基本的なテクニカル分析

テクニカル分析とは今までの値動きの時系列パターンから今後の値動きを予想する相場分析の方法の1つになります。

値動きは銘柄そのものの持つ人気による長い周期の変動と、需要側の割高感、割安感からもたらされる短い周期の上昇、下降を繰り返していると考え、その変動パターンを考えます。

このトレンド分析で用いられる図がチャート表で、有名なものではロウソク足チャートという四角い箱に上下二本の線が出ているものになります。

指数移動平滑平均線について

トレンド分析は、その値動きのおおよその傾向から将来の値動きを判断します。

その上で、ある時点での価格はそれ以前の価格の結果から生まれると考えると、その時点での値だけではなく、以前の値を参考に入れる必要があると考えることができます。

そう考えますと、ある時点での価格に過去数日分の情報を盛り込むために、期間を設定し、その平均値を求め繋いだ線がより多くの情報を持つトレンドの指標であると考えられます。

例えば、過去20日分の終値の平均値を取って行き、その線の傾向がトレンドであると判断する方法です。このように単純に平均値でトレンド分析する方法を「単純移動平均」、求められる線を「単純移動平均線」と呼びます。

この考え方は情報量を客観的に増強して判断に役立てるという面では効果的なのですが、値動きはより直近のものほど影響が大きいと考えると、過去すべての情報を同じ重要度で処理しているという部分で不満が残ります。

この不満を解消するために多くの移動平均線が考え出されましたが、現在よく用いられるものとして「指数移動平滑平均線」がありますので、特にこの考え方について説明します。

指数移動平滑平均線
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「指数移動平滑平均」はEMA省略して表されることもあります。

この平均線は過去の情報をもとに、より直近の情報に重きを置いた情報を導き出すために考えられました。計算式としては

指数平滑移動平均(EMA)(n日を遡って情報とする)
初日の値 =その日を含め過去n日間の平均
2日目以降=(前日の指数平滑移動平均)+2×(当日終値-前日の指数平滑移動平均)÷(n+1)
となります。

このように見た時、前日までの値に対して後ろの項である当日に関連する情報の重さが大きいことがわかります。また、遡る情報が大きければ大きいほど判断の正確性が高まると考えられています。

この情報をもとにして取引を行うことになります。

では、この情報をどのように用いるべきでしょうか。これには「グランビルの法則」という判断基準がありますので少し紹介します。

買いポイントのサイン

  1.  下向きだった平均線が、横ばいか上向きになり、価格が平均線を上に突き抜ける形で交差した。
  2. 上昇中の平均線を価格が割り込んだ後に、ふたたび平均線を突き抜けて上昇した。
  3. 上昇している平均線の上で、価格が下落したものの、平均線に触れずに上昇した
  4. 下降している移動平均線を価格が大幅に割り込み、その差が大きくなった。

売りポイントのサイン

  1. 上向きだった平均線が、横ばいか下向きになり、価格が平均線を下に突き抜ける形で交差した。
  2. 下降している平均線を価格が越えたものの、ふたたび下落して平均線を突き抜けて下落した。
  3. 下降している平均線の下で、価格が上昇したものの、平均線に達することなく下落した。
  4. 上昇している移動平均線を株価が大幅に越えて、その差が大きくなった。

また、短期で求めた平均線と長期で求めた平均線の交差したポイントをポイントとして売買を行う方法もあります。その方法代表例としてMACDを紹介します。

MACDとヒストグラム

MACD(Moving Average Convergence-Divergence)とは日本語で「移動平均、収束及び発散」となり、移動平均分析の応用となる考え方になります。

MACD
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この分析ではMACDラインという値をグラフ化し、その変動で値動きのトレンドを予測します。

まず、MACDは先ほどのEMAについての短期的なものと長期的なものの差になります。

MACD=短期EMA-長期EMA

一般に短期については12日の、長期については24日のEMAを利用することが多いようです。

さらに、このMACDの移動平均であるシグナルラインを求め、その値をMACDから差し引いたものをMACD2、もしくはヒストグラムと呼びます。一般にシグナルラインについては9日分を利用することが多いようです

MACD2(ヒストグラム)=MACD-MACDの移動平均(シグナル)

この値を繋いだ線同士の交差関係で売買のポイントを見極めることになります。

主に、MACDとシグナルとのラインの交差を見て判断する場合が多いのでその説明をしていきますが、ここまでの説明で面倒だと思われる人もいるかと思います。

しかし、このような計算は機械的に算出するものなので、この線の意味を理解してチャートの見方をしっかりと覚えておけば問題はありません。

算出が複雑ではありますが、MACDの視覚的判断はわかりやすく、さらに、そのポイントでの信頼度も判断できるところが優れている点でしょう。

MACDとシグナルラインについて、MACDがシグナルラインを追い抜く形で下から上へ交差するタイミングをゴールデンクロスと呼び、売りのサインであるとみなされます。

逆に、シグナルラインがMACDラインを追い抜く場合をデッドラインと呼び、買いのサインとみなされます。

さらに、この交差について、角度が大きければ大きいほどそのトレンドが大きくなっていると考えられますので、それだけサインの信頼度が大きいと考えることができるのです。

さらに、この2つの値がどの程度の離れているのかを示すヒストグラムも利用できます。

このヒストグラムはについて、0を基準に上(正)であれば買いが強い状況。下(負)であればその相場は現在売りが強い状況であると判断できます。

交差も含めて視覚的に判断しやすくなっています。

これらは客観的な図形的な側面での判断が大きく、どんな意味を持つのかを理解しておかないと容易に間違った判断を下してしまいますので注意してください。

しかし、客観的だからこそプロスペクト理論などの経済心理学的側面から起こる主観的な取引を避けることができます。

このような参考となる情報を使っての取引を行うのが移動平均線を用いたテクニカル分析となります。