国民病ともいわれるがんにかかったとき、患者はどんな治療を受けるのでしょうか?

主ながんの治療法は、手術治療・薬物療法(抗がん剤治療)・放射線治療の3大治療を組み合わせた集学的治療が主流です。3大治療とはどのようなものか見ておきましょう。

がんの治療体系

がんの治療方法は、主に手術治療・薬物療法(抗がん剤治療)・放射線治療です。これらを3大治療と呼びます。

治療を行うときは、いずれかだけ単独で用いるのではなく、がんの種類や進行具合に応じて、いくつかの治療法を組み合わせる場合があります。これを集学的治療といい、現在のがん治療の主流となっています。

図表1 がん治療法の体系のイメージ

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では、それぞれ、どのような治療法かを見ていきましょう。

がんの組織や周囲のリンパ節などを取り除く手術療法

手術治療は、がんに対して局所的な治療を行う治療方法です。がんの種類や手術の内容、手術を行う医療機関や医師の方針によって異なりますが、がんの組織や周囲のリンパ節などを取り除きます。

また、取り除かれた臓器の再建などの処置を施す手術も含まれます。がんの種類(大腸がん・胃がんなど)によっては、身体への負担が軽い腹腔鏡(腹腔内を見る内視鏡)を使って行う手術もあります。

手術にかかる時間は、手術の方法や内容によって様々で、短時間で終了する場合もあれば、10時間以上かかる場合もあります。

手術単独で治療するケースの他、薬物療法や放射線治療などと組み合わせて行うケースもあります。

がん細胞を消滅・減少させる放射線治療

手術治療と同じく、がんの局所的な治療を行うのが放射線治療です。がん細胞を消滅させたり、減少させたりします。

放射線治療に用いられる放射線の種類は、X線、γ(ガンマ線)、電子線などです。最近、先進医療として実施施設や実施数が増えている陽子線・重粒子線治療も、放射線治療の一種です。

放射線治療は単独で行われることもありますが、手術治療や薬物治療(抗がん剤)と組み合わせることもあります。手術治療との組み合わせでは、再発防止のために手術前後に行う、すい臓がんなどでは手術中に当てることがあります。

その他、骨転移したがんによる痛みの緩和や神経を圧迫して痛みやしびれの原因になっているがんの治療に使われることもあります。

広い範囲に治療効果を及ぶことが期待できる薬物治療

薬物治療は、がん細胞の増殖を防ぐ抗がん剤を用いる治療法で、がんが増えるのを抑制する、がん細胞の成長を遅らせる、転移・再発を防ぐなどのために用いられます。手術治療や放射線治療は、がんの局所的な治療ですが、抗がん剤はより広い範囲に治療効果が及ぶことが期待できる治療法です。

がんが転移する可能性があるとき、すでに転移しているときに転移を予防するためまた、血液・リンパのがんのように広い範囲に治療を行う必要があるときに行われます。

抗がん剤の薬剤は、一種類を使う場合、数種類を組み合わせる場合があります。作用の異なる薬剤を組み合わせることで治療効果を高めることが期待できます。

手術治療や放射線治療と同様、抗がん剤単独で治療を行うこともあれば、他の治療法と組み合わせて行うこともあります。

がんにかかったときの治療の進め方は、外科医や薬物療法(抗がん剤)を担当する腫瘍内科医、放射線診断医・治療医などの専門家が集まって検討されます。

もちろん、治療を受ける患者の意思も尊重されます。がん治療は、先進医療の技術を除いて、公的医療保険が適用され治療費用は軽減されます。

その他、健康食品やサプリメント、鍼灸、マッサージ療法などの代替療法(民間療法)もあり、これらの有効性や安全性を科学的な方法で評価しようという動きも広まっています。

今後も、がんの新しい治療法、新しい抗がん剤が開発されるでしょう。