各四半期利益の出し方は会社によって癖がある場合も

会社は年一回本決算を出しますが、その後も、3ヶ月に1回ずつ四半期決算を出します。本決算はもちろん注目されますが、四半期決算もマーケットの大きな関心事なのです。

四半期決算の中では、その四半期の売上や利益がどうだったのかが発表されます。各四半期ごとに発表され、第4四半期決算については、本決算で他の各四半期の結果と合算されて発表されます。

各四半期についても、非常に注目したいポイントです。というのは、会社によって癖がある場合があるからです。

例えば、毎年第3四半期と第4四半期に一年の利益の半分以上を稼ぐ会社、毎年第2四半期にほとんどの利益を稼ぐ会社、あるいは、その四半期もバランスよく利益を稼ぐ会社など、実に様々です。

例えば、おもちゃの製造をしている会社などは、クリスマスや正月商戦の関係上、毎年12月や1月に大きく売り上げて大きな利益を出すところもあります。

その場合はその月が含まれる四半期の売上が非常に大きくなります。また、会社の中には特定の期に利益が集中することを決算書の中で示唆するところもあります。

特定の期に利益が集中することが分かれば、その会社の業績予想も立てやすくなります。

業績予想の会社による傾向がある

会社は、決算発表時に次の期の業績予想を発表します。次の決算発表までの間に予想に変化があれば、適宜修正発表をしていきます。
会社の業績予想についてですが、実は会社によっては癖がある場合があります。

例えば、毎年当初の業績予想よりも、実績が下回る会社もあります。反対に、毎年当初の業績予想よりも実績が上回る会社もあります。

前者の場合、会社予想はいつも強気であると言えますし、後者の場合はいつも保守的であると言えます。

常に強気予想、常に保守的という会社は実は多くなく、基本的には強気と保守的を織り交ぜた業績予想になっていることが多いのですが、そんな中でもやはり傾向はあります。例えば、7:3の割合で強気予想が多い、9:1の割合で保守的であるなどです。

強気予想が多い会社が珍しく予想以上の業績を上げた場合は、その時は何か特別な理由があったのだろう、ということになりますし、保守的な会社が珍しく予想を下回る業績だった場合は、突発的な理由…例えば、世界的な経済危機のあおりを受けた、大災害が発生した等が考えらえます。

また、業績予想については、会社の社長の方針に左右されることもあります。社長がいけいけドンドンである場合、毎年のように現実から乖離した業績予想を発表することもあります。

そんな会社の社長が交代し、次の社長が慎重な人である場合は、業績予想が急に保守的になることもあるのです。

会社の業績予想は株価にも大きな影響を与えますから、その会社が普段どんな業績予想を立てているのかをチェックしてみることも大切です。

自己資本比率をチェックしよう

自己資本比率は、自己資本÷総資本で算出されます。

自己資本比率は株式投資で非常に重要です。というのも、株をやるからには、当然潰れない会社に投資しなければいけないからです。特に中・長期投資を考えているのであれば、会社の財務状態は非常に重要になります。

営業利益や経常利益など、その会社の財務内容を見るための注目ポイントは色々とありますが、自己資本比率は見逃せないポイントです。

自己資本比率が高いほど、潰れにくいからです。なぜなら、自己資本比率が低ければ、借入金等の他人資本に頼った経営をしていることになり、その影響を受けやすいということになりまし、会社の独立性という観点から不安が生じます。

では自己資本比率がどのくらいなら倒産しないのでしょうか。一般的には40%以上を目安にします。自己資本比率が50%以上あれば優良企業、70%以上であれば自己資本比率が理想的な企業と言えます。

また、黒字企業で大体25%程度であることが多いようです。一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業、40%以上なら倒産しにくい優良企業といえます。自己資本比率が20~39%程度で普通と考えて良いでしょう。なお、赤字企業の場合は自己資本比率がきわめて小さかったり、マイナスになることもあります。

自己資本比率が高いということは、つまり借入金が少ないことを意味し、借入金に依存した資金繰りをする必要がないということです。

自己資本比率が低いと銀行から資金を調達しないとなりません。そうしないと手形が落ちなかったり、支払いができないなど資金繰りが非常に厳しくなり、会社の存続が危うくなります。

また、自己資本比率の小さい会社は返済不能に陥ることを危惧し、銀行等の金融機関はなかなか融資しません。このことから、自己資本比率は会社の信用度を表しているとも言えるのです。

なお、自己資本比率を高めるためには、税引後純利益の蓄積である利益剰余金を増加させて自己資本を増加させるか、固定資産や売上債権、在庫をコントロールして資産を減らして総資本を減少させなくてはなりません。

キャッシュリッチかどうかは重要なポイント

キャッシュリッチとは、手元資金が豊富にある状態のことをいいます。具体的には、手元資金が有利子負債を上回っており、現金・預金などすぐに現金化できる流動性の高い金融資産を多く持っていて、実質的に無借金である、ということが言えます。

企業がキャッシュリッチかどうかを測る代表的な方法は、現金・預金+有価証券などの手元流動性から有利子負債を引いて算出されるネットキャッシュです。ネットキャッシュがプラスでの場合がキャッシュリッチとなります。

例えば手形や売掛金の場合、損益計算書上では利益が出ます。しかしこれらについては、回収不能となる可能性があり、最悪の場合、資金がショートして黒字倒産となることがあるのです。

そのため、現金・預金や有価証券といった、確実に現金化できるものを重視しているのです。

キャッシュリッチであればあるほど、上に書いたような黒字倒産は避けられ、経営もより安定します。一方で、キャッシュリッチは、収益を設備投資や新規事業等に回さず、内部留保として貯めている状態、つまり金余り状態であるとも言えます。

その場合は、株主からは株主還元するよう要求が出ます。その対策として増配や自社株買いを行う企業が多いのも、キャッシュリッチ企業の特徴です。また、キャッシュリッチであると、現・預金が有効利用されていないために、M&Aの対象にもなりやすい、という特徴もあります。

損益計算書から分かる経営安全率をチェックしよう

経営安全率とは、経常利益÷限界利益で算出され、限界利益を経常利益がどのくらい上回っているかを表した数値のことです。経営安全率が10%だとすれば、経常利益が10%減少しても赤字にはならない、ということを意味します。

つまり、経営安全率が高いほど倒産しにくく、体力のある企業と言えます。また、経営安全率からは、企業の売上が減少した場合にどれだけ持ちこたえられるかが分かり、倒産しそうかどうかを判断することができるのです。

なお、経営安全率では15%あれば良いと言われています。経営安全率が15%以上あれば、不況などで売り上げが下がっても長く持ちこたえられますが、この数値が低ければ、不況のあおりをもろに受けてしまいますし、景気によって倒産のリスクが増える、ということになります。

この経営安全率を上げるには、変動費を抑えて限界利益を上げる方法か、固定費をコントロールして抑える方法が考えられます。

自由資金比率をチェックしよう

自由資金比率とは、会社が自由に使えるキャッシュのことを言います。この自由資金比率はフリーキャッシュフロー÷利益剰余金(自己資本)増加額で算出されます。つまり会社の利益のうち、借入せず商売で増加したお金がどれくらいになるのか、ということを表しています。

なお、フリーキャッシュフローとは、営業でプラスになったキャシュフローと投資でマイナスになったキャシュフローを加算したもので、会社が本業で使えるキャッシュフローを表しています。

この自由資金比率からは、会社が稼いだ利益がキャッシュになりやすいかどうかが分かりますし、キャッシュを生み出しやすい企業体質かどうかも分かります。

自由資金比率ですが、70%以上で優良企業であると言えます。一般的には40~69%であれば、安定していると考えられますが、それ以下あれば改善が必要になります。