がんの治療は日々進歩しており、治療方法や治療期間によっては、自己負担する医療費は高額になります。そんな支出に備えるのががん保険です。

がん保険はがんの保障に特化した医療保険の一種ですが、保障内容はいくつかのタイプがあります。それらの比較の仕方と選び方を知っておきましょう。

がん保険の保障タイプは大きく4つある

がんの診断技術と治療技術の進歩で、がんは治る病気になりつつあります。

がんの治療方法は、現在は手術・抗がん剤治療・放射線治療の3大治療を効果的に組み合わせる集学的治療が主流で、どの治療方法を取り入れるかによって、治療期間が変わります。

例えば、早期発見でがんの患部を手術によって切除するだけですめば短期間で終了しますが、抗がん剤または放射線、あるいは両方を併用すると治療期間は長くなる傾向があります。

また、いったん治療は終了しても、再発や転移で治療を再開することもあり得ます。つまり、治療が長引けば長引くほど、医療費の負担が増え家計にダメージを与えるということ。そんな負担に備えるのががん保険です。

がん保険といっても、どの商品も同じ保障内容というわけではありません。ほとんどのがん保険には、診断給付金・治療給付金などの名称で診断確定時に一時金を支払う保障がついています。

診断給付金は初めて診断確定されたとき1回の商品と、再発・転移に備えられる複数回の商品がありますが、後者のタイプが増えています。

それ以外の保障は、がんの入院と手術、退院後の通院を保障する「従来型」、最新の治療事情に対応した「新型」があります。

「新型」とは、3大治療は外来(通院)で行われることが増え、「従来型」では診断給付金しか支払われないことから、通院治療にも対応しようというものです。

診断給付金の金額を大きくする、治療給付金などの名称で一時金をプラスし、それを通院治療費に充てられる「一時金重視型」、3大治療であれば通院でも給付金を支払う「通院重視型」、がん治療でかかった医療費の全額を支払う「実損てん補型」があります。

つまり、「従来型」を含めて4タイプあるといえます。

なお、がん保険には、先進医療の特約がセットされている商品が多いですが、医療保険などに先進医療の保障がついていれば、がん保険の特約は外してもかまいません。

がん保険の比較ポイントは7つ!

では、たくさんあるがん保険の中から、どう比較して選べばいいのでしょうか? そのポイントは下記の7つです。

① 保障期間
がんは生活習慣病の一種で、年齢とともに罹患率が上がります。ですから、保障期間は終身タイプを選ぶのが賢明です。

ただし、がんの治療費負担が大変なのは子どもが幼い時期や働き盛りなどの現役時代なので、この時期を定期型で手厚くしておくという考え方もあります。

② 保険料払込期間
終身タイプを選んだ場合、保険料払込期間を選べるがん保険があります。できれば、高齢期の保険料負担を避けるために、60歳や65歳などで払い終わる有期型がいいでしょう。

有期型では保険料が高くなってしまう、そもそも終身払いしかない場合は終身払いでかまいません。

③ 診断給付金の回数
最近は、再発・転移に備えられる複数払いのがん保険が増えています。以前の商品では、初回の診断確定時1回のみのものもあります。

④ 保障タイプ
前段で説明した4つの保障タイプのどれがいいか選びます。

⑤ 入院日額
がんの入院日額は1万円をベースにします。通院重視型は、通院でも入院と同額の給付金が支払われる商品がほとんどです。

⑥ 付帯サービス
がんと診断されると、主治医が提案する治療方法に不安を覚えることがあります。そんな際、主治医以外の医者の意見を聞く「セカンド・オピニオン」サービスを利用するといいでしょう。付帯サービスとして、セカンド・オピニオンの手配をしてくれたり、費用の保障をしてくれるがん保険があります。同程度の保険料であれば、付帯サービスがついている商品の方が安心です。

⑦ 保険料はどうか
最後のポイントはやはり保険料です。同様の保障内容なら保険料が安い方がいいでしょう。終身払いは、一生涯にわたって払い続ける必要があるので、収入が減る高齢期でも払えるかどうか、よく考えましょう。

がん保険を比較する際に大切なことは条件を揃えることなので、保障タイプが同じような商品で比べるべきですが、加入したい候補商品は保障タイプ違いのこともあるでしょう。

その場合は、どのタイプがニーズに合うか、保険料負担に妥当感があって払い続けられるかで選ぶといいでしょう。

図表1 がん保険の保障タイプ

従来型 新型
一時金重視型 通院重視型 実損てん補型
がんの入院・手術・退院後の通院を保障する。診断給付金は最初の診断確定時の1回のみが多い。 診断給付金+治療給付金などの名称で一時金を手厚くしている。通院でかかる費用は一時金で賄う考え方。診断給付金は複数払いが多い。 手術・抗がん剤・放射線の3大治療を受けると、入院でも通院でも給付金が支払われる。通院のみの治療でも給付金が支払われる。診断給付金は複数払いが多い。 がんの治療でかかった治療費の全額を支払ってくれる。診断給付金は最初の診断確定時の1回のみが多い。