全期間固定金利型の住宅ローンを借りている人は、金利や返済額が変わらないため、住宅ローンの見直しを考えることは少ないかもしれません。

しかし、世の中の金利は変化しています。同じ全期間固定金利型でも、金利が下がっていれば借り換え効果があります。全期間固定金利型で借りている人の借り換えについて考えてみましょう。
 

まずは住宅ローンの現状確認を

まずは、現在借り入れしている住宅ローンについて確認しましょう。具体的に確認するのは、「金利」「借入残高」「残り借入期間」「毎月返済額」などです。

借入内容は、返済予定表などに記載されています。資料が手元にない場合には、金融機関に確認しましょう。
 

<借入れ中の住宅ローンの確認事項>
確認事項
借入残高 2,500万円
残り借入期間 25年
借入金利 2.42%
毎月返済額 111,150円

 

全期間固定金利型への借り換え

まず、同じ全期間固定金利型へ借り換え例を見てみましょう。同じ金利タイプへの借り換えでは、今の金利よりも借り換え後の金利が低ければ確実に返済額が下がります。

ただし、借り換えには諸費用がかかります。借り換え後の総返済額と借り換えの諸費用を含めた総額が、現在の住宅ローンの総返済額に比べて少なければ借り換え効果があるといえます。諸費用は金融機関のサイト内のシミュレーターでも試算できますので、見積もってみましょう。
 

フラット35への借り換え

なお、民間住宅ローンとフラット35を比較するにあたっては、団体信用生命保険の保険料に注意が必要です。民間住宅ローンでは、団体信用生命保険の保険料は金利に含まれています。

しかし、フラット35は毎年、別途保険料を支払う必要があります。フラット35へ借り換えを検討する、フラット35から民間住宅ローンへの借り換えを検討する場合には、団体信用生命保険の保険料も含めた総額で効果を検討しましょう。
 

全期間固定金利型から全期間固定金利型への借り換え例

借入残高2,500万円、残り借入期間25年、元利均等返済、ボーナス払いなし
 

金利 毎月の返済額 残り25年間の総返済額 備考
①現在の住宅ローン 2.42% 111,150円 33,344,886円
②借り換え後の住宅ローン 1.54% 100,455円 30,136,384円 借り換え諸費用が必要
差額①-② 10,695円 3,208,502円

上記は、借り換え後の金利が約0.9%下がった例です。これにより毎月の返済額で約1万円、総返済額で約320万円減りました。同じ全期間固定金利型への借り換えであれば、金利も返済額も確定しているので確実な借り換え効果が得られます。ただし、諸費用も含めた総額で借り換え効果を見る必要があります。
 

変動金利型、固定期間選択型への借り換え

毎月の返済額を減らしたい場合、全期間固定金利型への借り換えでは借り換え前後の金利差がなく返済額があまり変わらないなら、変動金利型や固定金利選択型への借り換えを検討しましょう。

異なる金利タイプのへの借り換えでは、借り換え後の金利タイプの特徴や、今後金利が上昇した時に返済額がどのくらい増えるのかを確認することが大事です。
 

変動金利型への借り換え

住宅ローンの金利タイプの中では、一般的に変動金利型の金利が最も低くなります。全期間固定金利型から借り換えれば、ほとんどの場合金利が下がりますので、当初の毎月返済額も下がるでしょう。

ただし、変動金利型の住宅ローンは半年毎に金利の見直しがあります。金利が変動すれば、返済額にも影響があります。
 

<全期間固定金利型から変動金利型への借り換え例>

借入残高2,500万円、残り借入期間25年、元利均等返済、ボーナス払いなし

①現在の住宅ローン:全期間固定金利型 金利2.42%

金利 毎月の返済額 今後の総返済額
2.42% 111,150円 33,344,887円

②借り換え後の住宅ローン:変動金利型、0.775%
5年毎に1%ずつ金利が上昇した場合
 

金利 毎月の返済額 借り換え後の総返済額
1~5年目 0.78% 91,694円 31,886,913円
6~10年目 1.78% 100,940円
11~15年目 2.78% 108,370円
16~20年目 3.78% 113,650円
21~25年目 4.78% 116,462円

このケースでは、当初の毎月返済額は約2万円下がりますが、16年目からは現在の毎月の返済額を上回ってしまいます。

このように、変動金利型への借り換えは、将来の返済額がかえって増えてしまう可能性がある点には注意しましょう。

ただし、この例では16年目以降の金利が上がったとしても総返済額では約150万円少なくなりました。金利がいつ変動するかにもよりますが、低い金利のうちに残高が減っていれば、金利が上がった時の影響も小さくなります。
 

固定金利選択型への借り換え

固定金利選択型の住宅ローンは、固定期間が終了した時点で、変動金利型に移行するか、あらためて固定期間を選び固定金利選択型にするかを選ぶことができます。

ただし、金利はその時点での金利に見直されるため、毎月の返済額や総返済額が増える可能性もあります。

<全期間固定金利型から10年固定金利選択型への借り換え例>

借入残高2,200万円、残り借入期間20年、元利均等返済、ボーナス払いなし
現在のローン:全期間固定、2.42%
借り換え先のローン:、10年固定、1.0%(11年目以降も10年固定で金利が2%上昇した場合)

期間 金利 毎月の返済額 総返済額
①現在の住宅ローン 全期間 2.42% 115,723円 27,773,547円
②借り換え後の住宅ローン 1~10年 1.00% 101,177円 25,523,733円
11~20年 3.00% 111,521円
①-②(差額) 2,249,814円

上記の借り換え例では、当初の毎月返済額は約15,000円少なくなりました。11年目以降に金利が上がったとしても総返済額で約225万円の軽減効果があります。

変動金利型や固定金利選択型への借り換えは、借り換え当初の返済額だけではなく、金利上昇による返済額増加の可能性を踏まえておきましょう。返済額が増えた場合でも返済可能かどうか、ローン以外の家計支出を考えながら決める必要があります。