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配当には3種類ある
配当はキャピタルゲインや株主優待と並んで、株の大きな魅力の一つであると言えます。株式投資の大きな魅力の一つである配当について解説していきましょう。
配当とは、企業の利益の一部を保有する株数に応じて株主に分配するものです。この配当金による利益はインカムゲインと言います。
配当は基本的に利益が出ないと出せません。そのため、赤字が続くと減配となったり、あるいは無配になります。
この他に、設備投資や新規事業のために、無配とする会社もあります。しかし、現在は株主還元が重視されているため、大多数の企業が配当を出す姿勢を見せています。
配当には、3種類あります。
- 普通配当
株におけるいわゆる「配当」は、この普通配当のことを指します。普通配当は1年に1回~4回支払われています。以前は年に1回、あるいは半期ごとに1回の年に2回の支払でしたが、2003年に四半期決算が上場会社に義務付けられ、2006年に会社法が施行されたことで、定款を変更すれば、株主総会の議決によって、年に4回配当を出すことが可能になりました。
普通配当の中には、中間配当と四半期決配当というものがあります。中間配当は、中間決算後に支払われる配当金のことで、四半期決配当は四半期決算後に支払われる配当金のことを言います。
- 記念配当
その会社の創立○周年記念や上場記念等、会社の記念となるような出来事を祝して出す配当です。 - 特別配当
大きな利益が出たり業績が良かった時などに支払われる配当金のことです。
配当でチェックすべきポイント1 配当の回数
配当については、やはり高配当銘柄が魅力的に感じるかと思います。確かに高配当銘柄は人気ですし重要ですが、良いとは言えないものもあります。
例えば、高配当銘柄だと思って飛びついてみたものの、実は業績が振るわず、株価が低水準に抑え込まれたために配当利回りが高くなっているケースがそうです。そのため、単純に高配当銘柄が良いとは言えません。
また、配当が出るとは言ってもその配当が一過性のものであっては意味がありません。配当は毎年あるから良いのです。
そのため、高配当以上に配当回数を重視する必要があります。連続して配当を出しているかどうかをしっかり見ましょう。連続して配当が出せる、ということは、それだけ競争力のある企業であるということでもあります。
例えば、花王は25回連続で配当を出しています。花王の配当利回りは高くはなく、2015年10月7日現在1.38%ですが、継続して配当を出し続けています。
この他にも、進学指導塾の明光義塾を運営する明光ネットワークジャパンも17回連続配当を出しています。こちらの配当利回りは2015年10月7日現在2.67%となっています。このように継続的に配当を出している会社を選ぶのが良いでしょう。
配当でチェックすべきポイント2 特別配当や記念配当の有無
特別配当とは、業績が好調であった決算期に出る配当のことです。
記念配当と似ていますが、特別配当は長期にわたって配当されるのが特徴です。増益期を過ぎてしまった場合、特別配当分をはずしても減配とはみなされないので、特別配当を実施する企業は少なくありません。
特別配当は会社に体力がある、という一つの目安になります。普通配当に加えて出せるだけの余裕があるということが分かるのです。
また、記念配当についてですが、こちらは最初の方で紹介したとおり、「会社の創立記念○周年」などといったメモリアルに出されるものです。
ただし、こちらは特別配当とは異なり、連続して配当するものではなく、その時の1回のみの配当になります。そのため、記念配当を行ったからといって、その会社に余力があるとは基本的には見なせません。
しかし、このところ、『記念配当→そのまま増配』のパターンも出てきています。例えば4円、5円、6円、8円、10円(記念配当)というように、増配を連続してきた銘柄が、ある年に記念配当を出したケースで見られます。
この場合、記念配当の後も、記念配当と同じ配当額を維持したり、そこからさらなる増配をすることもあります。
ただし、10円、10円、10円、15円(記念配当)というように、毎年同じ金額を配当として出しており、ある年にだけ記念配をポンと出した会社の場合は増配への意欲は薄く、この場合は記念配当後に、記念配当と同じ配当額を維持したり、増配する可能性は非常に低いので、要注意です。
配当でチェックすべきポイント3 キャッシュリッチかどうか
ここで言うキャッシュリッチは、利益剰余金があるかどうかということを指します。
利益余剰金は内部留保のことですが、これが多ければ配当を出せるだけの余裕があるということになります。
また、内部留保があるということは、これまで安定して多くの利益を稼いできたことの証左でもあります。内部留保があるということは、収益の基盤が強いことを示しています。
この利益余剰金を発行済株式総数で割り、1株あたりの配当金で割ると、その配当額で、何年間配当を出し続けることができるかが分かります。その数値が5であればつまり配当可能年数は5年です。この配当可能年数ですが、10年を一つの目安としましょう。
配当でチェックすべきポイント4 売上高営業利益率を見る
売上高営業利益率は、営業利益を売上高で割って算出されます。ここからは、企業が本業で稼ぎ出す利益(営業利益)についての収益力が判断できます。この売上高営業利益率からは、その会社が放漫経営となっていないかなどが分かるのです。
売上高営業利益率が高い会社が配当を出しているのであれば、今後の増配が期待できます。売上高営業利益率の目安は大体10%です。10%以上であれば、不況にも耐えられるだけの収益力があると言えます。