借入れ当初は問題なく返済していた住宅ローンも、長い借入期間の途中では、教育費が予定よりも増えたり、リストラで収入が減るなどで、返済が苦しくなる時もあるでしょう。
支払いが厳しくなった時には早めの対処が必要です。ローンの返済ができなくなった時の対処方法について見ていきましょう。
目次
返済が苦しい時の3つの方法
返済が苦しくなった時に検討すべき方法は3つあります。
- 借り換え:金利の低いものへ or 返済期間延長
- 条件変更
- 自宅売却
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
借り換えで返済額を抑えよう
ローン返済が苦しくなる前の対策として、住宅ローンの借り換えがあります。
子どもの大学進学を数年後に控えるなど、先々の家計支出が増えることが確実ならば、返済が苦しくなる前にローンを借り換えて、返済額を抑えておくのもひとつの方法です。
金利が低いものへ借り換える
返済額を抑える方法の一つが、金利の低いものに借り換えをすることです。
今よりも金利の低いものに借り換えれば、確実に返済額が下がり、家計の立て直しにつながります。
金利が下がると、どれくらい返済額が下がるかを見てみましょう。
借り換えで金利が下がった時の毎月返済額の比較
借入残高2,500万円、残り借入期間20年、元利均等返済、ボーナス払いなし
現在の住宅ローン
金利タイプ | 残り借入期間 | 金利 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
全期間固定金利型 | 20年 | 2.50% | 132,475円 |

借り換え後の住宅ローン
金利タイプ | 借入期間 | 金利 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
1.全期間固定金利型 | 20年 | 1.50% | 120,636円 |
2.固定金利選択型 | 20年 | 1.20% | 117,218円 |
3.変動金利型 | 20年 | 0.80% | 112,756円 |
例えば、1.の全期間固定金利型に借り換えて金利が1%下がると、毎月返済額は約12,000円下がります。
また、3.の変動金利型では金利差が大きいので、毎月返済額は約20,000円下がります。
注意点
ただし、固定金利選択型や変動金利型は金利が上昇し、将来は返済額が増える可能性があります。
まずは、当面の返済額を下げて家計支出を見直し、少しでも貯蓄を増やす努力をしましょう。
借り換えの最適なタイミングなど詳しい内容は下記のページで紹介しています。
住宅ローンの借り換えとは
借入期間を延ばして借り換える
借入期間を延ばして借り換えができれば、返済中のローンと金利が変わらなくても毎月の返済額を減らすことが可能です。一例を見てみましょう。
返済期間を5年間延ばした借り換え例
全期間固定金利(2.42%)、借入残高2,500万円、元利均等返済、ボーナス払いなし
借り換えで5年延長した場合の返済額の変化
種別 | 現在の住宅ローン | 借り換え後の住宅ローン |
---|---|---|
金利 | 2.42% | 2.42% |
返済期間 | 20年 | 25年 |
毎月返済額 | 131,504円 | 111,150円 |
残り期間の総返済額 | 31,560,851円 | 33,344,887円 |
上記の表は借入期間を5年伸ばして借り換えた例です。
返済期間を延ばすことで、借り換え後の金利が同じであっても、毎月返済額は約2万円減ります。
(現在の毎月返済額:131,504円-借り換え後の毎月返済額:111,150円=20,354円)
当面の返済はしのぎやすくなりますが、総返済額では約178万円増えてしまいます。
(現在の総返済額:31,560,851円-借り換え後の総返済額:33,344,887円=-1,784,036円)
返済が苦しい時期を乗り越えたら支出を見直して貯蓄を増やし、繰上返済で借入期間を短縮したり、総返済額を下げることも考えておきましょう。
注意点
ただし、借入期間を延ばして借り換えできるのは、フラット35や一部の民間住宅ローンです。ほとんどの金融機関では、基本的に現在の残り借入期間までの借り換えになります。
完済時年齢も一般的には80歳までなので、高齢になってからの借り換えでは、借入期間を大幅に伸ばすことは難しいといえるでしょう。
返済条件の変更を検討してみよう
突然のリストラなどで収入が減り、すでに返済が苦しい場合は「返済条件の変更」を金融機関に相談してみましょう。
借入期間や返済方法を変更することで、返済額を減らせる可能性があります。返済条件の変更には、次のような方法があります。
- 返済期間を延ばす
- 一定期間、元本の返済を据え置き、利息だけ支払う
- 一定期間、返済額を減額する
これらの方法は、一時的に返済額担を減らす効果はあるものの、総返済額が増えたり、返済期間が老後にまでおよぶ可能性があります。
早めに収入をふやしたり、支出の見直しをして元の返済方法に戻すように務めましょう。
また、返済条件変更への対応は金融機関によって違います。現在の状況を率直に伝え、どのような返済条件の変更ができるのかを相談しましょう。
返済条件変更の手数料や審査の詳細は下記ページで説明しています。
途中で返済条件を変更するには
返済不可能なら自宅の売却も視野に
借り換えや返済条件の変更をしても返済ができないなら、自宅を売却することで、生活を立て直すことも考えてみましょう。
売却額が住宅ローンの借入残高より多ければ、売却資金でローンを完済できます。余った資金は、生活再建のためや賃貸住宅を借りる際の費用に充てることもできます。
任意売却
一方、売却しても住宅ローンを返済しきれない場合は「任意売却」という方法があります。
通常は、住宅に「抵当権」が設定されているため、自宅を自由に売却することはできません。しかし、任意売却では、金融機関と協議のうえ、ローンの借入れがある状態のまま、抵当権を外してもらい売却手続きをします。
競売
また、「競売」という措置が取られることもあります。ローンを滞納して督促状がきても返済できずにいると、金融機関が裁判所に申立てを行い、裁判所が強制的に売却します。
売却額は相場よりも低くなりがちで、任意売却よりもローンが多く残る可能性があります。
競売の流れや任意売却するメリットなどについて下記のページで詳細を説明しています。
住宅ローン返済が手詰まりになったら~競売と任意売却~
まとめ
<住宅ローンの返済が苦しくなった場合の検討ステップ>

住宅ローンの返済が苦しくなったら、そのまま放置することは避けましょう。なるべく早く行動することで、より多くの選択肢から対応策を選べる可能性が高まります。
家計への影響が出始める前に、金融機関や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。