共働き夫婦で子どもがいない家庭では、世帯収入が高く、資金的な余裕があるのが特徴です。「賃貸で高い賃料を払うよりも購入してしまおうか?」と考える人も多いようです。
そんなディンクス家庭が、住宅購入時に気を付けたいポイントをお伝えします。
今後の二人の働き方やライフプランに気を付けよう
夫婦共働きで子どもがいない、いわゆる“ディンクス”家庭では、正社員でフルタイム勤務のケースが多く、一般的に世帯の合計収入が高い傾向にあります。
それに加えて、子どもの教育費負担がないため、毎月の必要生活費は低めで家計に余裕がある場合が多いでしょう。
そのため、住宅の購入予算や住宅ローンの借入金額が高くなる傾向にあります。
そのため、ディンクス家庭が住宅ローンの借入れを考える場合、今後も現状と同じだけの収入を見込むことができるのか、将来の支出が変化することはないかという視点から検討することが重要になります。
収入に関しては、「今は共働きでも、将来は妻(もしくは夫)が仕事を辞める」「今より給料の低い職場に転職する可能性がある」「独立して自営や会社経営をしたい」など、収入の減少や不安定要素ないかどうかを考えましょう。
支出に関しては「現在はディンクスだが、いずれは子どもが欲しい」「趣味のヨットを購入・保有したい」など、将来的に住宅ローン返済以外で大きな支出がないかどうかを考えてみましょう。
<将来の収支の変化を考えよう>

妻が将来仕事をやめる場合の住宅ローンの組み方
妻(もしくは夫)の働き方の変化により、将来の収入が減るかもしれない場合、将来の返済額を少なくする方法があります。
例えば、3,500万円の借入れなら、3,000万円は夫名義で35年返済、500万円は妻名義で10年返済というように、2つの住宅ローンを組み合わせます。
この場合、住宅ローンの毎月返済額は次のようになります。当初10年間の毎月返済額は140,160円ですが、11年後以降は94,822円となります。
<複数の住宅ローンを組み合わせた返済例>
返済期間 | ||
---|---|---|
1~10年 | 11~35年 | |
借入額3,000万円 借入期間35年 | 94,822円 | 94,822円 |
借入額 500万円 借入期間10年 | 45,338円 | – |
合計毎月返済額 | 140,160円 | 94,822円 |
このように返済期間の異なる住宅ローンを組むことで、配偶者の収入が見込める間の返済額を多くする一方で、世帯収入が減るかもしれない将来の返済額を軽減することができます。
繰上げ返済も片働き対策に
繰上返済することにより、働き手が一人になった場合の返済額を軽減することができます。
例えば、下表の住宅ローンの毎月の返済額は110,626円です。返済開始から10年後に500万円を「返済額軽減型」で繰り上げ返済すると、毎月の返済額は90,156円となり、毎月の返済額が約2万円軽減されます。
<返済額軽減型で繰上返済した場合の毎月の返済額軽減例>
返済月額 | |
---|---|
①繰上げ返済前の月々の返済額 | 110,626円 |
②繰上げ返済後の月々の返済額 | 90,156円 |
差額②-① | 20,470円 |
また、下図のようにボーナス併用払いを利用して住宅ローンを借りた場合、ボーナス返済分から優先して返済額軽減型で繰上返済を行う方法もあります。ボーナス部分を完済することで、以降の年間返済額を少なくすることができます。
<ボーナス返済を優先した繰上返済による返済額軽減例>

ボーナス併用払いについて詳しくは次のページで説明しています。
ボーナス併用払いとは
ディンクス家庭が住宅資金計画を立てる時は、「今の収入から考えると返済できるから」という視点ではなく、今後の夫婦の働き方や家族構成の変化による収入と支出を想定し、家計に変化があっても返済可能な住宅ローンの借入金額や借り方、繰上返済を含む返済プランを考えましょう。