいます。現物の買いでもらえる配当は、信用の売りで相殺されるため、配当が受け取れなくなってしまうことに注意しましょう。

また、つなぎ売りにはできる銘柄とできない銘柄があります。信用取引で空売りができない銘柄があり、このような銘柄についてつなぎ売りはできません。

つなぎ売りができる銘柄は、貸借銘柄に指定されている銘柄か、一般信用取引で売り建て可能な銘柄の2つです。

なお、一般信用取引で売り建て可能な銘柄についてですが、証券会社によって取扱い銘柄が異なるので、注意が必要です。

なお、つなぎ売りには注意が必要です。値下がりリスクは避けられても、優待金額以上に費用が発生し、トータルでマイナスとなってしまう場合もあるからです。

というのは、信用取引で空売りした場合、貸株料というレンタル料が必要になります。これに加えて売買手数料もかかるのです。

また、貸借銘柄の場合、空売りがあまりに多いと逆日歩という追加のレンタル料がかかることもあります。

逆日歩が発生したとしても、金額が少なくて済むこともありますが、時には予想以上の金額がかかり、優待金額よりも大きくなってしまうこともあります。そのため、つなぎ売りをする際は、逆日歩のことも考慮に入れる必要があります。

逆日歩がつくかどうかは最終売買日の翌日に分かります。ですが、前もって、「逆日歩がつきそう」な銘柄を予想することはできます。

最終売買日直前に、信用売残が信用買残を大幅に上回っている銘柄や、貸株注意喚起銘柄、過去に高額の逆日歩がついた銘柄を避けるようにしましょう。

逆日歩は、借入の受渡日から返済の受渡日までの日数マイナス1日分かかり、祝日や土日を挟むと日数が増えます。そのため、逆日歩が多くかかる月については、つなぎ売りを行わない、という選択肢も有効です。