有名人ががんで亡くなったり、闘病中だというニュースを見聞きするたびに、自分や家族は大丈夫だろうかと不安になります。

がんの治療はお金がかかりそう、再発したら長引きそうなどなど、気になり始めたら心配事は尽きません。がん保険に入ろうかと迷っている方も少なくないでしょう。

そこで今回は、がん保険の必要性について考えてみましょう。

がん保険と医療保険は何が違う?

まず医療保険と比較しながら、がん保険の特徴をおさえましょう。

がん保険はその名の通り、がんによる経済的なリスクのみに特化した保険です。医療保険があらゆる病気やけがを保障するのに対して、がん保険はがんになったときだけ給付金を受取ることができます。

また、通常の医療保険の場合は「入院1回あたり60日まで、かつ通算で1000日まで」といったように入院給付金がもらえる日数の上限が設けられています。

しかし、がん保険は給付日数が無制限です。がんは治療が長引いて入退院を繰り返す可能性もあるため、このような商品設計になっています。

がんと診断されると「診断給付金」として、100万円などのまとまった金額が一時金として支払われるのもがん保険の大きな特徴です。

ちなみに通常の医療保険は入院給付金が基本なので、病気だと診断されただけでは保険金は受取れません。

治せる病気だと分かっていても、がんだと診断されたときのショックは大きく、今後の生活や治療・入院費用に不安が募る人も多いでしょうから、せめて経済的な心配をしなくて済むのはありがたいものです。

多くのがん保険では、このほかに入院給付金とは別に「通院給付金」を受取ることができます。

がんにかかると治療の初期段階の手術・入院だけでなく、その後も通院による抗がん剤治療や放射線治療などが必要になってくる可能性があるため、入院だけでなく通院に対しても保険料が支払われるようになっているのです。

図表1 医療保険とガン保険の違い
医療保険 がん保険
保障の対象 病気(がんも含む)・ケガ がんのみ
診断給付金 なし あり
(100万円など高額な一時金のある商品が多い)
入院給付金 あり
(1入院あたり60日、通算1000日など給付日数に上限あり)
あり
(給付日数に上限なし)
通院給付金 なし あり

リスクと保険料のバランスを考えて

加入していれば心強いがん保険ですが、それには毎月の保険料を支払わねばなりません。より大きな安心を得ようと手厚い保障を盛り込むほど、保険料の支払い総額は高額になります。

仮に月々3000円の保険料だとして、30歳から60歳まで毎月払ったとすると、3000円×12カ月×30年で108万円になります。前述の通り、がん保険はがんにならなければ1円ももらえません。

毎月の保険料相当額を貯蓄として積み立てた方が、がん以外の病気やけがでの医療費はもちろん、教育費や老後資金など使い道が自由な資金にできる、という考え方もあります。

一方で、もしがんにかかってしまったら高額な医療費がかかる可能性があるのも事実です。がんの治療でも保険診療であれば高額療養費制度が使えますから、医療費の自己負担額は月々8万円+αが上限になります。

ただし月々の上限はあるといっても、がんの治療は再発のリスクも含め治療が長引く可能性があるだけでなく、民間療法や先進医療、国内無認可の薬品や治療法は公的健康保険の対象外のため、自己負担がかさむ恐れがあります。

また、抗がん剤や放射線治療による体への負担は非常に大きく、治療中は仕事を続けられない人もいるため、収入面での不安もあるでしょう。

がん保険が必要かどうかは、貯蓄の有無や家族構成、個人のがんに対する考え方など人それぞれですが、がんになったときの経済的リスクの高さと、月々支払う保険料のバランスを考えて、自分にあった保障内容を見極めることが必要です。

特にがん保険が必要な人は?

自分や家族ががんにかかったとき、一時的な治療・入院費をまかなう貯蓄がない人や、貯蓄があっても明確な使い道があって取り崩すと困る人は、十分な貯蓄ができるまでの期間限定でがん保険に加入するのも手です。

また、自営業などでがんの闘病中に収入が途絶える可能性がある人は、がん診断給付金が高めのがん保険やがん就業不能保険などで備えるのも手です。

家族や親戚にがんにかかった人が多い、いわゆる「がん家系」などリスクを自覚している人も、お守り代わりにがん保険に加入しておくと安心です。