用語

新社会人・新入社員の皆さん、仕事や職場には慣れましたか? 大丈夫ですか? 上司や先輩たちの会話についていけてますか?

筆者は、社会人になりたての頃、先輩社員から「これゼロックスしといて」と言われ、「?????」となってしまったという苦い経験があります。「ゼロックス」とはコピー機メーカーの名前で、そこから転じてコピーををとる、という意味だったんです。

そこで本記事では、オフィス内では当たり前のように使われるものの、新社会人・新入社員にとっては戸惑ってしまいがちな「ビジネス用語」の数々をご紹介します。

古式ゆかしき世界! 古典系ビジネス用語

ポンチ絵

用語 ポンチ絵
読み方 ぽんちえ
例文 「ここに、ポンチ絵入れといて」

《解説》

書類・企画書などに添える「簡単な図」のこと。人によって「マンガ」と言う場合もある。建築業やIT業などの製造業界では、「製品イメージが伝わる簡単なスケッチ」を意味する製図用語として頻繁に用いられているようだ。また霞ヶ関界隈での“お役所用語”として「政策などを矢印や図、写真などを駆使して分かりやすくした図表」との意味で普通に使われているとのウワサも。

 

ロハ

用語 ロハ
読み方 ろは
例文 この案件、ロハでやってくれない?

《解説》

「無料」「タダ」の意味。漢字の「只(ただ)」を上下に分解し、カタカナの「ロ」+「ハ」として読みかえたもの。元々は、大正から昭和初期にかけて流行った若者言葉に由来するとか。一時期ブームになった「ロハス」とは全く関係ない。

てれこ

読み方 てれこ

「逆になる」「互い違いになる」「あべこべになる」という意味。またその状態。

元々は歌舞伎用語で、異なる二つの筋を一つにまとめ、交互に話を進めることを指す。

関西発祥の言葉であるとの説が有力。

例文:「これとこれ、数値が『てれこ』になってるぞ」

 

五月雨式

読み方 さみだれしき

梅雨時の雨のように、途中何度か途切れながら、物事がだらだらと長く続くこと。

連絡や案件が一度で終わりきらない状態を指すため、否定的なニュアンスで使われることが多い。

筆者はかつて広告業界に属しており、クライアントからの「五月雨式の校正」は“最も憎むべきもの”として先輩社員から刷り込まれた。

例文:「五月雨式の連絡ですみません」

 


今日から使える! 実用系ビジネス用語

 

なるはや

読み方 なるはや

「なるべくはやく」の略語。

本当に「大至急」な場合から、「できる範囲で早めに」くらいの緩い場合まで、解釈に幅のある言葉なので少し注意が必要かも。

使われるシチュエーション、相手の表情、言葉に込められたニュアンスから、真意を感じ取ろう。

例文:「なるはやでお願いします」

 

あいみつ

読み方 あいみつ

「相見積もり(あいみつもり)」の略語。

実際の発注に先だって、複数の業者から見積もりを取ること。

金額やサービス内容を比較検討する目的で行われる。

あいみつを取られる業者側としては、「値引きしろ」という“無言のプレッシャー”として捉える向きも。

例文:「この案件、あいみつ取っといて」

 

前株・後株

読み方 まえかぶ・あとかぶ

「株式会社凸凹商事」のように「株式会社」が前に付く社名を「前株(まえかぶ)」、「凸凹商事株式会社」のように後に付く社名を「後株(あとかぶ)」と呼ぶこと。

ビジネス上、相手の社名を間違えると失礼にあたるため、確認する慣習がある。

印刷物の文字校正をする場面などでは、だいぶシビアに意識される。

身近なところでは、領収書に社名を書いてもらう時に登場することが多い。

例文:「前株ですか? 後株ですか?」

 

オリテル

読み方 おりてる

「折り返しTEL」の略語。

文字通り「折り返し電話」の意味。

クライアントから電話が入ったが、担当者が離席中、他の電話に対応中だった場合などに、その担当者へのメモ書き伝言メッセージとして用いられることが多い。

例文:「凸凹商事さんにオリテルで」

 

午後イチ

読み方 ごごいち

「午後いちばん」の略語。

一般的には「お昼休み明けすぐ」というような意味になるが、具体的な“時刻”としては、その会社や部署のタイムスケジュール、シフトによっても異なる。

類語として「昼イチ」、関連語として「朝イチ」などもある。

例文:「では、また午後イチにお電話します」

 


使えるとかっこいい!
カタカナ系ビジネス用語

 

マター

読み方 またー

「担当の案件、問題」というような意味。

一般的には、「○○○マター」という形で用いられる。

「○○○」の部分に、個人名、役職名、部署名、会社名などを入れることで、「○○○」の抱えている案件や問題を指す言葉になる。

例文:「この仕事は、山田さんマターだから」

 

バーター

読み方 ばーたー

「交換条件」「交換条件が成り立っている状態」といった意味。

元々は「物々交換」を意味する英単語。ビジネスの現場では、物事を丸く収める「貸し借りの清算」というようなニュアンスで使われることも多い。

なお「抱き合わせ出演」を指す芸能用語としての“バーター”は、「束(たば)」を逆さまに読んだことに由来するとの説も有力。

例文:「ここはひとつ、バーターでお願いします」

 

ペンディング

読み方 ぺんでぃんぐ

「保留する」「先送りする」「凍結する」こと、またその状態を指す。

再開の見込みがだいぶ薄くても、「ing」が付いていることで「あくまでも一時停止」な印象になるから不思議。

元々は英語だが、この白黒つけない角を立てない感じが、日本人の性格に合っているのかもしれない。

例文:「この問題は、いったんペンディングにしよう」

 

プロパー

読み方 ぷろぱー

「生え抜き社員」「正規の従業員」の意味で使われる。

この「生え抜き」「正規」の定義は企業によって様々だが、概ね「新卒でその企業に入社した社員」「その企業が直接採用した社員」などのことを指す。

つまり、彼ら彼女らを、中途入社の社員、関係会社などからの出向社員、派遣社員などと区別する際に用いられる。

なお、元来「固定の」「専門の」という意味があることから、ファッション業界ではバーゲンをしない正規価格の商品のこと、医療業界では病院に対する医薬品の販売に従事する人のことを「プロパー」というようだ。

例文:「プロパーさんは何人いますか?」

 

リスケ

読み方 りすけ

「リスケジュール」の略語。「スケジュールの立て直し、再調整」を意味する。

スケジュールを延期する場合に多く用いられ、なぜか前倒しする場合にはあまり使用されないのが特徴。

また逆に、案件が予定通りに進んでいる状態のことは、「オンスケ」(オンスケジュールの略)と呼ばれる。

例文:「今日の会議、来週にリスケされたから」

 


謎の暗号!?
横文字系ビジネス用語

 

NR

読み方 のーりたーん/えぬあーる

「no return(ノー・リターン)」の略語。

訪問先から職場に戻らず「直接帰宅すること」を意味する。

同じことを、伝統的なビジネス用語で「直帰(ちょっき)」ともいい、逆に自宅から直接訪問先に向かうことを「直行(ちょっこう)」、まれにこの2つを組み合わせた「直行直帰」なる言葉も出現することがある。

なお、この「no return」は和製英語で、英語圏では「直帰」の意味で通じないばかりか、「使い捨ての」「取り返しがつかない」という意味に取られかねないため注意が必要だ。

例文:「凸凹商事打ち合わせ NR」

 

ASAP

読み方 あさっぷ/えーえすえーぴー

「as soon as possible(アズ・スーン・アズ・ポッシブル)」を略したもの。

「至急」「可能な限り早く」の意味。

英語圏でも実際に使われている略語表現だが、若干命令的なニュアンスを含む「上から目線」なフレーズであるようだ。

日本のビジネスシーンにおいては、上で紹介した「なるはや」に近い用語として使われることが多い。

例文:「ASAPで頼むよ」

 

MTG

読み方 えむてぃーじー

「meeting(ミーティング)」の略語。

意味もそのまま、「ミーティング」「会議」のこと。

予定表などに書かれる表記の仕方も「mtg」「Mtg」「MTG」と、人それぞれ。

近年話題になった「TKG」(卵かけご飯)とは無関係である。

例文:「14:30~ MTG」

 

PCB

読み方 ぴーしーびー

「please call back(プリーズ・コール・バック)」を略したもの。

「あとで連絡ください」の意味。

ビジネスの現場では、上で紹介した「オリテル」と同様、担当者が不在時のメモ書き伝言メッセージに用いられることが多い。

環境問題の用語としてなど他に意味のある略語だけに、戸惑う新社会人・新入社員は少なくないという。

例文:「10:30 凸凹商事・山田様よりTELあり PCB」

 

FYI

読み方 えふわいあい

「for your information(フォー・ユア・インフォメーション)」を略したもの。

「参考までに」という意味。

メールの文頭や件名などに付けることが多く、「FYI」の後に相手の参考となる情報についてを書き込むのが通例。

筆者は、社内転送メールの件名でこの表記を初めて目にした際、通常の転送を意味する「FW」との違いが分からず、軽くパニックになった経験がある。

例文:「FYI 新商品の関連資料」

 


おわりに

いかがでしたでしょうか?

ビジネスシーンで飛び交う言葉の世界は、略語、カタカナ語、横文字(アルファベット)、専門用語、業界用語などをはじめ、多岐にわたり、実に奥深いものがあります。

まずは身近な入門篇の用語集として、この記事を、辞典・辞書代わり、一覧表代わりにご活用いただければと思います。