金利タイプの中では、金利が低いため選ばれることの多い変動金利型住宅ローン。借入れ当初の毎月返済額は抑えられるものの、金利の見直しで返済額が変わる可能性もあります。

変動金利型はどんな人に向いているのかを見ていきましょう。

変動金利型の仕組みとメリット・デメリット

世の中の金利情勢によって金利が変動し、返済額が変わるのが変動金利型の住宅ローンです。金利は年に2回見直されます。

ただし、金利見直しで金利が上がっても、返済額は5年毎の見直しです。当初から5年間は返済額は変わらず、その間に金利が変わっても返済額に反映されるのは6年目からです。

また、見直し後の返済額の上限は、それまでの返済額の1.25倍までという制限があります。今の毎月返済額が10万円なら、次の5年間の返済額は多くても12万5千円です。

多くの金融機関では、金利が上昇した場合に、家計への影響を少なくするこのような仕組みを設けています。

変動金利型の最大のメリットは、借入当初の返済額を抑えられることです。また、将来的に金利が下降局面になれば、返済額が少なくなる可能性もあります。

一方、デメリットは、金利が変動すれば返済額も変動するため、将来的な支出予測が立てづらくなることです。

また、返済額に上限があるため、金利が大きく上昇した場合には、支払利息が返済額を上回る「未払利息」が発生します。未払利息は最終返済時に一括で支払うことになります。

○ メリット × デメリット
・他の金利タイプよりも金利が低く、借入当初の返済額を抑えられる ・金利上昇で返済額が上昇する可能性がある
・金利が下がれば、返済額が下がることも ・返済額が固定ではないため、将来的な家計支出の予測が立てにくい

金利の変動で返済額はどう変わる?

変動金利型には金利の変動リスクがあるため、金利が上昇したらどれくらい返済額が上がるのか、またその場合でも無理なく返済することが可能か、あらかじめシミュレーションを行い知っておくことが大切です。

ここでは、金利が借入れ時から変わらないケースと、5年ごとに0.5%ずつ上昇したケースを見てみます。毎月返済額や総返済額、利息負担にどれくらい差が出るでしょうか。

<前提条件>
借入額:3,000万円/金利:0.78%(適用金利)/借入期間:35年
元利均等返済/ボーナス払いなし

金利上昇なし 金利上昇あり
(適用金利)
毎月返済額 81,644 円 当初5年間 (0.78%) 81,644円
6年目~10年目 (1.28%) 87,677円
11年目~15年目 (1.78%) 92,975円
16年目~20年目 (2.28%) 97,425円
21年目以降 (2.78%) 100,923円
総返済額 約 3,429 万円 約 3,975 万円
(利息割合: 12.6% ) (利息割合: 24.6% )

上記のシミュレーションでは、金利が5年ごとに0.5%上昇した場合、毎月返済額は最終的に当初より約2万円増える結果になります。

総返済額も、金利が上昇しなかった場合より約546万円増え、利息割合は12.6%から24.6%まで上がります。

こんな人は変動金利型が向いている!?

金利次第では、万単位で返済額が増える可能性もある変動金利型の住宅ローン。どのような人に向いているのでしょうか。

返済額アップに加えて、子どもの大学進学などで他の支出が増えた場合でも、余裕をもって返済できる人は、金利上昇時にも対応力のある人です。

つまり、変動金利型に向いているのは、「毎月の収支は黒字で十分な貯蓄があるなど、家計にゆとりのある人」といえるでしょう。具体的には次のような人たちです。

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世帯収入が高く、安定している

夫婦ともに正社員で定年まで働くことがほぼ確実で、将来的にも高収入と安定貯蓄が見込める世帯は、概ね家計収支に余裕もあるため、返済額が上がっても対応できるでしょう。

子どもの教育費の負担が終わっている

子どもの教育が終わり、社会人として独立していれば、家計支出は子育て期より減っているはずです。これまでと同様に収入が得られれば、貯蓄も増え、返済額上昇時でも繰上返済などで対応しやすくなります。

借入額が少ない、あるいは借入期間が短めである

住宅ローン借入額自体が少なければ、仮に金利が上昇したときでも返済額はあまり増えずにすみます。

また、借入期間が短ければ、元金の減りが早いため、同額を35年など長期で借りた場合に比べると、金利が上昇しても受ける影響は小さいといえます。

金利の動向を確認、判断し行動できる行動できる

経済や金融に興味を持ち、金利の動向を自らチェックすることが苦にならない人は変動金利型に向いています。

なぜなら、金利の変化に応じて、繰上返済をする、借り換えを検討するなど早めに行動がとれるからです。

低水準の住宅ローン金利が続いています。貯蓄に加えて家計にゆとりがある人、金利の変動リスクをとれる人は、変動金利型に目を向けてもよいのではないでしょうか。

 

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