住宅ローンの代表的なメンテナンスといえば、繰上返済と借り換えの2つです。

まず、手軽な繰上返済を考える人は多いでしょう。しかし、繰上返済する資金があれば、借り換えの方が効果が大きい場合があります。

繰上返済と借り換えのどちらが得か、具体的な例を挙げながら見ていきましょう。

住宅ローン

繰上返済より借り換え?

繰上返済は、元金を減らすことで利息を軽減し、総返済額を減らすものです。

一方、借り換えは、新たに住宅ローンを組み直すことをいいます。より低い金利のものに借り換えができれば、繰上返済と同じように総返済総額を減らすことが可能です。

ただし、住宅ローンの借り換えをするには、当初借入れしたときと同じように、保証料や事務手数料、登記費用等が必要となります。諸費用だけで数十万必要になることが多いため、それだけ支払うのであれば繰上返済をと考えがちです。

しかし、繰上返済しようと思っている資金で借り換えした方が効果が大きい場合があります。諸費用も考慮して、繰上返済と借り換えのどちらが返済額の軽減効果が高いのかを比較しましょう。

  • 繰上返済:事務手数料、保証手数料(ネット手続きで無料になる場合も)
  • 借り換え:審査、事務手数料、保証料、登記費用等が必要

⇒ しかし繰上返済より軽減効果がある借り換えもある。

繰上返済について詳しくは「繰り上げ返済とは」、借り換えについて詳しくは「住宅ローンの借り換えとは」のぺ―ジで紹介しています。

 

繰上返済・借り換えの効果は?

借入れ中の住宅ローンについて、繰上返済と借り換えのそれぞれの効果を検証してみます。

現在借入中の住宅ローン
借入残高 2,700万円
残り返済年数 28年
金利タイプ 全期間固定金利型
返済方法 元利均等返済
金利 2.70%
毎月の返済額
(ボーナス払いなし)
114,610円
今後の総返済額 38,508,803円
繰上返済用資金 300万円

 

繰上返済の効果

上表の住宅ローンについて、300万円の繰上返済を期間短縮型と毎月返済額軽減型の2つのタイプで行うと、次のような軽減効果があります。

2つのタイプの繰上返済比較表
比較項目 繰上返済前 期間短縮型の繰上返済 毎月返済額軽減型の繰上返済
返済期間 28年 23年8ヶ月 28年
毎月返済額 114,610円 114,610円 101,875円
今後の総返済額 38,508,803円 35,487,762円(※) 37,230,076円(※)

※繰上返済後の総返済額には繰上げ返済資金300万円含んでいます。

 

期間短縮型の繰上返済の効果

300万円繰上返済かつ、毎月の返済額は変えず返済期間を4年4ヵ月短縮してみると、繰上返済前からの利息軽減効果は2,992,088円となります。

繰上返済前の返済総額:38,508,803円 - 繰上返済後の返済総額:35,487,762円 = 利息軽減効果:2,992,088円

 

毎月返済額軽減型の繰上返済の効果

300万円繰上返済かつ、返済期間は変えず毎月の返済額を12,734円軽減してみると、繰上返済前からの利息軽減効果は1,278,603円となります。

繰上返済前の返済総額:38,508,803円 - 繰上返済後の返済総額:37,230,076円 = 利息軽減効果:1,278,603円

 

2つの繰上タイプはどちらがお得?

毎月返済額軽減型よりも期間短縮型の繰上返済の方が利息軽減効果は約2倍以上もお得な結果となります。

期間短縮型が大きくリードし、約300万円の利息軽減効果があります。

 

借り換えの効果

手元資金300万円のうち、90万円を借り換え時の諸費用に、210万円を返済に充て、2,490万円を借り換えするとします。この場合の効果は次のようになります。

借り換えによる利息軽減効果の比較表
比較項目 借り換え前 借り換え後
借入残高 2,700万円 2,490万円
残りの返済年数 28年 28年
金利タイプ 固定金利 固定金利
金利 2.70% 1.60%
月々の返済額 114,609円 91,991円
今後の総返済額 38,508,830円 33,908,996円(※)

※返済資金300万円含んでいます。

借り換え前の総返済額(38,508,830円)から借り換え後の総返済額(33,908,996円)を比べると、4,599,834円も利息軽減効果があります。

繰上返済と借り換えの効果を比較

上記の事例では、借り換えによる利息軽減効果は約460万円となり、期間短縮型の繰上返済をするよりも約160万円利息軽減効果が大きいことがわかります。
 

  • 借り換えの利息軽減効果:約460万円
  • 期間短縮型の繰上返済の利息軽減効果:約300万円

借り換えの方が約160万円も節減できる

 

金利差○%で効果がある?

上記の例では、金利差が約1%あるため借り換えの効果が大きい結果となりました。

それでは、どの程度以上の金利差があった場合、繰上返済より借り換えの方が効果が高くなるのか確認してみましょう。
 

<借り換え時に繰上返済と同等の効果が得られる金利は?>

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上記の事例では、0.3%以上金利が低い住宅ローンであれば、繰上返済より借り換えの方が効果があることが分かりました。

返済額軽減効果は金利や借入残高、残り借入期間などによって異なります。

金利差1%以上などと言われていますが、実際は金利差がさほどなくても、繰上返済よりも効果が大きいことがあります。

繰上返済しようと思いたったら、借り換えもぜひ検討してみてください。
 

借り換えor繰上げ返済の判断

  • 金利や借入残高、残り借入期間により1%以下でも返済額軽減効果が得られる場合がある。
  • 借り換えか繰上返済か迷ったらシミュレーションなどを利用して検証。