がん保険の中核となる保障ががん診断給付金です。万一、がんになってしまった時の治療費や生活費など経済的な支えになります。

同じがん診断給付金といっても給付条件などが異なるものもあるため、きちんと理解しておきましょう。

がん診断給付金とは

がん保険の基本保障の1つが「がん診断給付金」です。がんと診断された場合などにまとまった一時金が支払われ(入院や治療開始が要件になる場合もあります)、治療に向けての準備資金とすることができます。

この給付金は、がんの治療費を補うだけでなく、がんの治療のために休職したり、離職・転職を余儀なくされた場合の生活費を補う資金にもなり、がん保険の中核となる保障といっても過言ではありません。

最近は、がん診断給付金だけの終身型がん保険なども登場しています。

がん保険を比較する、あるいは現在入っているがん保険の保障内容を点検する際には、このがん診断給付金を正しく把握する必要があります。

同じがん診断給付金といっても、給付額はもちろん、支払い回数の上限や頻度、支払い要件、上皮内新生物の扱いなど、商品によって異なるため、次項で挙げるポイントを確認する必要があります。

また最近は、がん診断給付金とは別に「がん治療給付金」が設けられるなど、一時金の細分化が進む傾向も見られます。

がん診断給付金を理解するためのポイント

がん診断給付金の違いを理解するために、次の5つのポイントを確認しましょう。

ポイント1<給付額>

がん診断給付金について、まずは「いくら支払われるのか」についてチェックしましょう。

がん入院給付金があるタイプは「がん入院給付金の50倍、100倍(上限有り)」などと設定されていますが、がん診断給付金だけの場合は500万円など高額で加入することもできます。

50万円なのか、100万円なのか、200万円なのか、はたまた300万円、500万円なのかなど、まずは給付額を把握しておきましょう。

ポイント2<支払い回数の上限・頻度>

がん診断給付金を見極める際に重要なポイントの1つが、支払い回数の上限と頻度です。支払い回数の上限は1回のみか、5回まで、10回まで、あるいは無制限かなど、商品によって異なります。

また、複数回支払われる商品の場合、「○年に1回」支払われるという頻度も押さえておく必要があります。3年、2年、1年など商品によってまちまちです。

ポイント3<支払い要件>

この支払い要件も重要なポイントです。要件に該当しなければがん診断給付金は支払われないためです。

この要件に該当するものとしては、①がんと確定診断、②がん治療のために入院、③がん治療のために入院または通院、と大きく3つに分けられます。

がんと「確定診断」で給付されるのか、「入院」も必要なのか、「治療中」なら対象となるのかは大きな違いです。

複数回出る場合は、1回目と2回目以降の要件が異なる場合もあるので確認が必要です。

最近は、通院で行うがん治療も増えているため、「入院」が要件だと給付対象とならない例もあることを頭に入れておきましょう。

ポイント4<上皮内新生物の扱い>

上皮内新生物は、上皮組織(粘膜層)内に留まっているごく初期のがんを指します。

大腸の粘膜や子宮頚部などに見られます。きちんと治療すれば転移や再発の可能性がほとんどないとされ、保険会社によっては、上皮内新生物のガン診断給付金を、通常のがんの10分の1などと低く設定しているところもあります。

逆に、上皮内新生物でもがんと全く同額のがん診断給付金が支払われる保険もあります。

ポイント5<がん治療給付金などその他の一時金は?>

がん診断給付金以外にもがん治療給付金など別の一時金がある商品もあるので、確認しましょう。

初回は両方から支払われ、2回目はがん診断給付金が出ないタイプもあります。両方を含めて一時金として捉えた上で、比較をするといいでしょう。

特に、医療保険についているがん診断給付金特約やがん一時金特約(がんで入院していると一時金が支払われる)、三大疾病特約なども忘れずにチェックが必要です。

どのようなときに一時金が支払われるのか、しっかり把握しておきましょう。

図表1 がん診断給付金の例
保険会社 支払い回数・頻度 内容
A社 がん、上皮内新生物のいずれか1回のみ。 別途、がん治療給付金が2年に1回、無制限で支払われる。ただし、入院が要件。
B社 がん、上皮内新生物とも各1回のみ。 上皮内新生物の給付金はがんの場合の10分の1。診断給付金複数回支払特約を付ければ、2年に1回、無制限で支払われる。2回目以降は入院が要件。
C社 がん、上皮内新生物とも各2年に1回、無制限。 がんと上皮内新生物の給付金は同額。初回はがんと確定診断された場合に支払われ、2回目以降はがんの治療のために入院した場合のみ支払われる。
D社 がん、上皮内新生物とも各1年に1回、通算5回まで。 上皮内新生物の給付金はがんの場合の2分の1。所定の3大治療を受けられたとき、またはステージⅣで入院または通院したときに支払われる。別途、がん診断給付金を特約でつけることもできる。