日本の商品先物取引所

日本では1730年に大阪堂島米会所が誕生しました。それ以前にも米の先物取引は行われていたのですが、この大阪堂島米会所は世界初めての公設先物市場でした。

近代的な先物取引へ発展したのは1850年頃と言われています。日本での最初の先物取引の対象とされたのがお米ですが、現在では先物取引されていません。

先物取引の歴史は意外と古く、経済活動にさまざまな機能をもたらしています。また、先物取引は“何を売買の対象にするか”によって大きく2つに分類することができます。

ひとつは商品先物取引、もうひとつが金融先物取引と呼ばれる先物取引です。

商品先物取引とは、将来のとある時期に貴金属・非鉄・農産物・エネルギーなどの商品を受渡しすることを約束して、その価格を現時点で決める取引のことをいいます。

実際の取引については、“差金決済”といって、約束の期日が来る前にいつでも反対の売買契約をして支払う代金と受取る代金の差額を清算すれば、商品と代金の交換を行わずに取引を終了することができる決まりになっています。

商品先物取引の最大の特徴は、商品の交換をすることなく取引ができるため、手元に商品がなくても売り契約ができ、また買い契約した場合でも商品を受取らずに済むことから、「買い」だけでなく「売り」でも取引を始めることができるということです。

商品先物取引の取引方法としては、法律に基づいて設置された「商品先物取引所」で行われ、投資家は商品取引会社(商品取引所法に基づく許可を受けた会社)に取引を委託して行うことになります。

取引口座を開設して、インターネットや電話などで取引が可能となっています。その際、最低の投資資金として、取引総額の5~10%程度の取引本証拠金が必要になります。

また、投資家が商品取引会社に預けた投資資金(取引本証拠金を含む)は、商品取引員を通じて日本商品清算機構に預託され、商品取引員の財産とは別に保管されることになります。

商品先物取引は、商品先物相場(コモディティ)というバラエティに富んだ投資機会で収益を上げることができます。ただ、実際に慣れるまで少し時間がかかりますので、その仕組みをよく理解することが大切です。

主な特徴は、買いからでも売りからでも取引ができるということ以外にも、貴金属、非鉄、農産物、エネルギーなど多彩な上場商品があり、レバレッジ効果により少額の資金で取引ができることが挙げられます。

また、短期間でも利益の機会が豊富で、他の金融商品と相関性が低いということも言えます。

一方で元本が保証されず、ハイリスク・ハイリターンの取引になるため、相場見通しを誤ると、取引追証金が発生することもあります。

昔は多くの取引所が存在しましたが、時代の流れにより次々と閉鎖・合併されていきました。現在は、東京商品取引所と大阪堂島商品取引所の2つで、上場されている銘柄数はおよそ30です。

一般に商品先物取引所には、「現物商品の価格変動に対するリスク回避」「公正な価格の形成」「生産(需要)と消費(供給)のバランス調整」の3つの機能があります。

海外の商品先物取引所

続いて、海外の商品先物取引所について見ていきましょう。

世界でもっとも最初の先物取引市場は1531年にベルギーで開設されたと言われています。海外の商品先物市場では、日本と比べて上場銘柄の種類も豊富で、取引も活発に行なわれています。

特に欧米では多種多彩な銘柄が上場されており、先物取引の先進国といわれています。欧米の先物市場では、1つの取引所に商品先物と金融・証券先物が一緒に上場されているのが一般的です。

日本で上場されている銘柄の大半は、欧米の先物市場でも取引されており、欧米市場の値動きは日本市場に大きな影響を与えます。

どんな商品が取引されているか

日本の先物取引所では、以下のような上場商品が取引されています。

○東京商品取引所
金(標準、ミニ、限日取引)・銀・白金(標準、ミニ)・パラジウム・ゴム・ガソリン・灯油・原油・軽油・中京ガソリン・中京灯油・一般大豆・トウモロコシ・小豆

○大阪堂島商品取引所
冷凍えび・コーン75指数・小豆・トウモロコシ・米国産大豆・粗糖・コメ(東京・大阪)

以下はアメリカの商品です。

○シカゴ・ボード・オブ・トレード
Chicago Board of Trade(CBOT) 
大豆、大豆油、大豆粕、とうもろこし、小麦、銀、株価指数、国債などの先物取引

○シカゴ・オプション取引所
Chicago Board Options Exchange(CBOE) 
株式、株価指数、商品などのオプション取引

○ニューヨーク・マーカンタイル取引所
New York Mercantile Exchange(NYMEX) 
原油、灯油、無鉛ガソリン、天然ガス、白金、パラジウム、プロパンなどの先物取引

○ニューヨーク・ボード・オブ・トレード
New York Broad of Trade(NYBOT) 
ココア、コーヒー、砂糖、株価指数などの先物取引

以下は、その他の世界の商品先物取引所です。

○ロンドン金属取引所
London Metal Exchange(LME) 
銅、ニッケル、鉛、亜鉛、アルミ地金、錫などの商品先物取引

○ユーロネクスト
Euronext 株式、株価指数、債券、商品、通貨の先物取引

○香港先物取引所
Hong Kong Futures Exchange(HKEx・香港交易所) 
砂糖、大豆、金、ハンセン株価指数などの先物取引

○上海先物取引所
Shanghai Futures Exchange(上海期貨交易所) 
銅、アルミニウム、天然ゴムなどの商品先物取引

○シンガポール商品取引所
Singapore Commodity Exchange(SICOM) 
コーヒー、ゴム、ゴム指数などの商品先物取引

○シンガポール取引所
Singapore Exchange(SGX) 
日経平均株価などアジア各国の金融先物およびオプション取引

国内の取引所でストップ値幅や適用証拠金を調べたり、海外の取引所で前日の価格データを調べるのにお役立ていただければと思います。

実際に取引に参加する場合は、「取引所の会員」に限定されていますので、会員に委託して取引を行わなければなりません。委託する仲介業者を商品取扱員と呼び通常は商品取引受託業務を営む株式会社に依頼することとなります。