マイホーム購入に必要な諸費用の中で、住宅ローンに関する費用は比較的大きな割合を占めます。ローンを検討し始めてから諸費用がかかることを知る人も多いでしょう。

諸費用がどのくらいかかるかは、いくらを物件の頭金にするかにも影響します。住宅ローンに必要な諸費用の内容や金額の目安を早めに確認しておきましょう。

住宅ローンに必要な諸費用とは?

金融機関から住宅ローンを借りる際にはいくつかの費用がかかります。金融機関へ支払う手数料や抵当権を設定するための費用などです。

これら諸費用は原則として現金で支払うものなので、購入物件の頭金とともに準備するようにしましょう。

住宅ローン手続きに必要となる主な諸費用は、下表の通りです。

借入額の多少に関わらず定額でかかる費用や借入金額に一定の乗率を掛けて金額が決まる費用などがあります。また、金融機関によっては不要となる費用もあります。

これらの費用は、どこで借りても同じというわけではありません。中でも融資事務手数料や保証料は、金融機関によって大きな差の出る費用です。

<住宅ローン手続きに必要となる費用>
内  容 必要な時期 補 足
審査・契約にかかる
費用
収入印紙代
適合証明書交付手数料
住宅ローン契約締結時 フラット35で借りる場合、基本的に適合証明書が必要
金融機関や保証会社に
支払う費用
融資事務手数料
保証料・保証会社事務手数料
融資実行時 フラット35は保証料不要
保険関係費用 団体信用生命保険特約料
火災保険料(地震保険料)
融資実行時、または返済開始後 フラット35で借りる場合、基本的に適合証明書が必要団体信用生命保険は任意加入
登記関係費用 抵当権設定費用、司法書士報酬 登記申請時 通常は金融機関指定の行政書士に依頼

 
頭金について詳しい解説は次のページにあります。
頭金はいくら用意したらよいか
 

費用の内容と金額の目安

それでは、具体的に住宅ローン諸費用の内容と必要な金額の目安を見ていきましょう。

審査・契約にかかる費用

金融機関との間で住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約書)を結ぶ際に必要な収入印紙代です。

例えば、借入額が1,000万円超5,000万円以下の場合は2万円です。また、フラット35の場合には、申し込みにあたり、適合証明書が必要です。

物件の規模などによって証明書の発行手数料は異なり、約2?8万円程度かかります。

金融機関や保証会社に支払う費用

保証料

保証会社の保証を受けるための費用です。保証料は、借入者の信用度や借入額、借入期間などで変わります。支払い方法には、一括前払いと、金利に0.2%程度上乗せする方法があります。

例えば、3,000万円を元利均等返済、返済年数30年で借り入れた場合、保証料は前払い方式では約57万円で、諸費用の中で多くを占めるものになっています。

なお、フラット35をはじめ、保証料不要の住宅ローンもあります。

手数料

保証会社の保証を利用する場合には、保証会社に取り扱い手数料を支払います。通常、3万円(+消費税)です。

保証不要の住宅ローンでは、融資事務手数料がかかることが多くあります。

例えば「auじぶん銀行」「SBI新生銀行」「ソニー銀行」「イオン銀行」「住信SBIネット銀行」などのネット銀行は保証料が発生しません(※)
※審査の結果、保証会社の利用となる場合がありますが、保証料相当額は金利に含まれており、別途保証料は発生しません

そのかわり、融資事務手数料がそれなりの金額になるか可能性があるので事前にシミュレーションし支払総額がいくらになるかを把握する必要があります。

銀行名 融資事務手数料
ソニー銀行 【1】住宅ローン:43,200円(ただし金利0.3%上乗せ)
【2】変動セレクト住宅ローン:借入れ額×2.16%
SBI新生銀行 54,000円/108,000円
イオン銀行 【1】定額型:108,000円(ただし金利0.2%上乗せ)
【2】定率型:借入れ額×2.16%(ただし最低216,000円)
auじぶん銀行 借入れ額×2.20%(税込)
住信SBIネット銀行 借入れ額×2.16%

ちなみに、融資事務手数料には「定額型」と「定率型」があります。定額型は4万円、5万円、10万円など商品によって定められており、借入額による違いはありません。

「定額タイプ」は借入額にかかわらず決まった金額です(SBI新生銀行なら54,000円)。一方「定率タイプ」は借入額に一定の率(パーセント)で手数料の総額が決まります。ですから、借入金が高額になるケースでは定額タイプを選択したほうがお得です。
 
では、3,000万円を30年ローンで借りた場合の融資事務手数料を試算し、5つのネット銀行間で比較してみましょう。

融資事務手数料の比較(3,000万円30年間で借りた場合)
銀行名 融資事務手数料
ソニー銀行 43,200円(定額型、ただし金利0.3%上乗せ)
648,000 円(定率型)
SBI新生銀行 108,000円
イオン銀行 108,000円(定額型、ただし金利0.2%上乗せ)
648,000円(定率型)
auじぶん銀行 660,000円
住信SBIネット銀行 648,000円

 

3,000万円をネット銀行で借入した場合、保証料は無料ですが、最大で648,000円の融資事務手数料がかかることがわかりました。このように具体的に試算し、保証料がかかる銀行の住宅ローンと比較するとよいでしょう。

ただ、手数料が安くても、それ以外の費用が高く設定されている場合もあります。諸費用全体を見ることを忘れないようにしましょう。

保険関係費用

団体信用生命保険特約料

団体信用生命保険とは、借入者が死亡時などに住宅ローンの残高が全額清算される保険です。通常、保険料は金利に含まれているので支払いの必要はありません。

ただし、死亡以外にがんや、3大疾病・7大疾病など保障範囲を拡大した団体信用生命保険では、金利に0.3%程度上乗せされる場合が多くなっています。

なお、フラット35で団体信用生命保険に加入する際は、毎月のローン返済とは別に、毎年特約保険料を支払います。

ネット銀行の住宅ローンでは団信特約が充実した商品もあります。無料で付帯するものから、ローンの金利を上乗せすることで追加できる特約もあります。
 

ネット銀行の団信を比較
銀行名 保険料
auじぶん銀行 がん50%保障団信 ⇒ 無料
がん100%保障団信 ⇒ 年0.05%金利上乗せ
がん100%保障団信プレミアム ⇒ 年0.15%金利上乗せ (※)
ソニー銀行 がん50%保障 ⇒ 無料
がん100%保障 ⇒ 年0.1%金利上乗せ
3大疾病保障特約 ⇒ 年0.2%金利上乗せ
生活習慣病団信 ⇒ 年0.2%金利上乗せ
イオン銀行 ガン保障特約 ⇒ 年0.1%金利上乗せ
8疾病保障 ⇒ 年0.3%金利上乗せ
住信SBIネット銀行 全疾病保障 ⇒ 無料
がん診断給付金(女性限定) ⇒ 無料

※新団信は2023年7月1日以降お借入れの方に適用

住宅ローンに必要な保険①「団体信用生命保険」

火災保険料や地震保険料

火災・落雷や、台風などの自然災害による建物の被害に備える保険です。

地震による被害に備えるには地震保険への加入が必要です。物件所在地や建物の構造、補償範囲、保険期間などで保険料は異なります。

住宅ローンに必要な保険②「火災保険・地震保険」

登記関係費用

住宅ローンを借入れするためには、担保物件への抵当権の設定登記が求められます。借入額に応じた登録免許税や登記を依頼した司法書士への報酬などがかかります。

<諸費用の試算例>

新築マンションを購入。
借入額3,000万円(民間住宅ローン:元利均等返済、返済年数30年)

審査・契約にかかる費用 収入印紙代 20,000 円
金融機関や保証会社に
支払う費用
手数料 32,400円
保証料 574,110円
保険関係費用 団体信用生命保険料 0円
火災保険料・地震保険料
例)10年一括払い、建物1080万円・家財900万円の場合
(地震保険料は保険期間1年)
67,070円
登記関係費用 登録免許税、司法書士報酬 95,140円