03転職活動の方法を決める

転職する時期が決まったところで、いよいよ転職活動を行います。転職活動の方法は大きく分けて

・企業へ直接応募
・ハローワーク
・転職サイト
・転職エージェント

の4つがあり、それぞれメリット・デメリットが存在します。ここではそれぞれの転職活動方法について解説します。転職活動の方法を1つに絞る必要はありません。必要に応じて複数のチャンネルを確保することは重要で、それぞれにしか出ない求人も存在します。多くの求人に触れることも転職を成功させるために重要になります。

転職活動の方法Ⅰ:ハローワーク、直接応募

まず考えられるのが昔ながらの転職方法です。つまり、直接求人を出している企業に応募する、ハローワークを通じで求人に応募すると言う方法です。現在でもこの方法は有効ですが、転職サイトなどに押されつつあります。

企業へ直接応募する

企業に直接履歴書や職務経歴書を送り、求人に応募します。新聞の折り込みチラシや無料求人誌などに掲載されているものもありますし、企業HPに「直接応募してください」と掲載しているところもあります。

一見すると安っぽいイメージもありますが、必ずしもそうではないようです。折り込みチラシや求人誌は広告媒体ですのでお金がかかります。後で述べる転職サイトの前身が求人誌などと思っていただければ分かりやすいと思います。

ネットのない時代はこちらの媒体で、求人にお金をかけて採用活動を行っていました。ただし、現在でもこのような媒体にだけ求人を絞っている企業(HPや転職サイトに掲載していない)はそもそも求人したい人のターゲットが異なる可能性があります。

つまり、このサイトをご覧になっている皆さんのように、ネットを日常的に使いこなすことをしない層、つまり高齢者やスマホだけしか使わない層にターゲットを絞っている可能性があります。紙媒体にしか求人を出していない企業については、避けたほうが良いと思われます。

一方で転職サイトと同時に掲載しているところについては、それだけお金をかけていることになりますのである程度信用しても良いかもしれません。

ただし、その場合も応募はネットから行いましょう。ネットを使うことができないと判断されると、そうしたポジションでの採用候補となってしまいかねません。

次に企業HPに直接応募フォーマットを設けている場合です。採用にあまりお金をかけていないように思われますが、こちらも必ずしもそうとは言えない事情があります。採用ページを見てください。お金をかけているように見えますか?

会社情報のところなどに取ってつけたように採用情報を掲載している企業は、あまりお金をかけていない可能性があります。一方で採用ページをしっかりと独立して作っていて、なおかつ転職サイトなどを使用していない企業については、独力で優秀な人を採用したいと言う意思の表れだと考えてください。

転職サイトに掲載すれば「今週の新規掲載企業」などの項目にもなりますし、簡単に検索できますが、その一方で誰でも簡単に応募できてしまうという面もあります。しっかりとした採用ページを作り、そのうえで直接応募に絞っているのであれば、その企業の志望度が高いかつ探し出すスキルのある人を最初からフィルタにかけることが可能です。

こういう方法は、外資系企業や歩合制の大きい企業が採用していて、より能力と意識が高い人を通年で採用したい場によく用いられます。もし初めからこの企業に転職したい!と思うのであれば、HPをのぞいてみてみましょう。

あと、これは「裏技」ですが、採用情報がない場合に直接転職希望だと言うことをメールないし手紙で企業の人事に送るのも効果的です。予想外に手ごたえがあり、採用につながることもありますし、採用情報を出す段階であらかじめ教えてくれることもあります。ひょっとすると一次選考免除などのメリットがあるかもしれません。

転職活動はある意味「何でもあり」なところがあります。自身の志望度が高いようなら前もって積極的にPRしておくことは損ではありません。ただし、転職サイトで募集しているときなどは過剰なアピールが逆効果になることもあり、さじ加減が難しいのです。

ハローワークを使っての転職

次にハローワークです。ハローワークは公共職業安定所で求人側も応募側も無料で使うことができます。費用負担がないため突発的な求人にも対応できるのが魅力ですが、やはり「安かろう悪かろう」と言う面は否定できません。

いつも掲載されている求人や、募集開始から締め切りまでが短すぎる求人などは「ブラック」の可能性が高いと思います。とはいえ、中には「掘り出し物」的な求人がないとも言えませんが、こちらをメインにすることはあまりお勧めできません。

ハローワークの相談員はプロですが、業績給に反映されるわけではないので、転職エージェントのような必死さは薄いかもしれません。ただ、無理やり求人に応募させるようなこともないですので、セカンドオピニオンを聞くつもりで相談してみるのはOKです。

あくまでハローワークは転職の「サブ」「オプション」だと考えましょう。

ただし、ハローワークのその他の機能、「雇用保険」や「職業訓練」は利用しない手はありません。特に退職をして転職活動をすると決めた場合、必ずハローワークに登録し雇用保険受給の手続きを取ってください。必ずしもハローワークの求人に応募しなくても転職活動をした実績が証明できれば失業手当の受給は可能です。

つまり、失業手当だけハローワークからもらいながら、実際の転職活動は転職サイトや転職エージェントで行うと言うことも可能です。もらえるものはもらいながら転職活動できればいいですよね。もちろん、在職中に転職活動を行う場合は、手当関連は関係ないので、求人をハローワークで探すかどうかと言うだけの話になります。

この記事は本音ベースですのではっきり言いますと、やはりハローワークを転職活動の中心に据えると言うことはお勧めできません。転職サイトや転職エージェントで活動して、そのうえで足りない求人を補足するくらいに考えておきましょう。

転職活動の方法Ⅱ:転職サイト

続いて転職サイトを活用しての転職活動について述べます。おそらくこちらが現在の転職市場において最もポピュラーかつ重要なものになると思いますので理解していただきたいと思います。

転職サイトとは?

皆さん、最初の新卒での就職活動に「就職サイト」を利用されたことはあるでしょうか?ちょうどネット環境が当たり前になってきた2000年前後に就職活動をした人から、就職、転職活動で一般化された方法です。

現在新卒の就職活動においては、就職サイトなしでは活動はできないと思います。学生がネットを利用できるのは当たり前であり、このほうが採用する企業にとっても効率が良いからです。

転職サイトも同様で、採用側の業務を効率化しつつ優秀な人材を集めるためには不可欠な手段になっています。これを使いこなせることは基本的なネットスキルが必要であり、それがない人をふるいにかける役割も持っています。

転職サイトはまず、転職したい人がご自身の個人情報を登録します。学歴、職歴、これまでやってきた業務など履歴書をネットに入力するイメージでいると良いでしょう。

個人情報入力後は「職務経歴書」を登録します。通常の転職の際にも重要になる職務経歴書ですが転職サイトの場合、1度登録してしまえばいちいち書く手間がなく効率的です。詳細は後の項目に書きますが、希望へ応募する際に多少アレンジして手直しし応募することも可能です。

「履歴書」「職務経歴書」を登録したら次にご自身が希望する業種などを登録します。これによって募集が絞られることはありません。これは希望業種の求人があった場合、優先的にメールや転職サイト上の案内板などで優先的に知らせてくれるという便利な機能を持っています。合わせて年収や勤務スタイルなども登録が可能です。

これによってご自身が希望する求人を膨大な(数万件)中から検索し見つけることが容易になります。

求人はハローワークのように毎日更新されるサイトもありますし、毎週○曜日というように限定して更新しているところもあります。求人数自体が多いので毎日更新しているところでなければならないということはないので安心してください(大手は毎日更新しないところのほうが多いです)。

もちろん、ネット上での活動ですので曜日は関係ありません。土日であっても普通に利用することができ、応募することもできます(ただし企業の対応は営業日になります)。むしろ休日に応募してすぐに反応がある企業は、休日出勤しているということですから、やめたほうがいいかもしれませんね。そういう確認も転職サイトからわかることです。

「年収700万円以上 営業職 転勤なし」といった条件で登録すれば該当する求人がすぐにわかり、メールで知らせてくれるという便利な機能になっています。

条件を登録した後は、求人の中からご自身が希望する案件に「応募」をするだけです。基本的に登録した履歴書と職務経歴書を元に1次選考(書類審査)が行われますが、中には別途エントリーシートや小論文的なものの提出を求める企業もあります。ワードファイルなどに記入してネット上からアップロードしたり、サイト内のフォーマットに入力したりするケースなど様々です。

さらに、ネットとは別に郵送で履歴書や学歴証明書などの提出を求めることもあります。学歴等の証明には現物が必要になるので、郵送するしかないというわけです。

これを元にした1次選考を通過した人には、ネット上ないしメールで通過の案内が届き、以降は実際に企業に行き面接などの選考に入ります。ただし、2次選考以降のスケジュールや合否通知なども転職サイト上で行われることが多く、最後まで利用し続けることになります。

このように転職活動全般を支援し、企業と個人の仲介役を果たしていくのが転職サイトというものになります。こちらの活用は転職に当たって「必須」なものとご理解ください。

転職サイトの種類

一言で「転職サイト」といってもその種類は様々です。

①総合的な転職サイト

まず挙げられるのが総合的な転職サイトです。あらゆる求人が集まり、誰でもどんな職歴、資格の人であっても利用できるものです。

具体的なサイトとしては

  • リクナビNEXT
  • マイナビ転職
  • [EN]社会人の転職情報
  • ジョブセンスLink
  • イーキャリア
  • ワークゲート
  • 日経キャリアネット
  • ディーナビ

などが挙げられます。書いていくときりがないくらいあるのですが、上記の中から3~4サイトに登録をして並行していくと良いと思います。

サイトによって強み弱みがあり、特定の業種の求人が多いものもあるため、ご自身の希望に合わせて登録することも可能です(それ以外の求人もあります)。

例を出しますと
○リクナビNEXT・マイナビ転職:総合的求人サイト、大手~中小まで幅広い
○[EN]社会人の転職情報:営業の求人が多い
○ジョブセンスLink:営業、事務、エンジニア、飲食、アパレル、販売系が多い
○イーキャリア:営業・事務・サービス・エンジニア系が多い
○ワークゲート:事務・医療・福祉・販売系が多い
○日経キャリアネット:金融・IT・機械系エンジニア・メディカル系が多い
○ディーナビ:事務、飲食、販売系が多い

などサイトによって個性があります。

総合サイトを1~2つ登録し、後はご自身の希望職種に強い転職サイトに登録するというのが賢いやり方になります。これをお勧めします。

転職サイトに登録する際に注意していただきたいことがあります。まず、対象となっている求人の雇用形態について確認してください。つまり正社員だけの求人しかないのか、派遣社員やアルバイト、パートといったものも求人に含んでいるのかということです。

この記事を読んでいる人は正社員志向が強い方が多いと思いますので、その場合はどの転職サイトでもまず大丈夫ですが、もし短期アルバイトなどでつなごうと思っている方がいましたら、該当するサイトは絞られますので注意してください。

②職業を絞った専門サイト

「看護師」「薬剤師」など「○○師」「△△士」といった専門資格を持っている人の場合、その資格に特化した転職サイトがたくさん(本当にたくさん!)あります。例えば看護師専門の転職サイトだけでも

  • 看護roo!
  • 看護のお仕事
  • 看護プロ
  • ナース人材バンク
  • ナースではたらこ
  • ナースフル
  • 医療ワーカー
  • マイナビ看護師
  • ナースパワー
  • ベネッセ看護師

などなど、無数にヒットします。「資格名 転職」で検索すると、これらの専門資格の転職サイトを網羅したアフィリエイトサイトがヒットします。そこから転職サイトに登録するとアフィリエイトサイト運営者にお金が入る仕組みになっているので、気に入らなければ転職サイトだけ確認して直接サイトに行って構いません。

ただし、アフィリエイトサイトはそこから登録してもらうために、各サイトの特徴の比較や、求人内容(どのような求人が多いのか、平均年収、残業の有無など)や職場環境(看護師ならばクリニックと緊急外来ではどう違うのか)など職業に関する情報が掲載されているので、そこで理解を深めていただき、より良い求人への応募に活用できます。

ご自身の持っている資格向けの専門転職サイトがあるかどうかは分かりませんので、ぜひ一度調べていただければと思います。

専門資格の転職サイトの良いところは、ピンポイントでかつ限定的な求人があり、選択肢が多いということです。看護師でいえば、総合的な転職サイトの場合掲載されているのは病院や町のクリニックがせいぜいです。しかし、専門の看護師転職サイトにはそれらの求人の絶対数が多いだけではなく、あまり見かけないような求人も掲載されています。

例えば「学校看護師」「企業看護師」「手術室看護師」「ICU」「救命救急外来」「イベントナース」「ツアーナース」・・・なかなか見かけない求人も掲載されていて、それぞれ給与が高い、キャリア価値が高いなどの特徴があります。

総合的な転職サイトがスーパーだとすると、専門資格の転職サイトは肉屋であり魚屋なのです。当然、専門店のほうが扱っている商品の幅も広いですし、なかなか見かけない珍しい商品の取り扱いもあるわけです。

ご自身の資格を生かした転職を希望するのであれば、こちらの利用をお勧めいたします。

転職サイトへの登録

どのような転職サイトを利用するのか、いくつかに絞っていただいた上で登録を行います。登録項目の概要については上で述べた通りで「履歴書」「職務経歴書」「希望する条件」が中心になります。

転職サイトに個人情報を登録する際は、学校や職歴などは一覧から選択できるようになっています。該当するものを選んでいけばよいので楽です。また、職歴が通常の営業や事務ではない場合は自分で別途記入することもあります。

結局最終的にはばれてしまいますので、職歴が中断している場合も正直に書きましょう。職務経歴書はある程度良い面を強調することも可能ですがそれは後の項目で解説します。

WEB上からの登録になりますので、入力できる分量には制限があります。色々な職務を行ってきた場合、全部を書くことはできないかもしれません。その場合は上手に情報を取捨選択しながら、最も企業側に訴えたい実績を中心に構成をしていくことになります。

ご自身の希望条件の設定はそこまで厳密に行う必要はありません。サイト側が優先して情報提供する場合に利用されることがほとんどで、応募企業に知られることはありません。

例えば「年収700万円以上 営業職」で登録している人が「年収550万円 事務職」に応募しても全く問題ありません。それよりも企業側の興味を引くような履歴書や職務経歴書の作成に注力すべきです。

入力した内容の変更はいつでもできます。徐々に推敲しながら内容をブラッシュアップしていくこともできますし、記載している項目の比重を変えることもできます。新しく何かの資格を取得した場合、それを追加していただいても構いません。日々、登録内容をアップデートできるのが転職サイトの良いところです。

1度気合を入れて入力してしまうと、以後内容については放置しがちになりますが、是非とも日々更新できるように心がけてください。

転職サイトのメリット

転職サイトを活用するメリットについて解説します。大きく分けると以下の3点になります。

①応募がしやすい

新卒の就職活動でもそうですが、WEBの活用によってその効率は大幅に向上しました。会社資料を取り寄せる、履歴書や職務経歴書を書く、郵送するという手間がなくなり、登録してある情報をそのまま1クリックで相手に送ることが可能になりました。

1つの企業の応募にかかる時間が大幅に減っているので、一度に複数、多数の応募ができます。人によっては採用される可能性も高くなるかもしれません。また、限定された案件やマイナー求人も検索によって見つかるので、通り一遍ではない転職先を見つけることが可能になりました。

これまで自分の頭の中にあった転職先とが異なる、新しい職場との出会いがこれによって可能になりました。

②スカウト機能

転職サイトによっては「スカウト機能」といってご自身が登録した職務経歴や資格を見て、企業側からヘッドハンティングが来ることがあります。通常の採用ルートではなく、ご自身を一本釣りすることが可能になっています。

外資系の高収入求人などはこれによって該当者を探すことも多いと聞きます。適切な人を初めから見つけることができれば直接声をかけたほうが効率的だからです。

是非とも登録内容を充実させて、スカウトされるように期待してください。ただし、ブラック企業の中には見境なしにスカウトするところもあります。当然ですがそのような企業は無視しましょう。

③限定求人

通常のハローワークなどには出ない「限定求人」が多いのも転職サイトの特徴です。転職サイトと募集企業との間には信頼関係があり、能力のある人を積極的に採用していくためにはこの方法が効果的なのです。

特に「年収800万円以上」などの「ハイクラス求人」は通常あまり表に出ることはなく、転職サイト登録者の中でも条件を満たした人だけに公開されることもあります。こうした方法はハローワークではできないので、事前にフィルタにかけられる転職サイトならではのやり方として注目してみてください。

また専門資格限定の転職サイトは、さらに限定案件が多くなる傾向にあります。より細かい経歴の登録が可能であり、募集側も理解していますので、ピンポイントに高い能力の人を選んでいくのに非常に効果的な方法になります。

ご自身がどのような評価を受けられそうなのか、あらかじめ把握できるのが転職サイトの強みです。また、1度登録すれば途中で転職活動を中断した際も、情報は生きているので再開する際にはスムーズに運びます。登録期限はないので、良い案件がないかどうか確認しながら長期戦も可能です(上で書いたようにお勧めはしませんが…)。

転職サイトのデメリット

転職サイトを中心に活動していくことは不可欠ですが、デメリット、注意していただきたいことがないわけではありません。以下を抑えてください。

クリック1つでどんな企業にも応募できることが転職サイトの強みですが、裏を返すとネットでやりがちな失敗がここでも当てはまってしまうことになります。

・コピペで応募してしまう
「コピー」→「貼り付け」で膨大な文字データを扱うことができますが、ある企業Aに応募しようとして、その企業向けにアレンジせずそのまま志望動機を送ってしまった、B社向けの文章をA社に送ってしまったなどということがうっかりしていると起きてしまいます。

簡単に応募できるからといって、十分な推敲をせずに行ってしまうとせっかくの応募が台無しになってしまいます。

・相手も多数の応募が可能
簡単に応募できるのは自分だけではありません。他の転職希望者もクリック1つで応募できるわけで、競争率、倍率自体は転職サイトだから下がるということにはなりません。むしろあまりに応募しすぎて、企業研究がおろそかになってしまう、スケジュール管理が崩壊してしまうなどの危険性があります。自分で自分を管理できないとシステムに引きずられてしまいますので注意してください。

・自分のデータを脚色してしまいがち
少しでも良い条件になるように自分を飾ってしまう可能性があります。年収証明が必要ないからといって今の年収を高めに登録してしまうと、後で転職が決定した後、税金や社会保険の支払いの際に嘘がばれてしまいます。それが即解雇事由になるかどうかは分かりませんが、ばれるような脚色をうっかりしてしまうのがネットの怖いところです。

デメリットはこのようにありますが、転職サイトを使わず転職活動を行うことは今の時代現実的ではありません。したがって、自分をよくコントロールしながら活動していくことになります。

転職活動の方法Ⅲ:転職エージェント

03転職活動の方法を決める_02

 
最後に紹介するのは「転職エージェント」を活用した転職になります。このシステムを上手に活用することで、ご自身の能力が正当に評価され。ワンランク上のハイクラス求人へ転職できる可能性が高くなります。

転職エージェントのシステム

転職エージェントとは専任のコンサルタントが転職希望者の市場価値を把握して、求人先に推薦をするシステムで、転職までの一連の流れを代行してくれるため、こちらの負担は非常に軽減されます。

転職エージェントは人材紹介会社(転職サイトを運営している会社)が併せて持っていることが多く(独立のエージェントも存在しています)転職サイト登録と、一緒にエージェントへの登録を行っても問題ありません。

このシステムが成立する理由を述べます。転職サイト以上に採用にお金をかけたい、優秀な人を採用したい企業は転職エージェントにそうした人材の発掘を依頼します。コンサルタントは基本的に成果報酬で、自分が担当した人が転職できた場合、転職先でのその人の年収の10~20%を受け取ると言われています。

したがって、優秀な人材を転職させようと躍起になり、最大限の協力をしてくれることになります。また、企業側も「転職サイトの手数料」を遥かに超えた金額をコンサルタントに支払うわけですから、コンサルタントとの個人的な信頼があります。つまりその信頼を裏切らないためにも、コンサルタントによる転職希望者の「評価・査定」は非常に厳しいものになります。「市場価値なし」と判断されれば、その段階で断られてしまいます。

そうしたことを前提に、転職エージェント利用の流れを書いていきます。

①エージェントとの面接
志望動機を話し、これまでのキャリアを説明します。履歴書や職務経歴書(ファイル形式)も提出します。この段階で、ご自身の市場価値が判断されることになります。

非常に有能な人材だと判断されれば「ぜひ当社に登録して活動してください!」と大歓迎されます。コンサルタントの収入にも直結するので正直です。

「売れる」ラインとして微妙な場合は「正直どこまで案件があるのかわかりませんがいかがされますか?」と問われます。この場合、紹介できた案件があったとしてもどうでもいいもの、はっきり言うと転職サイトでも十分に探すことができるものが多くなります。コンサルタントもやる気がありません。就職できたらラッキー程度で、色々な相談や案件の紹介も露骨に手を抜きます。

最後に「商品価値なし」と判断された場合は非常ですがその場で「あなたに紹介できる案件はありません」と完全に断られます。商品として売れないので、それはあきらめるしかありません。なお、その情報自体がコンサルタント同士で共有されるということはないので、別の転職エージェントに行ってみる方法はあります。

②エージェントへの登録
コンサルタントから「市場価値あり」と判断された場合は、そのエージェントに登録することになります。WEB上から必要情報を入力することもありますし、ワードファイルなどで直接コンサルタントに送る場合もあります。

コンサルタントから修正依頼や添削指導が入ることもありますが、それだけ価値があると判断してくれていることも裏返しですので素直に従いましょう。ここではあまり自分の色を出さないほうが賢明です。

③案件の連絡
コンサルタントから実際の求人案件が紹介されます。1回に複数の求人を紹介されることもあり応募数を1つにするのか複数でも大丈夫なのか、コンサルタントと話し合ってください。もちろん気に入った案件がなければ断ることも可能です。

ある企業に応募したいと判断したらコンサルタントに伝えてください。必要書類の準備、応募、スケジュールの設定まで全て代行してくれます。

④面接へ行く
コンサルタントが設定した日、時間に応募企業へ行き面接を受けてください。面接自体は通常のものと同じ注意が必要になります。

⑤採用の可否
転職サイトからの応募のように3次面接、4次面接となることは少なく、通常は1次面接か2次面接で採用が決定することが多いのも転職エージェント経由での活動の特徴です。面接通過の可否や採用については、本人ではなく転職エージェントへ連絡されます。そこから本人へ結果が知らされるという流れになります。

⑥受諾するかどうか
内定が出たらそれを受諾するかどうかを判断します。ご自身の今後を左右することですので慎重に行ってください。一方で、転職の可否はコンサルタントの収入にも関わります。あまり受諾拒否を繰り返すようだと、以降紹介されなくなってしまう可能性があります。少なくともコンサルタント内での優先順位は下がります。

このような独特の流れで転職エージェント経由の転職活動は進行します。特に働きながら転職活動を行う場合は、手間が大きく省けますので検討していただければと思います。

転職エージェントも転職サイトと同じように、総合的な求人を扱うもの、特定の分野に強いもの、看護師、薬剤師など特定の資格を持っている人向けのもの、色々存在しますのでご自身のキャリアに合ったものを選びましょう。

特に看護師、薬剤師といった専門職のエージェントであればその資格があれば「市場価値なし」と断られることはないと思います。

転職エージェントからの「評価」をどう受けとめるのか

この記事を書く上で、あえて全ての人に転職エージェントに行って面接を受けていただきたいのです。コンサルタントに厳しく査定され断られたくないという人もいらっしゃいますし、気持ちも分かります。ただしここで「転職市場」というものを知っていただきたくことで今後につながります。

転職エージェントが評価するのは能力が高い人では必ずしもありません。能力が高い人≠転職市場価値が高い人であり、評価される人は転職させやすい経歴だということに過ぎません。エージェントの世界ではある位程度のパターンがあるようで

・営業●●年、年収△△万→このあたりの企業
・システム開発■■年、年収○○円、資格~→このあたりの職場

のように方程式が決まっています。

企業側がエージェントに頼むのも、同じようなスキル、経験の人達の中から選考を行うのが面倒なので、設定した「枠」に入る人を直接紹介してもらったほうが効率的でもあります。したがって転職エージェントで評価される人は転職活動全般で、ご自身の経験をPRし評価されやすい経歴だということです。

では、エージェントで評価されなかった人が転職できないかというとそうではありません。転職エージェントに来る求人の中にはそれまでの経歴を生かせるものがなかっただけで、転職サイトなどにある求人には活躍できるものがたくさんあります。自身の価値を否定されるように思えますが、そうではないので安心してください。

転職エージェント経由での活動のほうが楽ですので、それが可能かどうか判断するために最初のコンサルタントとの面接は受けてください。

転職エージェントで行けそう→これをメインに足りない部分を転職サイトで補う
転職エージェントが難しい→転職サイトに全力投球

と自身の活動方法を判断できます。

転職エージェントのメリット

転職エージェントを活用するメリットは色々と存在しています。

①事務手続きやスケジュール管理が不要

一度ひな形に履歴書や職務経歴書を入力し、ファイルとして提出すれば以降は、コンサルタントがアレンジして先方企業に送ってくれます。全てお任せでできるということです。転職希望者は当日面接に行って話すだけで大丈夫です。

また、スケジュール管理もコンサルタントが行います。複数の企業の面接とバッティングすることなく、また在職中の場合は職務に支障で出ないよう時間を設定してくれます。相手はプロですので自分で行うよりもはるかに効率的で確実です。

②限定案件の紹介

元々転職エージェントには転職サイト以上に表に出ない「限定案件」が多数登録されています。企業もしっかりとしたコンサルタントの判断で推薦される人のほうがやはり良いようで、この方法で優秀な人を探そうとしています。

特にコンサルタントの評価が高い、あるいは個人的に気に入られるということがあれば、とっておきの「限定中の限定案件」を紹介してもらえることがあるかもしれません。どこにも出てこない求人に出会う可能性が高いのが転職エージェントになります。

③面接相談

採用企業の面接に通らないとコンサルタントはお金がもらえないのですから、面接指導を懇切丁寧に行います。企業に評価される受け答え方や、NG集、服装や姿勢など細かいチェックが入るかもしれませんが、転職のためには重要な要素になりますので、是非受けてみてください。

これは転職エージェント以外の方法で応募した際にも有効なスキルを鍛えることになりますので、タダで練習させてもらえてラッキー!と割り切ってもいいかもしれません。

ともかく転職エージェンを活用できれば、最小限の負担で最大限の効果を上げることが可能になります。

転職エージェントのデメリット

とはいうもののデメリットも存在しています。よく両者を天秤にかけてください。

①内定が出たら断りにくい

転職決定→コンサルタントの収入に直結しますので、内定辞退は非常にしづらい雰囲気になります。罵倒されるようなことはないでしょうが、以後の案件紹介などが露骨に減る可能性があります。コンサルタントも人間なのでモチベーションの維持が大変なのです。

またあまりに辞退を繰り返すと先方企業とエージェントとの関係も悪化してしまいます。自分のために転職するのですから妥協して行きなさい、ということではなく「知ったことか」でいいのですが、コンサルタントとの関係がこじれてしまうことは避けたいものです。

②気に入らない求人をどんどん紹介される

コンサルタントとの相性にもよりますが、どんどん自分が希望しない求人を紹介しまくる人がいます。評価が中程度の人に多いのですが「とにかく早く決めて!」という意図がありあり見えます。そこに希望するものがあれば良いのですが、全くない場合は一度コンサルタントによく話して、改善をするかコンサルタントを変える、違う転職エージェントに登録するなどの対処が必要になります。

このように転職エージェントの活用は、自身に「市場価値」があれば非常に有効な方法ですが、そうではない場合は転職サイトなどに1本化して本当の自分の価値を理解してくれる企業を探すことが大切です。

以上4つの方法の中から組み合わせて転職活動を行っていくことになりますが、基本は転職サイトの活用だと思っていただいて構いません。あと、どれを組み合わせるかだと思います。