がん保険はがんの保障に特化した医療保険の一種です。日進月歩でがんの治療法が変わる中、がん保険も変化しています。

がん保険を正しく理解するために、基本的な保障内容について整理しておきましょう。

がん保険のタイプ

がん保険はがんに特化した医療保険ですが、治療法が多様化するとともに、がん保険の保障内容も多様化しています。

まずは、がん保険をよりよく理解するために、大きくは次の4つのタイプがあることを知っておきましょう。

従来型

がんと診断されたときに一時金が支払われる「がん診断給付金」、がんで入院したときに1日目から支払われる「がん入院給付金」、がんで手術を受けた時に支払われる「がん手術給付金」などの基本保障がシンプルにセットされている商品。

実損填補型

損保の商品で、がん治療で入院時にかかった費用を全額補償(差額ベッド代等対象外もある)してくれる「がん入院給付金」と、がん通院時にかかった費用を一定額まで補償する「がん通院給付金」が組み合わされた商品。「がん診断給付金」も付けることができます。自由診療による治療費でも、先進医療でも補填されます。

一時金重視型

最近のがん治療の傾向に合わせたがん保険のうち、「がん診断給付金」の金額や、「がん治療給付金」として支払われる一時金を厚くしたタイプ。それぞれの一時金の支払い回数は複数回の商品が中心です。

通院重視型

最近のがん治療の傾向に合わせたがん保険のうち、「がん通院給付金」など通院(外来)治療に手厚いタイプ。

手術・抗がん剤・放射線の3大治療を受けた場合に、通院(外来)でも給付金が支払われます。「がん診断給付金」や「がん手術給付金」もついていることが多く、がん診断給付金は複数回払いが多くなっています。

がん保険の4つの基本保障

がん保険は商品によって保障内容が異なりますが、基本となる保障としては次の4つが挙げられます。

  1. がん診断給付金
  2. がん入院給付金
  3. がん手術給付金
  4. がん通院給付金

以前は、がん診断給付金、がん入院給付金、がん手術給付金の3つが基本保障と位置付けられていましたが、最近は入院せずに通院(外来)による3大治療(がん手術、抗がん剤治療、放射線治療)を受けるケースも増えてきたことか、がん通院給付金が支払われるタイプも増えてきました。

それぞれの内容は図表1に整理しました。

図表1 がん保険の基本保障
給付金の種類 保障内容など
がん診断給付金 がんと診断された場合に給付される一時金。給付回数や頻度、給付要件(確定診断だけか、入院や治療開始が条件かなど)、複数回支払われる場合は1回目と2回目以降の条件の違い、上皮内新生物の場合には給付額が異なるかなど確認を。商品によって異なることが多いので注意したい。
がん入院給付金 がんで入院した場合に、「日額1万円」など契約した給付金が1日目から支払われる。支払い日数には制限なし。
実損填補型の場合は、がん入院でかかった費用が全額補償される(差額ベッド代等対象外もある)。
がん手術給付金 がんで手術を受けたときに支払われる。「がん入院給付金の20倍」「診断給付金の20%」などと決められている。放射線治療も対象となる商品もある。
がん通院給付金 がんで入院し、退院後に、がんの治療を目的に通院した場合に受け取れる給付金。入院前の通院や、入院せずに3大治療(手術、抗がん剤、放射線治療)で通院した場合に支払われる商品もある。

がん保険のその他の保障

がん保険によっては、基本保障以外に次のような保障が付く商品もあります。代表的なものを取り上げます。商品によって名称や内容が異なります。

  1. がん治療給付金
  2. がん退院給付金
  3. がん緩和療養給付金
  4. がん先進医療給付金

がん治療給付金は、がん診断給付金に近い一時金ですが、入院を要件とするものしないものなど商品で異なります。

がん退院給付金は、在宅療養のための給付金で、所定の入院後に支払われます。がん緩和療養給付金は、所定の緩和ケアを受けたときに支払われます。

その他、がん先進医療給付金も挙げられます。がんに関する先進医療を受けたときにその技術料が支払われますが、中には、プラスアルファ上乗せで支払われる商品もあります。

図表2 がん保険のその他の保障
給付金の種類 保障内容など
がん治療給付金 がん治療を目的として入院した場合に一時金が支払われる。がん診断給付金の一種とみることもできる。「入院」しなくても、3大治療を受けた場合に給付金が支払われる商品もある。
がん退院給付金 がんで所定の日数以上入院後に退院した場合に受け取れる給付金。「在宅療養給付金」など名称が異なる場合もある。
がん緩和療養給付金 がんで入院・通院をした後に、がんの疼痛緩和の治療を受けた場合に、月○万円などの給付金が支払われる。
がん先進医療給付金 がんに関する先進医療を受けた時に、技術料が支払われる。回数に制限はないが、「通算2000万円」など上限額が決まっている場合が多い。「がん先進医療支援給付金」として、交通費や宿泊費用分が上乗せされる保険もある。

がん保険の付帯サービスも重要に

最近は、多くのがん保険に付帯サービスがついています。例えば、がんと診断されて主治医が提案する治療方法に納得がいかない場合などに、主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオンサービス」を利用する人もいます。

セカンドオピニオンの手配や、ときには費用の保障までしてくれるサービスもあり、今や付帯サービスも保障の一部として、チェックする必要があります。

図表3 付帯サービスの例
サービス名 概要 対象
24時間健康電話相談サービス 健康や医療に関する相談に、看護師などの医療専門スタッフが24時間365日、電話で応えてくれる。 契約者とその家族
セカンドオピニオンサービス セカンドオピニオンを受ける医師も紹介し、手配してくれる。受診費用(相談料・診断料)はかからない。 被保険者
専門医紹介サービス 優秀な医師のなかから、最適な専門医を選んで紹介する。 被保険者