そもそも論ですが、転職は「しなければならないもの」ではありません。大手広告代理店(R社)のように「過去に定年まで勤めた人がほとんどいない」という会社は、なくはないのですが、これは例外中の例外です。
R社では若いときに非常に責任がありかつ厳しい仕事を行い、そこで独立開業や他業種への転職のための知識とスキルを培い、転職をしていくということが「暗黙の了解」としてありますが、そういうことはそうそうあることではありません。
転職活動に際しては、自分がこの会社でこのまま勤めていって良いのかどうかを、まず判断していただくことになります。
今の自分の待遇に不満があるかどうか考える
転職を考えていくための根本は、現在の自分の待遇について不満があるかどうかを自覚することです。今の環境が問題なく、優遇されているのであれば転職する必要はありませんよね。そこで、以下のことを振り返ってみましょう。
収入、賃金
現在のご自身の収入はどのようなものでしょうか。同期と比較して差がついている、同業多種と比較して少ないなど、不満があれば転職への大きな動機になります。
他社の収入について知る方法は『四季報』を見ることをお勧めいたします。ここには平均年収の他、勤続年数なども記されているため、自分の会社が同じ業界と比較して「ホワイト」なのか「ブラック」なのか分かります。
ただし、四季報に掲載されているものも、加工(修正)されている可能性がありますので鵜呑みにはしないようにしてください。多くの企業は「ありのまま全て」を公開しているわけではありません。それでも見劣りするようでしたら、転職への動機となります。
労働環境
まず意識していただきたいのは、長時間労働などの今の労働環境にマヒしていませんか?と言うことです。「飼いならされた家畜」ではないですが、今の残業時間や休日出勤(サービス残業を含む)が「当たり前」だと思っていると、既に「飼いならされた『社畜』」になっている可能性があります。
それでも良いではないかという意見もありますが、転職のモチベーションは今よりもましな労働環境を得たいという気持ちから導かれます。ひょっとすると知らないだけで、今の労働環境よりもはるかに良い職場が存在するかもしれません。
現在の職場に留まるにせよ、転職を考えるにせよ、ご自身の労働環境をもう一度見つめなおしてみましょう。自分の置かれている状況を客観視できないと、転職活動を成功させることはできません。
日々、忙しい中で大変かもしれませんか「果たして今の環境は正しいのか?」という疑問意識を持つことが大切です。そうすることで、より良い環境に「脱出」することができると思います。とにかく現状認識を正しく持っていただくように振り返ってみましょう。
社内での地位、キャリアロード
入社数年の方は、まだあまり関係ないかもしれませんが、30代~40代になってくると、社内の力学によってご自身のキャリアマップが段々と見えてきます。その人の能力によるところもありますが、現実にはそれ以外の要素が介入することが大きいと思います。
「出世コース」とそうではないコースに明らかに分かれてしまうと、余程のことがない限り挽回が難しいのが日本の会社組織です。明らかに評価されている(能力的には自分と変わらない、あるいは劣っている)人とやっていくことができるのか、考えてみることも必要だと言えます。
回りくどく書きましたが、出世コースから外れてしまうと、いざとなったとき解雇や(片道)出向などの対象になりやすいのは事実です。自分の身を守るために、1つの方法としてもっと評価してもらえる職場へ移るということです。場合によっては希望退職や早期退職制度を活用し、退職金を加算した上で転職するという方法が出てきます。
人間関係の俯瞰
転職、退職の理由の中で最も多いのが「人間関係」です。待遇が良い、収入が高いという条件を満たしていても、「この上司の下ではできない」「この人とは絶対にそりが合わない」と言う状態が続くと、ストレスがたまり体調を崩してしまいます。
具体的な症状としては「うつ病」などの精神疾患いなる可能性が出てきます。うつ病は過重労働などでなると思われがちですが、それは要因の1つに過ぎません。定時に帰宅ができる環境であっても、うつ病になる人は半月経たずに発病してしまいます。そうした要因がある、あるいは異動などができそうもないという場合、やはりリスクを回避しないと、ご自身だけでなく、ご家族にも多大な影響を与えることになります。
改めて職場における人間関係を見つめなおし、このまま順調に行くことができるのか、問題がある場合、それを回避することが可能なのか、考えてみてください。「収入を上げたい」「キャリアアップをしたい」などのポジティブな理由でなくても、今の自分と家族を守るというために転職をするということでも、一向に構いません。
以上の4つの視点から、現在の職場の「自分と今後」について考え、もし職場を変えることがプラスになると思えば、転職を考えていくことになります。繰り返しますが、待遇や人間関係などに問題がなく、満足しているのであればリスクを冒してまで転職する必要は全くありません。
ただし、その現状が本当に満足できるものなのか、客観的な条件から再検討することは間違いではないと言えます。
転職活動をするかしないかを判断する
前項でご自身の現在の勤務全般について「棚卸し」していただき、本当にこのままで良いのかを見つめなおしていただいたことと思います。そこで、もし何らかの問題があると分かれば、次の判断として、転職する、しない、と言うことを決めていただくことになります。
現在の待遇に問題がある=転職すべき
ではありません。転職することによって、結果的にさらに条件が悪化してしまうこともあり得るからです。この判断は、転職活動と言う「時間もお金もかかること」をするかしないかに関わりますので、慎重に行ってください。主に以下の4つのポイントから、転職が現実的なのかどうか判断してみましょう。
転職活動の時間的余裕はあるのか
まず、転職活動を行うにあたって現実的に活動をすることができるのかを考えてください。転職活動の際は転職希望先の企業は選考などで、在職中と言うことを考慮し、面接時間を夜にしたり、土日(休日)にしたり、なるべく活動しやすいように配慮を行ってくれるのが一般的です。
しかし、そうした配慮も最終面接などになると、平日の午後と言ったように融通が利きづらくなるのが一般的です。その段階では有給などを取得していくことになりますが、現在の職場はそうしたことができますか?
あるいは休日が不規則、シフト性、夜勤があると言った職場の場合は、さらに転職活動そのものが難しいということもあるかもしれません。そうした場合、現業に在職しながらの転職活動ではなく、辞めて自由な立場を得てから転職活動を行ったほうが良い場合もあるかもしれません。
当然ですが、辞めてしまえばリスクも非常に大きくなります。それについては後の項目で詳しく述べたいと思います。どんな仕事であっても働きながら転職活動をすることができるわけではないことを注意してください。ご自身の職場はそうしたことが可能なのでしょうか?
転職活動先への時間的、空間的制約
次にご自身の現在居住地から、転職活動が物理的に可能かどうかという問題です。ネット上で転職サイトなどへの応募はできますが、最終的には何度も面接に足を運ぶことが必要です。転職先で内定を得てから、転居の手続きを取ることは問題ありませんが、転職活動の段階で転居はできませんよね。遠い会社に面接に行くことができますか?
勤務先⇔居宅⇔転職活動先
の導線は確保できているでしょうか。実際に面接先に行く時間がない、行く方法がないということでは困ってしまいますよね。
また、ハローワークを活用した転職を希望する場合、ハローワークの事務所へ行く必要があります。大都市などでは、「出張所」のようなものもあり活動もしやすいのですが、地方、山間部などですと、複数の市町村にまたがって1か所しかないなど、転職活動を行う上で非常に行きづらい可能性があります。
お近くの(登録できる)ハローワークを確認しておいてください。
自分の仕事は他で通用するものなのか
次に転職の際のご自身のスキルを見直し、実際にそれをもって相手にアピールできるものなのか確認します。営業や人事、総務などの経験はどの企業へ行っても通用するものだと思いますが、もし特殊な業務しか行っていない場合は、それを「職務経歴」としてアピールしていくのが難しい可能性があります。
これは後で述べる「転職コンサルタント」を活用した転職の時に特に問題になるのですが、これまでやってきた職務内容が「売れる場合」と「全く売れない場合」があるのです。仕事はしっかりとしてきて評価も高かった。だから転職の際も評価されるものだと思っていても、現実は全く評価されないということが起こり得るのです。
具体例を挙げましょう。
ある丸の内の団体の人が転職をしようとしていました。丸の内勤務をしているのですから、どこへ行っても通用しそうですが転職活動では困難を極めたそうです。なぜならばこの人の職務内容が「検定試験の企画・運営」という極めて特殊なものであったからなのです。
検定試験業務は、試験問題の作成、検定試験会場の手配、試験ルールの規定、当日の試験運営、派遣スタッフの手配、試験広告の掲載(広告代理店との交渉)、採点業務、成績表の発送(システム会社との連携)など非常に広範に及ぶもので、「つぶしが利く」とその人は思ったようですが、実際は異なり「営業を何年やっていたら何ポイント」「この言語でシステム設計を行っていたら何ポイント」と、機械的な評価がされるものだったとのこと。
結局、転職コンサルタントからの評価は最悪で(全く「売れない」と言われたようです)、自力で転職をしました。この例は極端ですが、ご自身のこれまでの業務と、転職先の業務がかい離していると、転職が難しい例があります。
メーカーや金融であっても、たまたま人事にいれば、労務コンサルタント会社や研修会社への転職が有利になる場合があります。「たまたまここにいた」という運の要素も転職では大きいことを意識してください。まずは、自分の業務の転職市場での「価値」をよく見極めてください。「売れる」ところに売って行かないと、転職ができません。
収入が上がる目途は立つか
転職に際して収入面の考慮は不可欠です。人間関係や労働環境が最悪で、収入が下がっても今の職場から転職したい、という人を止めることはできません(上でも書いたように、うつ病などになってしまうと最悪ですからね)。
ただ、キャリアアップなどポジティブな意味で転職を希望している場合、あえて収入が大きく下がってしまう転職をする意味はあるのかな、と考えてみてください。
収入が上がる目途が立てば良いのですが、少なくとも現在に収入を維持できることを前提に転職先を見つけないと、どんどん収入が下がってしまう「負のループ」に陥ってしまいます。そうなってしまうと何のために転職をしたのか分かりません。
自分を「安売り」することは転職市場では良いことではありません。能力のある自分を転職先に高く売りつけてやる!と言う気概が必要になります。現在の職場にいることで、心身に悪影響がないのであれば、落ち着いて自分の価値を見極めて、収入面で優遇される職場があるかどうかを、転職する・しないの判断材料にしましょう。
ここは落ち着いて、時間をかけて判断していただいて構わない項目ですし、むしろじっくりと「自分が売れる」かどうかを確かめてください。収入アップは転職への大きなモチベーションになります。
今の人間関係がなくなっても良いか
もし、現在の職場の人間関係が良好で、精神的なストレスがないのであれば、ひょっとすると転職しないほうが良いかもしれません。転職先へは「よそ者」として既にできているコミュニティに1人で入っていくことになります。風通しの良い職場であれば問題ありませんが、どのような職場なのかはこの時点では判断できません。
転職理由で「人間関係の悩み」が大きな比重を占めることからもわかるように、日々顔を合わせなければならないメンバーと良好な関係を築けないのであれば、例え収入が上がったとしても続かない可能性があります。
転職した先ですぐに「辞めたい。転職したい」となってはもったいないですよね。今の人間関係がなくなっても自分の中で納得できることが転職に踏み切るためには必要になります。
以上の4つの視点から転職しても問題ないし、転職活動ができると判断すれば、いよいよ具体的な転職計画を立てることになります。
転職をする目的を明確にする
転職を「する」と決めた場合、その目的をどのように定めるのかが重要になります。「あれ」も「これ」も同時に満たしたいということは、結果としてそうなることはありますが、転職活動の段階ではいきなり「二兎を追う」ことは避けたほうが賢明です。
転職活動が進んでいく中で、自分の外部からの評価を何となく感じてくると、どの程度まで結果を得られるのか想像がついてきます。まずは、ぶれない転職の「軸」をはっきりとさせたうえで、活動の中でその軸に肉付けをしていくようなイメージでいると良いでしょう。
転職の目的例
転職目的は大きく分けると以下の3つに集約されると思います。
①収入を上げる目的
まず考えられるのが収入アップです。おそらく、ポジティブな転職の大きな理由がこの収入面であると言えます。今の自分の評価以上の働き、能力があるはずで、それに見合った収入を得たいというのは、人間の自然な感情であり大切にすべきものです。
従って、求人より高収入案件を選び、そこに応募していくことになります。注意していただきたいのは、職務経歴書や面接において「自分の価値が高い」ということを客観的に説明できる必要があります。
そのための職務経歴の棚卸しが不可欠になります。後で述べますが、転職コンサルタントと面接をして、ご自身の転職市場における価値を査定してもらうのも1つの方法です。そこで評価されれば、コンサルタント経由での転職を考え、納得がいかなければ、ご自身で説明できるよう取り組むことが必要になります。
②キャリアを上げる目的
現在の自分の仕事では、スキルや経験が蓄積せず、将来を考えたときに前に進むことができないと思った場合、キャリアアップ目的の転職を考えます。この場合、次の転職先もキャリアの通過点に過ぎないかも知れません。ひょっとすると、長期間そこに勤めることはないかも知れないということを念頭に置きましょう。
キャリアアップを目的とした転職の場合、転職先でも同様の意図で転職してくる人が多いことが予想されます。ひょっとすると労働条件は優しくないかもしれません。それでもそこで働いて、しっかりとしたキャリアを積むのだ、という意識と覚悟を明確にすることがこの場合は求められます。
③労働条件を良くする
「ブラック」な職場で残業が多く、それもサービス残業。休みもろくに取得できない、休日出勤が多いなどの場合、「自分を守る転職」を考えることになります。こうした理由の転職については、あまり歓迎されない向きもありますが、このまま我慢して心や体を壊してしまっては一生を台無しにしてしまいます。
従って、このような理由の転職も胸を張って堂々と行いましょう。そのためには「何としても今の環境から脱出してやる!」という強い意志を持つことが大切です。数社受けてダメだから自分は価値がないと思うのではなく、今の会社と同じような所が数社あった。そんな会社は落とされて上等、くらいに思っていると気持ちが楽です。
また、悩ましい人間関係を解消したいという理由もあるでしょう。その場合も「労働条件」に広い意味で含まれます。異動や配置転換を実現できないのであれば、やはり条件が悪いと言えます。人間関係は働くためのモチベーションに直結しますので、その改善を図る目的と言うのも大切です。
この3つの目的は両立できない事ではありません。「収入も上がり、キャリアも積むことができ、結果として労働時間も減った」ということは十分にあり得ます。ただし、1度に全部叶えられる職場を探そうとすると、なかなか難しいのも現実です。どれか1つを最低でも達成するという意識をもって、転職目的を明確にすることが転職の成功につながります。
転職目的の本音と建前を整理する
実際に転職活動を行う際、上記の目的をどこまで表に出すのか悩ましいものです。面接の際、あるいは応募書類提出の際、「今の職場がブラックすぎて何とか脱出したいんです」などと言うことはできないですよね。キャリアアップの場合は、比較的一致させやすいのですが、転職活動の建前と実際の本音をよく整理しておきましょう。
「給料が安い」「残業が多い」「一緒に仕事をしていて不快な人がいる」など本当の転職理由は何でも構いません。ポジティブな理由だけで転職する人はあり得ないからです。しかし、最初の就職活動でもそうであったように、それなりに前向きな理由は必要になります。
現職で行っていることをさらに伸ばしたい、より社会に貢献できることを行いたい、お客様の笑顔を直接みたいなど、建前と志望動機が論理的に整合性を取れていることが大切です。求人側も転職に関してネガティブな要素が介在することは理解しています。しかし、それを上手に包み、前向きな動機に昇華させる能力も見ていると思ってください。この能力も転職後働く上で重要になるものです。
1つ例を挙げてみましょう。ある会社で人事の仕事をしている人ですが、人事にいながらその労働環境が最悪で残業が多く抜け出したいという目的で転職を行います。その人の建前の転職目的です。
今の会社で人事の仕事をしている中で、 会社組織運営のコンサルティングに興味を持つ。会社と社員がお互いに「win-win」の関係で満足して働くことができるのが最良であり、そのための制度設計を専門に行うことができる貴社へ応募した。より、会社内部に入り込んで組織設計を行うことを自分の経験を生かして行えれば満足であるし、それを行うための転職にしたい。
もっともらしいですよね。そうした「上手に相手を化かす」ことも転職に際しては重要になります。自分の本当の転職目的をどこまで出せるのか、難しい場合はそれを「それっぽい」目的に改変させてみましょう。
面接時に対応できるようにしておく
上記で述べた「転職の建前」を特に面接に際には詳しく聞かれるはずです。「なぜ転職を考えているのか?」「その転職で得られるであろう結果は何?」「転職以外ではその結果を得ることはできないのか?」など、少々いやらしい質問も含めて対応できるようにしておきましょう。
そうした応対が上手にできないのであれば、転職を成功させることは易しくありません。こうした質問へ臨機応変の対応、切り返しができない段階で転職活動をしても、結果的に成功させることは難しいでしょう。面接対策は必須になります(後述します)。
下手な鉄砲を数撃っても、命中率が0%であれば意味がありません。0に何をかけても0ですよね。元々の「命中率」を高くすることが転職を成功させるために秘訣です。転職コンサルタントの意見として、この転職目的が明確ではない人がかなり多いようです。転職目的を決めるのは自分ですので、しっかりとしたものを見つけましょう。
場合によっては転職コンサルタントなどの専門家のサポートも考えてみると良いかも知れません。
働きながら転職活動をするか、辞めてから転職活動をするかを決める
転職目的が明確になったところで、具体的にどのように転職活動を行うのかを決定します。大きく分けると現職で働きながら転職活動をするか、退職をして転職活動に専念するかの2種類です。どちらもメリット、デメリットありますので、よく比較して考えるようにしてみてください。
働きながら転職する
現在の職場で働きながら、空いた時間を活用して転職活動を行います。メリット、デメリットについては以下の通りです。
○メリット
・転職が成功しなかった場合のリスクヘッジができる(そのまま現職にとどまり最低、生活は可能)
・転職活動資金を得ながら転職ができる
・転職活動長期戦も可能
○デメリット
・活動の時間的制約がある(平日昼は難しい)
・あまり転職活動のために休暇を取っていると職場に怪しまれる可能性がある
・「転職をする!」というモチベーションが維持できない
辞めてから転職活動をする
一方、職場を辞めて転職活動をすることもできます。やはり、メリット、デメリットが存在します。
○メリット
・転職活動に専念できる
・時間的制約がない、応募先企業のスケジュールの合わせることができる
・いやでも「転職せざるを得ない状況」に自分を追い込む(背水の陣)
○デメリット
・決まらなかった場合、大きく人生で躓いてしまう
・条件の悪いところに諦めて転職せざるを得ない
・転職活動資金が枯渇してしまう
辞めて転職活動をする場合の注意点
在職しながら転職活動をすれば、例え決まらなくても最悪、そのまま職にとどまることができますが、辞めてしまうと無職ですので非常に大変です。しかし、労働環境を改善する目的で転職をしたい場合、職にとどまること自体が負担になることもあり得ます。
腹をくくって辞めてから活動をするというのも1つの方法としてアリです。ただし、良く検討をしてください。1度辞めてしまうともう戻れません。背水の陣を引くべきかどうか慎重かつ適切なタイミングでの判断をお願いします。決めるときには決める勇気も大切です。
なお、退職した場合はハローワークで失業者登録をして、雇用保険(失業手当)を受給しましょう。1年以上前職で雇用保険を納付していれば、約3か月~5か月(90日~150日)受給できます。金額は1日当たり5000円~8000円程度ですが、ないよりましですし、これを転職活動資金とすることもできますし、少しゆっくりするための資金にもできます。
雇用保険の受給は「働ける人で就職の意思がある人」が対象です。もし、病気などを抱えている場合は、医師の診断書があれば受給の権利を先延ばしにすることができます。ベストコンディションで転職するためには、その雇用保険の権利を上手に活用することが大切です。
なお、受給期間中に転職が決まれば手当は打ち切られます(働きたいけど働く場所がない人のためのものです)。しかし、一部が「再就職手当」として支給されます。いずれにせよ、長期間の受給はできませんので、短期決戦で転職先を決めたほうが得策です。
また、履歴書の「空白期間」が長いと、その説明を求められるのも転職の常です。在職中の転職活動であればその説明は要りませんが、辞めてからの転職活動だと「辞めた理由」「無職の期間の説明」(どうして転職活動をしなかったの?えり好みしているんじゃないの?など)を求められる可能性があります。
長期に無職期間があると、転職に際してのご自身のステータス自体が落ちてしまいます。そこのことにも留意してください。ただし、心身が疲弊しているのであればまずその回復を優先させてください。無理をしても良いことはありません。その辺りの兼ね合いが難しいのです。
問題なければとりあえず転職市場を把握してみるのも1つの手
勤務先の環境が大きな負担でなければ、在職しながら、転職サイトに登録してみてどんな求人があるのかを知ってみるのも1つの方法です。実際に応募しなくても、どんな求人があるのか分かれば、今のご自身の環境と比較できます。
「やはり転職すべき」「今の環境はまだましかも」など色々な感想が出てくると思います。そうしたことを知るのが大切です。転職サイトへの登録で会社にばれることはありませんので安心してください。
また、退職しなくてもハローワークで相談に乗ってもらうことも可能です。無料相談ですので、そこまで有益な情報が得られるかどうかは担当者次第ですが、求人動向などを聞くこともできますし、求人票を眺めることも可能です。
以上まとめると
職場環境が過酷ではない:働きながら転職市場を把握することから始める
職場環境が過酷:辞めて「背水の陣」を引いて転職活動をするのも1つの手
という方向性が見えてきたと思います。