IPOとは
IPOとは新規公開株のことで、Initial Public Offering を略した名称です。IPOは比較的リスクが少なく、短期間に何倍にも株価が上昇する可能性のある、ローリスクでハイリターンな株式投資と言えるため、非常に人気があります。
短期間に株価が上昇する可能性がある、と書きましたが、その根拠として、実際に2014年は77社が新規上場し、新規公開株の公募価格(売出し価格)より初値(最初についた株価)の方が高い銘柄が大部分を占めています。
中には例外もありますが、新規公開株に応募して公募価格で買えた場合、初値ですぐ売ってしまうだけでキャピタルゲインが狙える可能性が高いことが分かります。
では、IPOは普通の株とどう違うのでしょうか。
そもそも、証券会社を通じて売買できる株は上場株といい、東京証券取引所などの証券取引所の審査基準を満たし、一般の投資家が自由に株券を売買できる会社の株です。
しかし、世の中には上場していない会社もたくさんあります。未上場の会社は上場会社よりもずっと多いのです。
未上場の会社の株は、会社のオーナーやその家族、創業時の役員など、少数の特定株主のみがその株を保有しているパターンが多く、市場で自由に売買をすることができません。
未上場の会社が上場する事を、株式の新規公開といいます。新規公開するときには、上場する会社は公募や売出しを行います。
なお、公募は新たに株式を発行して市場から資金を調達する事で、売り出しは既存の株主が株式を市場に放出する事を言います。その時、市場に売り出される株式が新規公開株なのです。
公募や売出しの株券の価格は、現在ブックビルディング方式により決定されるのが主流です。ブックビルディング方式は需要申告方式とも言い、引受証券会社が仮の発行条件を提示し、投資家の需要を調査した後、株券の発行価格を決めます。
例えば、仮の発行条件が、1株10万円~12万円で決定されるとします。これに対し投資家が、「10万円で10株購入したい」 「12万円で20株購入したい」 「11万円で10株購入したい」 などと申告します。この需要を引受証券会社が調べ、それを踏まえた上で、この株の発行価格が決定します。
IPOの流れについて
まずは証券取引所に上場することが承認されます。承認後、新規公開までは約1ヶ月かかります。上場が承認されると、その会社の新規公開株を取り扱う証券会社のホームページ上などで告知されますので、IPO銘柄を知りたい場合は、様々な証券会社のホームページをチェックしましょう。
次に、新規公開株の価格帯を設定します。この価格帯は仮条件と言い、機関投資家等の意見をもとに設定します。この仮条件は通常、値幅を持たせます。
例えば1株500円から505円といった感じです。この仮条件を元に、ブックビルディング(需要申告)に入ります。なお、仮条件は上場日の約半月前に決定します。
ブックビルディング期間に入ると、証券会社は提示された仮条件を元に、その価格帯で投資家がどれだけ買いたいかというニーズを調べ、価格を決定します。
新規公開される株を買いたい投資家は、このブックビルディングに参加し、仮条件の範囲内で、いくらで何株買いたいかを申告します。それを元に、公募・売出し価格が決定するのです。
その後、最終的な公募価格が決定します。IPOでは公募価格で新規公開される株を購入できます。なお、各証券会社に割り当てられた新規公開株数よりも申込みのほうが多い場合は、抽選が行われて割当てされます。
抽選に当選したら、購入申込期限日までに購入の意思を決定し、購入資金を入金します。この後、いよいよ新規上場となり、新規上場日に一般の投資家も売買できます。一般の投資家の買い注文と、IPO抽選に当選した投資家の売り注文のマッチングで初値が決まります。
このような流れでIPO銘柄は取引されます。
なお、そんなIPO銘柄に申し込むには、まずは証券会社のホームページ上をチェックし、IPOや新規公開株式の情報が掲載されていないか探します。これら情報は、トップページのお知らせ欄などに出ている場合もあります。
ホームページでは、その証券会社が取扱うIPO銘柄が掲載されていますので、申込受付期間中の銘柄を選び、申込みます。申込画面に進み、通常の株取引と同様、買いたい株数と金額を入力し、申込をします。これで申込完了です。
なお、IPOの資金の入金の時期は証券会社によって異なります。申込の時点で口座に申し込む銘柄が買えるだけの資金が必要な場合が多いようですが、中には購入申込の期限までに資金を入金する証券会社や、当選した場合のみ資金を用意する証券会社もあります。
なお、申込の段階で資金が必要でも、抽選に外れた場合は資金は戻ってきます。
IPOのメリットとは
そんなIPOのメリットは、最初に触れたとおり公募価格で買えた場合、大きな値上がり益を得られる可能性があることです。市場でついた初値が公募価格を大きく上回る可能性は非常に高く、中には公募価格の何倍にもなることもあります。
株式を新規公開すると、今までは一般の投資家は買う事が出来なかった株が市場に出回ることになり、新しいビジネスモデルを持った注目の企業や、急成長中の企業が人気を集め、上場後買い注文が殺到し、初値が大幅に上がることもよくあります。
なお、新規公開株は、その新規公開する株を取扱う証券会社のホームページ上などで広く告知します。
公開後に初値がついた後は値動きが荒くなることが多く、ハイリスクハイリターンになるものの、値上がりの可能性が非常に高く、しかも大幅な値上がり益が狙えるかもしれないため、初心者でも利益を出しやすい銘柄であると言えます。
また、IPO株の取得には売買手数料がかからないのも特徴です。
IPO当選のポイントは、主幹事証券会社
実はIPOの株は全ての証券会社に平等に割り当てられるものではありません。
新規公開の株を引き受ける証券会社を幹事といいますが、その中でも主幹事となる証券会社があります。実は、新規上場する株の約半数は主幹事証券会社が引き受けるのです。
例えば、
- 主幹事の証券会社・・・ 50%
- 幹事の証券会社1・・・ 20%
- 幹事の証券会社2・・・ 20%
- 幹事の証券会社3・・・ 10%
というような感じです。
上に挙げた例からも分かるとおり、同じIPOでも割り当てられる株式の割合は主幹事が一番多くなるため、主幹事の証券会社で申し込んだ場合、その他の証券会社に比べて当選確率が高くなります。
IPOの抽選に申し込む際は、主幹事の証券会社で積極的に参加するのが良いでしょう。
ネット証券については、抽選が比較的平等に行われていることが多いようです。しかし、ネット証券が主幹事になる回数は、大手対面証券会社に比べて少ないようです。
しかし、2005年にマネックス証券がネット証券初の主幹事になり、同年は3つの主幹事を務めるなどしたことで、ネット証券の主幹事も徐々に増加してきています。
また、証券会社のIPOに関する優遇サービスをフルに利用することをお勧めします。
これをうまく使うことで、有利にIPO抽選に参加することができます。
例えば、SBI証券などは、IPOに外れたとしてもポイントがもらえ、このポイントを貯めて利用することで当選確率がアップしますし、松井証券の場合はIPO抽選に同じ資金で時間差で参加することが可能など、各社様々なサービスを行っています。
数多くの証券会社に口座を持つことでIPOの当選確率は上がります。とはいえ、どの新規上場銘柄がどこの証券会社で取扱いされるか、またどこの証券会社が主幹事になるかはその時にならないとわかりません。
そのため、できるだけたくさんの口座を持っておき、IPOのお知らせが出た時に、どこの証券会社からでも申込ができるようにしておきましょう。