株主優待とは
株主優待とは、会社が株主に対して、配当金と同じように利益の還元をしてくれるものです。
配当金が「お金」を受け取れるのに対して、株主優待は会社ごとに工夫を凝らしたさまざまな品物・サービスが受けられるのが特徴です。実は株主優待制度は日本独特のもので、諸外国ではほとんど例がありません。
また、配当は税金がかかりますが、優待は一般的には課税されません。ただし、優待でもらったものを換金した場合は所得となり、一定額以上は課税対象と考えられています。
株主優待は、会社によって様々なものがあり、その会社が株主優待を実施している限り、株を持っていれば毎年もらえます。株主優待は、使わない人にとってはあまり意味がないものも多いですが、使う人にとっては配当金よりも有利なことがあります。
例えば、2014年3月期のオリエンタルランドの配当金は100株保有で年間14000円ですが、それに加えて株主優待としてディズニーランドのパスポートが年間2枚もらえます。パスポートは1枚6400円なので、2枚だと12800円分となり、ディズニーランドやディズニーシーに行く人にとっては大きな魅力であると言えます。
もちろん、配当金も株主優待もどちらももらうことができますので、自分がよく利用するサービス等の企業が株主優待を出していれば、その企業の株を保有していると毎年いろいろな株主優待サービスを受けることができます。
株主優待は、その企業の特色が出ている特典・サービスが多く、企業の数だけ優待品があります。また、最近では、株主優待だけで生活する桐谷広人七段がテレビで取り上げられたこともあり、株主優待に脚光が集まっています。
株主還元が重視されている昨今、配当や株主優待に力を入れる企業は増えています。企業側としても、個人投資家を長期安定株主にしたいという思惑があり、株主優待に力を入れてくる企業は今後ますます増加すると考えられます。
そんな株主優待ですが、優待を受ける際に考えたい指標があります。それは「優待利回り」で、文字通り「株主優待」の「利回り」のことです。
優待利回りとは、投資金額に対する株主優待(収益)のことを言い、株主優待の価値÷投資金額で算出されます。
簡単に言えば、「投資金額に対して、どれだけ株主優待がお得か?」を示す指標が優待利回りということになり、この数値が高ければ高い程お得であると言えます。商品券やグルメカードなどの金券や図書カードの場合、額面(金額)が分かっていますので、優待利回りをすぐに求めることができます。
例えば、投資金額20万円である銘柄を買い、1万円分のQuoカードをもらったとすれば、1万円÷20万円×100=優待利回りは5%ということになります。もし同じ投資額で、2万円分の商品券をもらったとすれば、優待利回りは10%になります。
額面はなくても、株主優待の価値が分かっている場合、価値を調べて優待利回りを算出することが可能です。
例えば、先に挙げたオリエンタルランドの優待ですが、100株保有で東京ディズニーランドやディズニーシーで利用出来る「1デーパスポート」がもらえます。1デーパスポートは大人1名6,400円です。
6,400円(優待)÷700,900円(100株の購入代金)×100≒0.91%
優待利回りは大人1名で0.91%になります。なお、高配当利回りは大体3%~4%以上が目安です。そのため、オリエンタルランドについて言えば、優待利回りは低いと言えます。
無料宿泊券や、企業の商品などの株主優待も、その商品の値段を調べれば株主優待を算出することが可能です。
ただし、価値が曖昧なものに関しては、優待利回りを算出することができないケースもあります。それは、優待の価値が変動する場合です。
例えば、有効期間中使い続けられるイオンの割引オーナーズカードは使えば使うほど お得になりますし、一度も使わなければ得をすることはありません。
あとは、価値が図れない場合も優待利回りを算出することができません。例えばタカラトミーは、市販されていない株主限定のおもちゃを株主優待で贈呈しています。
しかし、これらの商品は市場に出回っていない以上、価格が分からないのでどれだけお得かは分からないのです。
もし、その企業の商品やサービスを日頃から愛用していて、優待利回りに関係無く、これからも応援したいのであれば、満足度という意味において良いと思います。
ただ、そうでもない場合は、利回りをきちんと算出して、自分にとって一番お得な方法を選んでいくのも、株主優待を長く続ける上では大切であると言えます。
株主優待にはどんなものがある
すでにいくつかの例を出しましたが、株主優待は様々なものが実施されています。「それなりに高い金額を株式投資に回していないと、株主優待はもらえないのではないか」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。5万円以下で株主優待が受けられるような銘柄もあります。
例えば、ライフライン敷設などの土木工事を得意とする建設会社のアジアゲートホールディングスは、2015年10月7日現在1株66円のため、6,600円で株主優待が受けられます。この会社の場合、100株以上保有の株主に対し、株主様特別優待料金を適用し、同社が運営するゴルフ場・ホテルで株主優待割引料金で利用できるのです。
また、銀行や保険会社、クレジット会社の情報システム開発を行っているクロスキャットは、100株以上保有の株主に対し、株主優待を実施しています。2015年10月7日現在1株432円のため、43,200円で株主優待が受けられます。受けられる内容は、100株保有の場合は500円相当のクオカードがもらえる、というものです。
また、コピー、FAX、プリンターやそれらの複合機、デジタルカメラの製造・販売で有名なリコーは様々な株主優待を実施しています。
2015年10月7日現在1株1,286円のため、128,600円で株主優待が受けられます。例えば同社の株を100株持った場合は、卓上カレンダーと500組1,000名限定(応募人数が多かった場合は抽選)のラグビー観戦会、1,000組2,000名限定(応募人数が多かった場合は抽選)の日本化学未来館の招待券がもらえます。
このように、各社様々な内容の株主優待を実施しています。乳がんや子宮がん検診のクーポンを贈呈する会社(T&Cホールディングス)、DNA解析を行ってくれる会社(ネクシィーズ)、自社製品のオリジナルミニチュア(非売品)(小松製作所)等、中にはユニークな株主優待を実施しているところもあります。
株主優待を楽しめるのも株の醍醐味ですので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。