商品先物市場の特徴

資産運用する上で、全てを安定的に運用するのではその限界額も決まってしまいますし、安定するがゆえに大きな資産を手にする可能性も失ってしまいます。

運用は将来や現在の生活のためという側面もあるでしょうが、もし、余力が出てきたならば、その一部をハイリスクハイリターンの投資先に向けてみるのも1つの選択肢ではないでしょうか。

ここでは、その大きな見返りを期待できる投資先としての先物取引を紹介します。

商品先物市場の仕組み

商品先物市場とは信用取引の1つの分野になります。

信用取引とは、投資家の収める証拠金を信用の根拠として、その何倍かの資金、もしくは証券業者の所有する有価証券を借りて、将来にどのように取引するかを明確にした上で取引を行う方法になります。

このように元の資本の何倍かの金融資産を投資に利用することができるのが信用取引となります。

投資先は様々ですが、商品先物市場は元々農産物をはじめとした相場の不安定な商品に対して行われた投資方法になります。

生産側が相場によるリスクを回避するための方法として生まれましたが、投資するタイミングでの価格とその後の相場変動との差額を利用しての投資となりますので対象そのものを手に入れるのではなくその商品の価値を貨幣に変えた後でのキャピタルゲインに期待する形になります。

したがって、投資先として商品が生産されていない状態での投資となるので「先物」と呼ばれるのです。

商品先物はレバレッジがかけられる

さて、予想される相場と実際の相場が一般に言われるハイリターンを期待できるものでしょうか。

例えば、ガソリン(石油)について考えてみましょう。

一年を単位として考えたとき、変動はせいぜい2割前後でしょう。実際、そんなに動けば大きなニュースになるでしょう。

しかし、精々2割です。安定的な投資対象であっても上手くいけばその程度は期待できるかもしれません。

しかし、その変動分以上に、先ほど申し上げた信用取引の側面が大きく収益に影響を与えることになります。

一般の株式投資と異なり、実際の商品を購入する予約のようなものですから、その物自体が消滅することはありません。したがって、売買するときにも無価値になることはない前提として扱われます。

身近な例で言えば、300万の車を購入する場合、頭金を30万で残りをローンとして、金融機関からの借り入れで賄うことと同様で、その購入対象がモノとして存在し、資産として認められるため、実際の元手以上の価値を扱う投資が可能になるのです。

この車の購入の場合には1割の頭金になりますので、投資だと考えた場合には投資額の10倍の資本を購入したことになります。

このように、実際の資本の何倍を投資できるかという倍率のことをレバレッジと呼びます。

レバレッジが大きくかけられればそれだけ大きな資本を扱うことになりますが、それだけ収益とリスクが増大することにもなります。

例えばガソリンに投資するとしましょう。1リットル100円のつもりで投資して実際には120円で売れたとしましょう。

100円=1リットル(レバレッジ1倍)であれば20円の利益になります。

しかし、レバレッジ10倍であれば1000円分の購入で1200円になりましたので投資分の100円を差し引いて100円の利益が出ます。

さらにレバレッジ100倍で投資したとすれば10000円分が12000円ですので1900円の利益が出ることになります。

注意して欲しいのはこれが逆に振れた場合です。

同様の状況で実際には90円にしかならなかったとしましょう。

レバレッジ無し(1倍)であれば10円の損益です。
10倍であれば1000円が900円になりますので100円の損益を証拠金で支払うことになりますので、100円の損益が出て、元手は消滅してしまいます。

さらに大きいレバレッジ、例えば100倍のレバレッジであれば1000円分の資金が不足しますので、証拠金で補っても900円の不足が生じます。

当然、この不足分は投資家が負担することになりますので、今回の場合には元手の9倍の資金を後から証拠金に追加しなければなりません。

このレバレッジによる収益変動の大きさがハイリスクハイリターンと言われる所以になります。

ここで計算した通り、投資の何倍もの利益が出る場合もある投資方法ですが、損益に振れた場合、出資額以上に資金が必要となる危険性を持ち合わせる投資になるため、自分の資本体力以上の出資は今まで積み重ねた資本を大きく損なう可能性があります。

商品先物は差金決済が中心である

先物取引を行った場合、買付にしろ売付にしろ未決済の取引残高を「建玉」と呼びます。

建玉の決済方法は、資本が足りない場合や、収益をさらに他の投資に回す場合に行われる「反対売買」と、利益を受け取ったり損失を支払ったりして最終的に清算してしまう「最終決済」のいずれかで解消されることになります。

これが解消されて取引が終了することになるわけです。

どちらの場合も、あらかじめ決めていた価格、すなわち約定した先物価格と実際の取引される相場である決済価格との差額のみを受渡する「差金決済」が行われます。

投資家が投資対象となった商品そのものを扱うことはありません。その相場の差額のみの計算により資本価値の変動が判断されます。

なお、株式投資の場合にはこの差金決済は法律により禁止されていますので注意が必要になります。

商品先物は取引所取引

商品先物については、その性質上公平かつ明瞭な値動きの動向判断が求められますので、取引所取引となります。

証券取引所における取引は、大量の売買注文を公正かつ円滑に執行するため、取引時間、値段を指定する方法、取引単位、決済方法等についての細かな規定が設けられていますし、多くの役割を持つ人が関わり、正確さを高めています。

また、売買は基本的に競争売買の原理にしたがって行われるため、取引についても公平さが保たれています。

競争売買の原則とは、「価格優先の原則」すなわち売りについては最も安い値段が、買いについては最も高い値段が優先されます。

さらに、値段を指定する「指し値注文」よりも値段はいくらでもよいとする「成り行き注文」が優先することになります。

時間優先の原則とは、同じ値段の売買注文の場合、時間的に先に発注された注文が優先するという原則になります。

このように、成文化されたルールにしたがって取引されることを保証するのが取引所取引になります。