変動金利型の住宅ローンは半年に一度金利が見直されますが、ここ数年店頭金利は変わらず、毎月の返済額も変わっていません。
しかし、最近では金利の引下げ幅が大きくなっており、借り換えることで適用金利が下がることもあります。変動金利型を借りている人の借り換えについて見ていきましょう。
まずは現状の確認をしよう
始めに、現在の住宅ローンの借入条件について確認しましょう。特に変動金利で借りている場合、借入れ当初と今の金利が変わっていないかどうかはもちろん、金利の引下げ幅についても確認してください。
借入れ中の住宅ローンの確認事項
確認事項 | 例 |
---|---|
借入残高 | 2,500万円 |
残り借入期間 | 25年 |
適用金利 | 1.475% |
金利引下げ幅 | 1.0%(全期間) |
毎月の返済額 | 99,691円 |
金利引き下げ幅
適用金利とは、店頭金利から一定の幅で引き下げられた金利のことで、毎月の返済額は適用金利を元に計算されています。
ほとんどの変動金利型は、借入期間中は同じ引下げ幅が適用されます。しかし中には当初の引下げ期間は10年間のみで、11年目以降は引下げ幅が小さくなる場合があります。
引下げ幅や適用期間は、住宅ローンの契約書などに記載されているので確認してみましょう。
チェックポイント
- 金利の引き下げ幅
- 引き下げ適用期間
↑住宅ローンの契約書で確認
変動金利型への借り換え
変動金利型の住宅ローンは、以前よりも金利の引下げ幅が大きくなり、適用金利は下がる傾向にあります。
下表は、今と同じく変動金利型の住宅ローンへの借り換え例です。借入時は引下げ幅が1.0%で適用金利は1.475%でしたが、借り換えにより引下げ幅が1.7%と拡大し、適用金利が0.775%に下がった場合で比較しています。
<変動金利型から変動金利型への借り換え例>
借入残高2,500万円、残り借入期間25年、元利均等返済、ボーナス払いなし
現在のローン:1.475%(引き下げ幅−1.0%)
借り換え後のローン:0.775%(引き下げ幅−1.7%)
適用金利 | 毎月の 返済額 |
残り25年間の 総返済額 |
備考 | |
---|---|---|---|---|
①現在の住宅ローン | 1.475% | 99,691円 | 29,907,208円 | |
②借り換え後の住宅ローン | 0.78% | 91,694円 | 27,508,079円 | 借り換え諸費用が必要 |
差額①-② | 7,997円 | 2,339,129円 | - |
上記の借り換え例では、毎月の返済額で約8,000円、総返済額では約234万円少なくなりました。金利の引下げ幅が大きくなり、適用金利が下がったことで毎月の返済額も総返済額も少なくなります。
上記例は金利変動がない場合ですが、金利が変動しても、引き下げ幅が大きいものの方が返済額が少なくなることは変わりません。
注意点
ただし、借り換えには諸費用が必要です。諸費用を支払っても借り換え効果があるかどうかを確認することが大事です。
全期間固定金利型への借り換え
変動金利型は、将来金利が上昇すると、毎月の返済額や総返済額が増える可能性があります。金利上昇で返済額が増えることが心配なら、金利や返済額が確定する全期間固定型の住宅ローンに借り換えることを検討しましょう。
ここでは、全期間固定金利型への借り換え例を見てみましょう。
<変動金利型から全期間固定金利型への借り換え例>
借入残高2,500万円、残り借入期間25年、元利均等返済、ボーナス払いなし
現在のローン:変動金利型、1.475%
借り換え後のローン:全期間固定金利型、1.67%
適用金利 | 毎月の 返済額 |
残り25年間の 総返済額 |
備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
①現在の住宅ローン | 完済まで | 1.48% | 99,691円 | 29,907,208円 | 金利変動がない場合 |
②現在の住宅ローンで 金利が上昇した場合 |
1~5年目 | 1.48% | 99,691円 | 32,145,093円 | 5年毎に0.5%ずつ 金利が上昇した場合 |
6~10年目 | 1.98% | 104,517円 | |||
11~15年目 | 2.48% | 108,300円 | |||
16~20年目 | 2.98% | 110,933円 | |||
21年目以降 | 3.48% | 112,311円 | |||
③借り換え後の住宅ローン | 1.67% | 101,993円 | 30,597,979円 | 借り換え諸費用が必要 | |
差額 | ③-① | - | 2,302円 | 690,771円 | |
③-② | - | 当初は 2,302円 |
-1,547,114円 |
上記の例では、全期間固定金利型に借り換えると、借り換え前に比べて毎月の返済額で約2,300円増えてしまいます。また①のように金利が変わらなかった場合には、総返済額も約69万円増えてしまいます。
しかし、今後の金利動向によっては、変動金利型のままだと金利が上昇し返済額が増え、借り換えた時の全期間固定金利型の返済額を上回る可能性もあります。
②の例は、借入れ中の変動金利型の金利が5年毎に0.5%ずつ上昇した時の返済額です。総返済額は、金利上昇がなければ約2,991万円ですが、上昇すると約3,215万円となります。このケースでは、全期間固定金利型に借り換えた時の総返済額の方が155万円少なくなります。
金利の動き次第で、総返済額はどちらの方が少なくなるかはわかりませんが、全期間固定金利型に借り換えすることで、返済額はそれ以上には上がらない、という安心感は得られます。
全期間固定金利型に借り換えをするのであれば、なるべく金利が低いうちに実行しましょう。