穀物について

穀物の取引は先物の発展の歴史そのものだと言えます。

シカゴで先物取引が発達した理由は、そこがアメリカの穀倉地帯であり、また、農産物の集積地だったからです。農家の人々は、その年の作柄の良し悪しから生じるリスクを軽減する必要があったので先物取引を始めた、という経緯があるのです。

穀物の生産は比較的レーバー・インテンシブ(人手がかかること)で、農業機械などの運転のためのコストもかかります。

つまり、農家はある程度収穫期に穀物を売却する際の価格を早い段階でロックイン(確定)しておき、最低限の利益を確保したいと考えています。

穀物の価格は収穫年と呼ばれるサイクルに応じて変動します。その概念を頭に入れる事が大事です。

3月から5月にかけての春先は、とうもろこしや大豆の植付け(planting)シーズンです。この時期に適切な降雨が必要です。逆にこの時期に大雨に見舞われると植付けが遅れたりする場合もあります。

このように春先の天候はその年の作柄に大きな影響を与えます。だから自ずとこの時期は穀物にとって不確実性が高く、その分、穀物の相場は強含みます。

別の言い方をすれば天候リスクのリスク・プレミアムが穀物相場の価格に織り込まれているということです。

二つ目の注意すべき時期は授粉(pollination)の時期です。とうもろこしは6月、大豆は8月です。通常、授粉期の天候不順は植付け期の天候不順より穀物の供給に与える影響は小さいと言われています。

また授粉期はそれらの穀物の価格がラリー(上昇)しやすいと言われています。

また、植付けや授粉時がいちばん天候リスクに左右されやすいです。収穫期は10月と11月です。なお小麦価格は11月と12月は弱含む事が多いことで知られています。

なお、冬の間はシカゴのトレーダー達はブラジルの天候に気を配ります。それは南半球ではちょうど収穫年がアメリカと逆になるからです。

穀物のコントラクトは流動性が比較的低く、値動きが荒いです。トレードの際は、穀物のコントラクトは株価指数先物と比べると出来高が少ないため、価格の変動は時として激しくなりやすいことに気を付けましょう。

またチャート的にもギャップが多いことも注意しましょう。

金属について

工業金属とは、銅(copper)、アルミニューム、亜鉛、ニッケル、パラジウムなど文字通り工業によって消費される金属を指します。

この中で銅は鉄、アルミニュームに次いで三番目によく使われる金属です。住宅建設や送電線網の整備など社会的インフラストラクチャーの整備の際に無くてはならない金属です。従って景気のサイクルと最も密接に関連した商品のひとつであると言えます。

銅は住宅建設や社会インフラ整備に密接に関係した金属でもあります。

銅の歴史は古く、紀元前8700年にはすでにサマリア(現在のイラク)で銅のペンダントが装飾用として使われていたことが分かっています。

銅の精錬は紀元前5000年頃、アナトリア(現在のトルコ)で始まっています。コッパー(copper)という名前の語源はcypriumであり、「キプロスの金属」という意味です。

近年、銅の消費量は中国の台頭とともにどんどん増えています。2005年の時点での世界の銅の消費量は1500万トンでした。銅の主要生産国は、チリが圧倒的に大きなシェアを占めています。通常、銅は巨大な擂り鉢状の露天掘りピットから産出されます。

銅の用途は、建設なら、住宅建設の際の配管などへの使用を指します。電気・電子なら、送電線や半導体向けの需要を指します。消費財なら、冷蔵庫の裏面のパイプなどへの使用を指します。

国別では、近年は中国からの銅の需要が極めて高く、世界の5割近い銅を消費しています。

銅の取引で気をつけることは、銅の先物は株価指数先物などに比べると出来高が薄いので、値が飛びやすいことです。

銅は先ほども述べたように、中国経済と密接な関係があります。従って中国経済にとって良いニュースが出た時は上昇しやすいです。

また、米国の経済統計では、住宅着工件数などの統計に影響を受けます。宅建業者のトル・ブラザーズ(ティッカー:TOL)や銅の鉱山株、フリーポート・マクモラン・コッパー&ゴールド(ティッカー:FCX)などと連動性が高いです。

石油・天然ガスについて

エネルギーの先物には原油、天然ガス、無鉛ガソリン、ヒーティング・オイルなどがあります。これらの商品は主にNYMEXで取引されています。

中でも原油は話題になることが最も多いコモディティで、取引も活発です。ただし、ニュースが出た時には価格の変動が激しく、スプレッドも拡大します。

その意味では取引しにくい商品だと言えるでしょう。ただ、複雑に交錯する価格変動要因さえ頭に入れてしまえば、トレードし甲斐のある投資対象です。

一方、天然ガスは最近、だんだん重要性を増しているコモディティです。アメリカ国内における供給の構図はかなり変わりつつあります。加えてLNGのプロジェクトなどの影響でグローバルな需給関係にも今後変化が出る可能性があります。

トレードの際、原油や天然ガスのコントラクトは需給関係に大きな影響を及ぼすようなニュースが出た時は手がつけられないほど乱高下する場合がありますので気を付けましょう。