住宅ローンの返済方法では「元利均等返済」が一般的ですが、「元金均等返済」を選べる場合もあります。
同じ金利・借入額・借入期間でも、どちらの返済方法を選ぶかで毎月の返済額や総返済額が変わります。それぞれの仕組みや選ぶ際のポイントを見てみましょう。
元利均等返済・元金均等返済の仕組み
住宅ローンの毎回の返済額は、「元金」と「利息」で構成されています。この2つをどのような割合で返済していくのかが、「元利均等返済」と「元金均等返済」の違いです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
元利均等返済
元金と利息の合計額である毎回の返済額が一定で変わりません。
ただ、返済額に占める元金と利息の割合が変化します。金利が変わらなければ、最後まで毎月返済額は同額になります。返済当初は利息の割合が高く、元金の割合は低いため、元金の減り方が遅くなります。

住宅金融支援機構HP http://www.flat35.com/loan/atoz/1_4.htmlより
元金均等返済
返済する元金の額は一定で、そこに利息を加えたものが毎回の返済額です。
ローン残高が減れば利息が減るため、毎月の返済額は次第に少なくなります。元利均等返済に比べて当初の毎月返済額は多くなりますが、元金の減り方は早くなります。
また、同じ金利・借入額・借入期間では、元利均等返済より総返済額は少なくなります。

住宅金融支援機構HP http://www.flat35.com/loan/atoz/1_4.htmlより
<元利均等返済と元金均等返済の毎月返済額の比較>
借入額3,000万円・金利1.6%(全期間固定金利型)・借入期間35年
ボーナス払いなし
総返済額39,199,268円38,419,858円779,410 円
返済回数 | 毎月返済額 | 差額 | |
---|---|---|---|
元利均等返済① | 元金均等返済② | ①-② | |
1回目 | 93,331 円 | 111,428 円 | △18,097 円 |
60回目 | 93,331 円 | 105,808 円 | △12,477 円 |
120回目 | 93,331 円 | 100,094 円 | △6,763 円 |
192回目 | 93,331 円 | 93,237 円 | 94 円 |
240回目 | 93,331 円 | 88,666 円 | 4,665 円 |
360回目 | 93,331 円 | 77,237 円 | 16,094 円 |
最終返済回(420回目) | 93,331 円 | 71,763 円 | 21,568 円 |
上記の例では、借入当初の返済額は元利均等返済のほうが、元金均等返済より約18,100円少なくなります。
しかし、徐々に元金均等返済の毎月返済額は下がり、192回目(16年後)に双方の毎月返済額はほぼ同じになります。その後も元金均等返済の返済額が下がり、最終返済回では約21,600円、元金均等返済のほうが少なくなります。
また、総返済額も、元金均等返済のほうが元利均等返済よりも約78万円少なくなりました。
総返済額を抑えるなら、元金均等返済にしたほうがよいのですが、借入当初の毎月返済額でも家計の負担にならないか慎重に決める必要があります。
元金均等返済を選んだばかりに、借入後の家計にゆとりがなくなる可能性もあります。総返済額を抑えるには、元利均等返済で当初の返済額を抑えながら貯蓄をし、繰上返済を行う方法もあります。
元利均等返済と元金均等返済、どちらを選んだらいいのか?
自分に合った住宅ローンの返済方法は、元利均等返済と元金均等返済のどちらなのでしょう。
また、返済方法を決める際にどのようなことに気をつけるべきか? それぞれの返済方法で見てみましょう。
元利均等返済に向いている人は?
毎回の返済額が一定なので、家計管理がしやすくなります。家計支出の見通しがまだ確定していない人に向いています。例えば、
・これから結婚や出産を控えている
・子どもが小さく教育方針や進路が決まっていない
などの場合には、返済額が変わらない元利均等返済がよいでしょう。
返済額が変わらない特徴を生かし、計画的な貯蓄に努めて将来の繰上返済に備えることも忘れないようにしましょう。
元金均等返済に向いている人は?
借入当初の毎月返済額は多いものの総返済額を抑えられるため、将来に残せるお金は元利均等返済よりも多めになります。
安定した高収入が見込める人や家計支出のピークが終わった人に向いています。例えば、
・当面は共働きが可能で多くの収入が見込める
・子どもが社会人になり教育費の負担が終わった
などでは、元金均等返済を選べば総返済額で有利になります。

出典:イラストACより
元利均等返済と元金均等返済の違いは、「無理なく一定額で返済するのか」「返済開始当初に多く返済し将来は返済額を少なくする」であるとも言えます。
今後の世帯の働き方や、将来必要になる支出の見通しなどを考えて、返済方法を選ぶようにしましょう。