マイホームの中でも、注文住宅は土地の取得、建物建築時など、いくつかの段階で支払いが必要になります。
住宅ローンは、建物が完成していないと融資されません。そのため、完成までに一時的に必要な支払いに利用するのが「つなぎ融資」です。
注文住宅に大切な、つなぎ融資の内容や利用時の注意点を見ていきましょう。
一時的に借り入れるローンが「つなぎ融資」
住宅ローンは、原則として完成した建物に対して融資されます。
注文住宅は、建築の際の着工金・中間金など、建物の完成前に多額の支払いが必要な場合があります。これらの支払いを自己資金で賄うことができない時は、一時的にローンを借りて支払います。
これを「つなぎ融資」と言います。つなぎ融資で借り入れた分は、建物引渡し時に融資される住宅ローンで清算し、以降は住宅ローンとして返済していく仕組みです。
注文建築の契約と支払いの流れ

つなぎ融資が使える範囲と費用は
次に、つなぎ融資の用途や、利用時に必要な費用を見ていきましょう。
つなぎ融資の用途や限度額は?
つなぎ融資は、資金の用途が決まっています。利用できるのは、次のような支払い時です。
・着工金
・中間金
(住宅メーカーなどによって、上棟金、竣工金など名称が異なります)
上記の支払いのタイミングに応じて、つなぎ融資を利用することができます。
融資の回数は金融機関によって異なりますが、最大3回ないし4回まで可能です。また、住宅メーカーと打ち合わせた日程で融資可能かどうかも事前に確認しておきましょう。
融資金額は、土地購入代金で100%以内、着工金・中間金は合計で、建築請負契約金額の60~80%以内など、金融機関によって上限額が設定されています。
つなぎ融資にも利息や手数料が必要
つなぎ融資も、住宅ローンと同じように借入額や借入期間によって、利息や手数料が必要になります。
金利は、住宅ローンに比べると高めに設定されていて、一般的には3%程度です。その他、事務手数料や印紙代なども必要です。
住宅ローンにかかる費用は?
<つなぎ融資にかかる費用例>
融資事務手数料 | 10万円前後 | |
---|---|---|
借入利息 | 3%前後 | |
収入印紙代 | 借入金額により下記の通り | |
借入金額 | 印紙代 | |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 | |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 | |
5,000万円超~8,000万円以下 | 60,000円 |
つなぎ融資を使う時の注意点
つなぎ融資を使うにあたり、手続き上や費用面などで気を付けておきたいことがあります。つなぎ融資の注意点を見ていきましょう。
つなぎ融資を取り扱わない金融機関もある
つなぎ融資は、どの金融機関でも取り扱っているわけではありません。また、原則としてつなぎ融資と住宅ローンは同じ金融機関で借り入れする必要があります。
つまり、自己資金が足りずにつなぎ融資を利用するなら、「つなぎ融資を取り扱っている金融機関」の住宅ローンを借り入れすることになります。金利が低くて魅力的でも、つなぎ融資を取り扱ってなければ、その金融機関はあきらめざるを得ません。
希望する金融機関がつなぎ融資を取り扱っているかどうか、事前に確認しておくことも大切です
建物完成までの資金計画をしっかりと立てる
引き渡しまでに必要な支払いは、「いつ・いくら」支払うか建築請負契約書等にも記載するものなので、不動産会社や工務店とよく相談して決めましょう。
支払いのスケジュールが決まったら、それぞれの支払いについて、自己資金で支払うか、つなぎ融資をしてもらうかの資金計画を立てます。つなぎ融資が必要な部分については金融機関とも打ち合わせをしましょう。
つなぎ融資にも利息は発生する
つなぎ融資に必要な利息は、通常つなぎ融資実行時に差し引かれます。
例えば、500万円の融資で利息が20万円なら、実際に振り込まれる金額は480万円です。利息分が差し引かれることを前提に自己資金を準備しておきましょう。
また、建物竣工が遅れるなどで、住宅ローンの融資実行時期が予定より延びた場合には、延びた期間の利息を別途支払うことになります。
つなぎ融資を使うと、住宅ローンだけの場合に比べ、必要な費用や手続きは多くなります。
予定通りに建築を進めるためにも、つなぎ融資にかかる費用、融資時期、手続き方法などの資金計画を、工務店・ハウスメーカーや金融機関としっかりと相談して、準備をしましょう。