売上高経常利益率について

売上高経常利益率とは、経常利益が、売上高に対して何%かを示す数値です。経常利益÷売上高で算出されます。

売上高経常利益率は会社の本来の収益力を判断する指標です。ここから当期にどれだけ儲けたかが分かり、数値が高ければ高いほど業績が良いと言えます。

売上高経常利益率は、損益計算書で収益性を見る時によくチェックされる指標です。10%以上だと優良であるとされており、基本的には同業他社との価格競争の少ない状態にあると考えられます。

ただし、そうでない場合でも、景気が良くなったり、大きなヒット商品に恵まれた等の理由で、売上高経常利益率が10%以上になる場合があるので注意が必要です。

売上高経常利益率は、同業他社や自社の過去の実績などと比較してよく使われ、販売活動や管理活動の効率性を知ることができます。これと同時に、広告宣伝費や販売手数料販売費を他社と比較分析することで、各社のマーケティング戦略の違いが分かります。

また売上高経常利益率と売上高営業利益率ともよく比較されます。この場合売上高営業利益率、売上高経常利益率ともに高いことが理想です。本業での収益力プラス、効率的な資産運用による収益が加わっているからです。

反対に、売上高経常利益率のみが高く、売上高営業利益率が低い場合は、何か問題が隠されている可能性があり、注意する必要があります。

また、売上高総利益率が減少していないにも関わらず、売上高営業利益率が減っているならば、販売費や一般管理費に原因がある可能性があります。

収益力を表す売上高経常利益率ですが、これを改善する場合、売上高経常利益率だけを改善するのではなく、売上高総利益率と売上高営業利益率も改善する必要があります。

順番としては、まずは売上高総利益率を改善することから始め、次に売上高営業利益率を改善、そして、売上高経常利益率を改善する…という、段階を踏んだ改善が必要になります。

売上高総利益率の改善については、販売価格を引き上げたり、各種コストや仕入れ価格の引き下げ、利益率の改善などが必要になります。

そして、売上高経常利益率については、経理や総務などの管理部門については無駄を省く、営業部門の費用や諸経費を抑えるなどの方法が必要になりです。

これらをした上で、最後に売上高経常利益率を改善します。売上高経常利益率の改善については、借入金の利息などの営業外費用を抑え、効率的な資金運用で営業外収益を増やすことで、改善を図っていきます。会社によっては子会社の配当などが営業外収益になることもあります。

総資本回転率について

総資産回転率とは効率性を分析する指標の1つで、企業の総資産額が、1年に何回売上高という形で回転したのかを示す数値のことを言います。

総資産回転率は高ければ高いほど、資産が効率的に売上を生み出していることになります。総資産回転率は、売上高÷総資産で算出されます。

総資産回転率を向上させるためには、現在の総資産を増やさずに積極的な販売戦略などによって売上高を増加させる、あるいは、現在の売上高を維持しながら、不要な資産を処分あるいは圧縮して総資産を減少させることが必要となる。

総資本回転率には業種ごとの特性があります。

例えば不動産取得や機械などが必要な、鉄道や不動産、電力などは、総資本回転率が低くなります。これらは巨額の資金を投下するが、それを回収するためには日々お客さんが来てもらう必要があり、毎日少しずつ回収していくようなビジネスモデルです。

このようなビジネスモデルであっても、例えばオリエンタルランドなどは業界の勝ち組で、積極的に設備投資をし、新たな集客を獲得しています。

このように総資産が大きい業種は、総資産回転率は低くても、利益率が高いという特徴があります。

反対に、流通、小売、商社などは設備投資はそれほど必要ないために、総資本回転率は高くなります。その一方で、利益率は低くなります。このことからも分かるとおり、総資本回転率が低いからと言って悪いとは言えないのです。

総資本回転率が低い場合、その式からも分かるとおり、その数字が低い場合,分子の売上高が小さいか、分母の総資本が大きいかのどちらかが原因になります。

分母の総資本を減らして総資本回転率を上げる場合は、その内容をチェックする必要があります。売上に貢献していない資産がないかをチェックし、遊休資産があれば、それを減らさないといけません。

遊休資産はその名のとおり、売り上げを生み出していない資産ですので、本来の力を発揮していないことになります。これを売却するか、あるいは売上につながるような使い方をするか、どちらかする必要があります。

例えば鉄道会社の場合、先ほども書いたとおり巨額の設備投資をする関係から、総資本回転率は低くなります。

このような特徴は公共性の高い会社に顕著です。鉄道事業も公共性が高く、仮に不採算路線があっても撤退することは難しい場合がほとんどです。政治的な絡みもあり、企業の都合だけで撤退することは不可能に近いと言えます。

また、電力も同じです。収益力の弱いエリアがあったからと言って、送電をストップするわけにはいきません。

このような業界は公共性が高いがゆえに、このような遊休資産に近い状態のものがあったとしても、簡単に手放すことができず、収益が得られる形に変えることもなかなかできないため、総資本回転率が低くなってしまうのです。