住宅ローンの借入期間は30年や35年が当たり前だと思っていませんか? 借入期間は、金融機関ごとに定められたルールの中で自由に決めることができます。

とはいえ、借入期間の長さによって返済額が変わります。ここでは、借入期間を決めるための考え方を見ていきましょう。

年月

借入期間はなにを基準に決めたらいいの?

「借入期間」が長いか、短いかによって、毎月返済額や総返済額は変わります。借入期間の違いよって、毎月返済額がどのよう変わるか見てみます。

<借入期間によって毎月返済額はどう変わる?>
<前提条件>
借入金額3,000万円
元利均等返済
ボーナス払いなし
金利1.8%(全期間固定金利型)
借入期間 25年 30年 35年
毎月返済額 124,255円 107,909円 96,327円
25年との比較 約1.2万円少ない 約2.8万円少ない

上記の比較から、借入期間を長くするほど、毎月返済額は少なくなることが分かります。同じ3,000万円の借入れでも、借入期間35年の場合には、借入期間25年の場合と比べ、毎月返済額は約2.8万円少なくて済みます。

借入期間を決めるとき、まず「毎月いくらであれば返済できるのか」を目安に考えてみましょう。今だけでなく、将来も確実に返済できる額であることが最も重要です。

今後の支出も考慮

また、この額を決める際、管理費や教育費など今後増えるであろう支出も考慮しておきましょう。家計にゆとりを持たせておくことがポイントです。

住宅購入後に増えると予想される支出

  • 住宅購入後には、毎月の管理費や修繕積立金が必要になる(マンションなど)
  • 子どもの成長に伴い、塾代や学費の支出が増える
  • 変動金利の場合、金利が上がれば毎月返済額が増える(5年毎)

シミュレーションが便利

毎月確実に返済できる額が決まれば、それに合わせた借入期間を算出できます。金融機関のサイトにあるシミュレーションなどを利用すれば、自分でも計算することができます。

期間を少しずつ変えながら、希望する毎月返済額に近くなるような借入期間を見つけてください。パソコンが苦手な人は金融機関に算出してもらいましょう。

借入期間で総返済額はどう変わる?

借入期間と返済予定表

借入期間によって変わるのは、毎月返済額だけではありません。借入期間の違いは、総返済額にも影響し、借入期間が長くなるほど総返済額は多くなります。

<借入期間によって総返済額はどう変わる?>
<前提条件>
借入金額3,000万円
元利均等返済
ボーナス払いなし
金利1.8%(全期間固定金利型)
借入期間 25年 30年 35年
総返済額 37,276,517円 38,847,253円 40,457,296円
25年との比較 約157万円多い 約318万円多い

上記のケースでは、借入期間を25年から30年へ5年長くした場合、総返済額が約157万多くなりました。また借入期間35年の場合には、借入期間25年の場合よりも総返済額は約318万円も多くなります。

増えた分だけ、老後のためなどに残せるお金も少なくなります。長期で家計収支を考え、借入期間を決めることも大事です。

借入期間は長く?それとも短く?

「借入期間を長くすれば、毎月返済額は抑えられるが、総返済額が増える」「借入期間を短くすれば、総返済額は抑えられるが、毎月返済額は増える」。このように、借入期間を長くしても短くしても一長一短あります。

<借入期間が長い場合・短い場合の主な特徴>
借入期間が長い場合 借入期間が短い場合
毎月返済額 少なくなる 多くなる
総返済額 多くなる 少なくなる
借入れのコスト 保証料が多くなる 保証料は少なくなる
金利変動の影響 影響を受けやすい
(全期間固定金利型でないとき)
影響を受けにくい
(全期間固定金利型でないとき)
家計の変化の影響 影響を受けやすい
(先の家計まで把握しにくい)
影響を受けにくい
(近い将来なら把握しやすい)
借入期間の変更 期間を短く変更できる 原則として期間を長くすることはできない

※赤字はメリット

また、借入期間が長いほど、借入時に支払う保証料(保証料のいらないローン商品もある)は多くなります。期間が長くなるほど、金利上昇や家計状況の変化といった外部要因の影響も受けやすいといえるでしょう。

なお、注意したいのは、原則、借入期間は短くすることはできても、延ばすことはできないという点です。

将来、家計の支出が大きく増えそうな人や、金利上昇に対応できない人などは、借入期間を長めにして毎月返済額を少なくしておきましょう。余裕が出た分を貯蓄し、適切な時期に繰上返済に回すことで、期間を短くすることはできます。

このように、メリット・デメリットがあるので、これから教育費がかかるなど、支出が増えそうな人は期間を長めに、今後も共働きで、安定した収入が見込める人は期間を短めにしておくなど自分のスタイルに合わせた借入期間を考えてみましょう。

損得で考えず、生活に変化があっても返済していけることを優先することが重要です。

 

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