特徴も原因も違う?男性・女性の薄毛・抜け毛の違い

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男女

「最近薄毛が気になってきたから、パートナーの育毛剤を借りてみた」「夫婦で育毛シャンプーを共有してる」こんな書き込み、ブログやSNSでも時々見かけますね。でも実はコレ、あんまり意味がないって知ってましたか?

男性の薄毛と女性の薄毛では、その発生原因にも特徴にも大きな違いがあります

薄毛や抜け毛を進行させないためには、薄毛・抜け毛の男女での違いをきちんと知っておくことが大切です。ここではAGA(男性型脱毛症)に代表される男性特有の薄毛・抜け毛の特徴と女性に多い薄毛の特徴について、わかりやすく解説していきます。




男性の薄毛の特徴と原因

頭が気になる男性

男性の薄毛の初期症状は?

男性の薄毛の初期症状にはおおまかに下記3つの症状があります。

3つの薄毛の初期症状

  • 髪が柔らくなった
  • 短い抜け毛が増える
  • 抜け毛の量が1日300本を越える

髪が柔らかく感じる?

男性の場合、薄毛になる兆候として「髪が柔らかくなった」と感じる人が多いようです。これには、髪の生え変わりである「ヘアサイクル」の短縮化が影響をしています。

ヘアサイクルとは?
毛周期

髪の毛等の体毛は、常に生え変わり続けていますよね。この「生えて伸びる → 留まる → 抜ける → また生える」という周期のことを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びます。ヘアサイクルには以下の3つの期間があり、頭皮にある毛穴のそれぞれが、以下のいずれかの状態にあります。


成長期 毛母細胞が活発に働き、新しい髪の毛が頭皮から伸びていく時期です。
退行期 活発な髪の成長は止まり、髪を繋ぎ止める「毛球」が徐々に収縮していきます。
休止期 毛球が完全に退化し、毛穴から抜けます。次回の成長期(成長早期)に向けての準備期間です。

このうち髪が伸びる「成長期」は、女性よりも男性の方が平均的にやや短めです。成人男性の場合、通常では2年~6年程度が「成長期」、その後2週間が「退行期」となっています。

ところがAGA(男性型脱毛症)が始まると、この2年~6年あった成長期が徐々に短くなり、1年以下~数ヶ月前後にまで短縮されてしまうのです。

成長期が短くなると髪は毛母細胞から栄養をきちんと受け取ることができず、徐々に細く弱い状態になっていきます。この状態が「髪質が変わった」「髪が柔らかくなった」と感じられるわけですね。


硬くて太い髪 or 柔らかくて細い髪

なお「男性の髪は硬く太いから、細くなると柔らかく感じるのだ」と云うのは実は誤解です。男性の髪と女性の髪では、平均して女性の方が太く硬いことが多いと言われています。

髪を丈夫に伸ばすホルモンである「女性ホルモン」の数が女性の方が多いため、実は女性の方が元々「しっかり髪」であり、男性の方が元々「細めで柔らか髪」なんですね。ただし男性の方が髪の保湿ケアを丁寧に行う方が少ないため、やや乾燥しがちで手触りが硬く感じられることが多いようです。

いずれにしても、「今までよりも髪が柔らかい」と感じられたらAGAの注意信号と考えておいた方が良いでしょう。


短い抜け毛が増える

排水口

成長期の短縮が更に進んで来ると、髪の成長が途中で止まった状態で「退行期」へと進むようになります。髪が完全に伸び切らないままで毛球が退化してしまい、毛穴から抜けてしまうのです。そのため抜け毛の中に「極端に細い毛」「短い毛」が増えていくようになります。


抜け毛の量が1日300本を越える

人間の頭髪の量は、平均して10万本以上です。このうち退行期(抜ける状態にある髪)は頭髪全体に占める割合は、正常な状態でも1%程度あります。つまり10万本のうち1,000本は「近いうちに自然に抜ける予定の髪」というわけなんですね。


自然と抜ける本数は?
本数を数える

1日の中で髪が抜ける量は、個人差があるにせよ平均100本前後です。また季節の変わり目(春・秋)などには紫外線・自律神経等の影響で抜け毛の量が増え、1日150本程度抜けることもあります。

夏場等に髪を梳かして「抜け毛が増えたかも」と気にされる方もいますが、1日150本以内の抜け毛の場合には自然な生え変わりの範囲内である可能性も高いと言えるでしょう。


危険信号の本数は?

しかし、AGAによって髪の成長期が短縮されてくると「退行期」に入る髪が増え、1日に抜ける髪の量が300本を越える量になってきます。シャンプーをした時や朝起きた時の枕の抜け毛が急速に増えた場合には、ヘアサイクルの乱れが起きている可能性も高くなります。



男性の薄毛の進行過程と4つのタイプ

薄毛の進行過程

進行過程

ステップ1

AGA(男性型脱毛症)によってヘアサイクルの乱れが進行すると、髪の毛を生やすための毛乳頭(毛母細胞)の働きが停止してしまい、毛穴から毛が生えてこなくなってきます。

ステップ2

中期症状では「地肌が見えやすくなる」「髪がマバラになった印象がある」といったように徐々に髪の密度の少なさが目立つようになります。

ステップ3

後期症状では髪の生えていない状態の面積が広がっていきます。


特定箇所のみに症状が出る

AGA(男性型脱毛症)は、頭部の特定箇所で発生しやすいことが大きな特徴となっています。発生箇所・範囲は人によって異なりますが、大きく分けると以下の4つの形に分類されています。


M型(M字型)
M型

額・こめかみ部分から症状が進行する形です。アルファベットの「M」の形のようにおでこの両端部分から毛が薄くなりますが、額中央部分には毛が残りやすく、初期には「剃りこみ」を入れたような額の形になることもあります。

生え際部分であるため症状に気づきにくく、特に初期症状ではまったく無自覚である人も少なくありません。特に前髪を下ろしている人・髪が長めの人では症状に気づきにくい傾向が見られます。


C型・U型(C字型・U字型)

M字型と同様、額及び前頭部から症状が頭頂部へと進行していく形です。ただしM字型とは異なり、額のライン全体が徐々に後ろに下がっていくような進行をしていきます。日本人では比較的多い形であるとされています。


O型(O字型)

つむじ部分、もしくは頭頂部から症状が進行する形です。薄毛・抜け毛の症状が円形に広がっていくため「O型」と呼ばれています。ヨーロッパ・アメリカ等西欧系の男性に多い形であるとされていますが、日本人にも一定数の症状を持つ人が居ます。


複合型(MO型)

M字型・O字型が組み合わさった形です。初期症状ではこめかみ部分とつむじ部分での抜け毛が目立つようになり、髪の密集度が低くなっていきます。進行すると前頭部と頭頂部の薄毛となった部分が合わさり、U字型のように見えることもあります。



男性の抜け毛・薄毛の原因は?

男性の薄毛の原因は下記の3つがあります。

男性の薄毛の原因

  • 男性ホルモンの変化
  • 遺伝の影響?
  • その他の原因 ~皮膚炎~

男性ホルモンの変化

男性ホルモンの変化

AGA(男性型脱毛症)の原因について「男性ホルモンが多いから抜け毛になる」と考えている人は多いようです。ところがこの情報は必ずしも正しくありません。

体内にある男性ホルモンの数が多いからといって、薄毛が必ず進行するわけではないのです。男性型の薄毛・抜け毛には、この男性ホルモンのうちの「特定の種類」の増加が関連しています。

【男性ホルモンの種類】
アンドロゲン 男性ホルモン・雄性ホルモンとも呼ばれるホルモンです。
テストステロン アンドロゲンの一種で20代頃に最も分泌量が増え、年齢を重ねるごとに分泌量が低下していきます。
ジヒドロテストステロン テストステロンが5αリダクターゼと結びついて生まれるホルモンです。
デヒドロエピアンドロステロン 副腎や性腺等から分泌されるホルモンで「若返りホルモン」とも呼ばれています。

このうち抜け毛・薄毛に大きく関わると考えられているのが「ジヒドロテストステロン(Dihydrotestosterone・DHT)」です

テストステロンが前立腺や睾丸・卵巣・肝臓等にある酵素「5αリダクターゼ」と結びつきDHTと変化すると、このホルモンが毛母細胞への攻撃を開始します。

毛を生やすために働く毛乳頭の働くを抑制して髪の細胞の増殖をストップさせてしまうため、髪が徐々に細くなって抜けやすくなり、最終的には毛乳頭から毛が生えてこなくなってしまうのです。


遺伝の影響は?

遺伝

「親が薄毛だと子供も薄毛になる」--AGA(男性型脱毛症)については、このように「遺伝の影響が大きい」と考えている人が多いようです。確かに以下のような要素については遺伝の影響があるため、AGAと遺伝の関連性は否定できません。

【男性ホルモンの影響力の遺伝】

「男性ホルモンの変化が身体に影響を表しやすいかどうか」という要素は、X染色体に関連していると考えられています。そのため特に母方からの遺伝が影響を及ぼしやすいわけです。母方祖父・母方の兄弟等に薄毛・抜け毛の人が多い場合、男性ホルモンの影響力が強い可能性が考えられます

【5αリクターゼ分泌量の遺伝】

全項目「男性ホルモンの変化」で解説したとおり、AGA(男性型脱毛症)では男性ホルモンをDHTへと変化させる「5αリクターぜ」という酵素の働きが大きな要素を占めています。

この5αリクターぜの分泌量には個人差がありますが、分泌量の多さ・少なさには遺伝による影響が大きいと考えられています。母・父いずれかに5αリクターゼが分泌されやすい遺伝子があれば、その遺伝は子供に受け継がれます

上記の点から、AGA(男性型脱毛症)における遺伝の影響力は女性の薄毛に比較すると比較的大きいと言えるでしょう。ただし上記はあくまでも「AGAの『可能性』を受け継ぐ」というものであり、必ずしも遺伝によって抜け毛・薄毛が発症するわけではありません。

薄毛・抜け毛の発症には遺伝以外に生活習慣・ストレス等の様々な要素が絡んでおり、遺伝による薄毛の影響力は全体の1/4程度であると考えられています


その他の原因 ~皮膚炎~

皮膚炎

男性の薄毛の原因が、必ずしもAGA(男性型脱毛症)であるとは限りません。中には脂漏性皮膚炎による「脂漏性脱毛症」であるケースも見られます。

「脂漏性皮膚炎」とは、皮脂の分泌が過剰になったことにより常在菌である「マセラチア菌」が異常繁殖する疾患です。マセラチア菌は増殖を続けながら皮脂の中性脂肪を分解していき、この中性脂肪が頭皮を刺激して炎症を起こします。

【脂漏性皮膚炎の症状】

  • 頭皮のベタベタ感(初期症状)
  • 大きなフケが出る
  • 頭皮に赤みが見られる
  • 頭皮に痒みが見られる
  • 頭皮がカサカサしたりカサブタができる(中期症状)
  • 頭皮から浸出液が出ている

頭皮に上記のような炎症が起きた場合の毛根へのダメージは甚大であり、毛母細胞の働きが鈍くなって髪が抜け落ちてゆくようになります。


脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎の原因にはビタミンB不足等の食生活の乱れ、ヘアケアの不足・過剰なヘアケアといったものもありますが、ホルモンのバランスが乱れることも大きな要素です。特に皮脂分泌には男性ホルモンの影響が大きいと考えられており、実際に脂漏性脱毛は男性に比較的多く見られる症状となっています。


発症年齢と治療

脂漏性皮膚炎は10代~20代の若年層にも多く見られる炎症であるため、年齢が低く頭皮の異常が見られる場合には「脂漏性脱毛症」の可能性も疑った方が良いでしょう。脂漏性脱毛症の場合には、皮膚科医での治療を受けるのが一般的です。


女性の薄毛の特徴と原因

女性が髪で悩む姿

女性の薄毛の初期症状は?

女性の薄毛の初期症状は下記の2つになります。

  • 髪にハリ・コシがなくなる
  • 髪の分け目が目立つ

髪にハリ・コシがなくなる

髪のハリやコシ

女性の薄毛の場合、「髪のコシの無さ」「ハリの無さ」を初期症状として感じる人が多い傾向にあります。これは様々な原因で毛乳頭から髪細胞への栄養の受け渡しがうまくいかなくなり、髪の生育が正常に行われなくなっているため起こる症状です。


ハリがないとは?

この「ハリ」とは髪の強度を示す言葉で、ハリが強いほど髪に対する圧力や引っ張る力等に耐えることができます。正常な髪であれば髪の毛1本でも150g程度の過重に耐えることができるのですが、ハリが弱くなってくるとブラッシングやブロー等の過重に耐えられず、切れやすい髪になります。


コシが無いとは?

また「コシ」とは髪の弾力性を表す言葉で、コシがある髪はバネのように「元の状態」に戻ることができます。髪の毛が重力によって下に向かって引っ張られても、コシがあればフワッとした根本をキープできるわけですね。ところがコシがなくなってくると根本はペタッとしやすくなっていくのです。


ハリ、コシが失われると起こる症状

下記のような点が気になる場合、髪から「ハリ」「コシ」が失われてきている可能性が大きくなります。

ハリ、コシが失われると起こる症状

  • 切れ毛が目立つようになった
  • カールブラシやアイロンでセットをしても取れやすくなった
  • トップのボリュームが出しづらい
  • ヘアセットがうまくまとまらなくなってきた

髪の分け目が目立つ

髪の分け目が目立つ

私達の髪は元々、つむじに沿って放射状に生えています。この髪の向きをヘアセットによって無理に変えているわけですから、毛穴には意外と負担がかかっています。特に負担の大きな場所が「分け目」で、この箇所の毛根は特に疲弊しやすい状態になっています。

女性の薄毛ではヘアサイクルのうち「休止期(休眠期)」に入る毛が増えていくのが特徴ですが、特に疲れやすい「分け目」ではこの休止期に入る髪が多くなりやすいと考えられています。「生えていない状態(準備期間)」の毛穴が多いことから地肌が目立ちやすくなり、分け目の頭皮がハッキリと見えるようになってきます



女性の薄毛症状が進行すると?

女性の薄毛が初期段階から進行するとの下記2つの特徴がでてきます。

  • 髪全体が細くなる
  • 全体的な髪の密度・ボリュームが落ちる

髪全体が細くなる

細い髪

女性の薄毛(瀰漫性脱毛症・びまん性脱毛症)の場合、男性脱毛症(AGA)のような「短い抜け毛が増える」といった症状はあまり見られません。これはヘアサイクルの「成長期」の短縮化が男性に比べると激しくないためです。

しかし髪の毛母細胞の働きが低下し毛根から栄養や酸素を運ぶ力が衰えることから、髪細胞が十分に増殖しきれず、徐々に髪の一本一本が細くなっていきます。

女性の髪の太さは、太めの方で0.1mm・細めの方で0.6mm程度、一般的には0.8mmというのが平均です。ところが毛母細胞の働きが低下すると太さは10%~20%近くも落ちるため、「元々髪が太めだった」という人が「猫っ毛の人」クラスのボリュームになってしまうこともあります。


全体的な髪の密度・ボリュームが落ちる

ボリュームが落ちる

女性の薄毛(びまん性脱毛症)では、男性型脱毛症(AGA)のような「特定部位の抜け毛が目立つ」ということは、あまりありません。

頭皮全体にある毛穴の中で全体的に「休止期」に入る毛穴の率が増えていくため、頭全体の髪の密度がまんべんなく下がったように感じられます。進行すると髪のスカスカ感・頭皮の透け等が目立つようになります

なおAGAとは異なり毛母細胞の働きが完全に停止することは少なく「髪が生えてくるまでの休止期間が長い」という状態であるため、「髪が生えていない面積」が拡大する傾向は少なめです。


部分的に薄毛が目立つ場合

ただしホルモンバランスの乱れによって男性ホルモンの働きが活発化している場合には、AGAと同様の症状が現れるケースも見られています。

また抜け毛・薄毛の原因が機械性脱毛症・牽引性脱毛症等の物理的な力によるものである場合には、額・つむじといった特定箇所での薄毛・抜け毛が見られることもあります。



女性の薄毛の原因は?

女性の薄毛の原因は下記の6つが考えられます。

女性の薄毛の原因

  • 女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量低下
  • 妊娠/出産(出産後脱毛)・ピルの服用
  • 血行不良・冷え
  • ポニーテール・まとめ髪等による薄毛(牽引性脱毛症)
  • 過剰なダイエット・サプリだけに頼る食生活
  • ヘアカラー・ブリーチ・パーマ等による頭皮ダメージ

遺伝の影響は少ない

男性型脱毛症(AGA)とは異なり、女性の薄毛は遺伝による影響力はほとんど無いと言われています。男性型脱毛症が「隔世遺伝する」という誤解をされるのもこのためです。

「男性の薄毛の特徴」で解説したとおり、AGAの因子となる「男性ホルモンの影響力の強さ」や「5αリクターゼ分泌量」といった要素は親から子へと受け継がれます。そのため父・母のいずれかにこのような因子があった場合、「娘」にも因子自体は遺伝しています。ところが「娘」は女性ですから、男性ホルモンの影響や5αリクターゼ分泌によるDHTの頭皮への攻撃は殆ど受けません。

ただし更にこの「娘」が「孫息子」を産んだ場合にはこれらの遺伝子が受け継がれますから、孫息子にAGAが出現する確率はやや高くなります。もしも孫息子がAGAとなった場合、パッと見ると「祖父から孫息子へ隔世遺伝した」と見られそうですが、実は「女性(娘)にも遺伝しているが、影響を受けていない」のです

ただしホルモンバランスの乱れによって男性ホルモン量が女性の体内で増加した場合、5αリクターゼ活性といった遺伝の影響が現れることも考えられます。従って「遺伝の影響はゼロ!」と言い切れるわけではありませんが、女性の場合にはその他の原因をしっかりと探っておいた方が良いでしょう。

女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量低下

女性ホルモン

女性ホルモンには「エストロゲン」「プロゲステロン」という二種類があり、バランスを取りながら女性らしい体づくりや生理・出産・妊娠等に関わる働きを担っています。

特に「髪」にかかわる働きを担っているのが「エストロゲン」です。エストロゲンは「コラーゲン」や「ケラチン」といった髪・肌の元となる成分を体内で作り出す働きをサポートし、更に血管を広げて血行を改善し、体中に栄養を届ける働きも担っています。エストロゲン(女性ホルモン)が多く分泌されているため、女性は男性よりも髪が丈夫でしなやかなのです。

ところがこの「エストロゲン」の分泌は30代半ばにピークを迎え、その後は卵巣機能が低下する毎に分泌量が減っていきます。ケラチン等の生成が活発でなくなることからヘアサイクルが乱れ、髪が細くなったり、新しい髪が生まれるまでに時間がかかるようになります

下記の項目に思い当たる点が多い場合には、薄毛・抜け毛の原因がエストロゲン等の女性ホルモン分泌低下である可能性が高いと言えます。

女性ホルモンが薄毛にさせてる可能性が高い時の症状

  • 更年期障害(のぼせ・だるさ・イライラ感)等がある
  • 年齢が30代後半以上である
  • PMS(月経前症候群)が重い
  • 生理不順や不正出血などがある
  • 肌荒れ・ニキビ等の皮膚トラブルが起こりやすい

妊娠/出産(出産後脱毛)・ピルの服用

妊娠

髪に関わる女性ホルモンの分泌量が非常に乱れやすくなるのが、妊娠・出産の時期です。妊娠中はエストロゲン・プロゲステロン共に分泌量が急上昇するため、髪の生え変わりサイクルのうち成長期が長くなり、退行期・休止期に入るまでが遅くなる傾向にあります。

カンタンに言うと、普段であれば自然に抜けるべき髪がなかなか抜けなくなるわけです。


授乳期にバランスに変化が

ところが出産を経て授乳期に入る頃(出産後1ヶ月~2ヶ月程度)になるとホルモンバランスが徐々に通常時の状態へと移行するため、髪が一気に退行期・休止期へと入り、抜け毛が大幅に増えることがあります。

これが「出産後脱毛症(産後脱毛症・分娩後脱毛症)」と呼ばれるものです。前述した「びまん性脱毛症」とは異なり、出産後脱毛症では一気に抜け毛が増える点が特徴となっています。


一時的ですが、妊娠サイクルが短いと難しい場合も

この「出産後脱毛症」は妊娠・出産に関連した一時的なホルモンバランスの乱れによるものであるため、症状は出産後6ヶ月~12ヶ月程度で徐々に治まっていくことがほとんどです。ホルモンバランスが戻りヘアサイクルが通常に戻れば、髪の毛はまた新たに生えてきます。

ただし出産から次の妊娠までのサイクルが短い場合などには再度ホルモンバランスが乱れるため、一度減った髪のボリュームがなかなか元に戻らないケースも見られなます。


 ピル服用を辞めると

ピル(避妊薬・PMS軽減のための低用量ピル等)を服用されている方の場合、服用を中止した際に「出産後脱毛症」と同じような症状が起こる場合があります。

30~40代になってから、また妊娠で頬にもやっとしたシミが増えてしまった、という方は少なくありません。もしかしたらそれは「肝斑」かもしれません。

肝斑の最大の原因と言われているのがホルモンバランスの乱れなんです。肝斑について詳しく知りたい方は下記のページで解説していますので、是非ご覧下さい。

肝斑とは?シミとは違うの?原因と治療法と薬~肝斑の疑問をわかりやすく解説


血行不良・冷え

エアコン

体全体の血行の巡りが悪くなっていると頭皮の毛細血管の流れも滞りやすく、毛母細胞から髪への栄養や酸素の受け渡しがうまくいきません。特に女性の場合は男性に比較して血行が滞りやすく、頭皮の血行不良が薄毛・抜け毛の原因となるケースも多いと考えられています


「冷え」は自覚がない場合も

特に近年問題視されているのが、過剰なエアコンの使用・外気との温度差による「冷房病」や、生活サイクルの乱れから起きる「冷え」の問題です。

最近では手足は冷えていないのに内臓が冷えている「隠れ冷え型」のタイプも増えており、冷えの自覚が無いことでますます体を冷やす傾向にあることも指摘されています

薄毛・抜け毛に悩んでいるのに「冷え対策・血行対策」が盲点となっているケースも多いようです。

身体の冷えは、むくみやくすみなど肌にも影響してきます。冷え性で起こる肌の不調や冷え取りのテクニックを下記で解説していますので、是非参考にしてみて下さい。

冷え性改善で美肌を作る!冷えの種類や解消のポイントを徹底解説


ポニーテール・まとめ髪等による薄毛(牽引性脱毛症)

ポニーテール

ロングヘアで髪を結うことの多い女性に起こりやすいのが、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」です。またの名を「結髪性脱毛症(けっぱつせいだつもうしょう)」とも呼びます。これはカンタンに言えば「髪を引っ張り続けることで、髪が抜けやすくなってしまう」というものです。


負担をかける髪型

髪をまとめるために強く引っ張ると毛穴には負担がかかり、更に頭皮の血行も悪くなります。また一本一本は細く軽い髪でも、髪が長いほど下に向かって引っ張る力も強くなるため、毛穴への負担は更に大きくなります。

ロングヘアの場合には髪の総重量が200~250グラム程度にもなり、シニヨンやポニーテール等をしている時にはこの重さを縛った部分で支え続けていることになります。負担のかかる部分の毛母細胞が弱り、新しい髪が生えてこなくなってしまうのです。

この他、近年ではファッションのためのつけ毛(エクステンション)の重さによって牽引性脱毛症となる女性も増えています。


牽引性脱毛症の特徴
生え際

女性に多い「びまん性脱毛症」では髪全体の密度・ボリューム感が減っていきますが、「牽引性脱毛症」では「額・生え際」「後頭部(髪を結んでいる箇所)」等に抜け毛・薄毛が集中する傾向が見られます。

特定箇所の髪の薄さが気になる場合、その原因は固定したヘアースタイルにあるかもしれません。


過剰なダイエット・サプリだけに頼る食生活

過剰なダイエット

近年10代~20代の若い女性にも増えていると言われているのが、過剰なダイエット・食事制限による薄毛の促進・抜け毛の増加です。

いくらヘアケアを丁寧に行っていても、髪の毛を作る元となる「栄養素」が不足していれば健康な髪は生まれてきません。特にケラチンを作るための「タンパク質(アミノ酸)」の摂取は、健康な髪の生成に欠かすことができないものなのです。

ところが「肉を食べると太る」「乳脂肪や卵は太る」といった固定観念からダイエットで動物性食品を全面的にカットしてしまう人も多く、これが薄毛の原因となっているケースが増加しています。この他、亜鉛不足、葉酸不足等の栄養不足が原因となっていることも多いです。

健康な髪を作る食べ物には何があるのでしょうか?下記のページで髪が作られる仕組みや髪に良い食べ物を紹介しています。是非参考にしてみて下さい。

白髪の予防・改善は食事がカギ!白髪予防の栄養素6つとおすすめの食べ物


サプリの過剰摂取

また最近問題視されているのが、「栄養バランスを取るために」とサプリメントや栄養ドリンク類を過剰に摂取するケースです。サプリや栄養ドリンクはあくまでも栄養を補助するもので、食べ物による栄養摂取を全カットしてサプリのみで栄養を補おうとすれば「過剰摂取」となる可能性が大きくなります。

サプリメントを過剰摂取して起こるのが、腎臓や肝臓への負担です。肝臓が疲れ切ってしまえば、せっかく摂取した栄養素も体内で使用できる形に還元されず、体外へ排出されてしまいます。結果として髪は栄養不足の状態となり、抜け毛・薄毛を進行させてしまうのです。


ヘアカラー・ブリーチ・パーマ等による頭皮ダメージ

ヘアカラー

ヘアスタイルにこだわる男性も最近では増えているものの、ヘアカラーやパーマ等の利用率は男性と女性で大きな開きがあります。

ヘアサロン等でヘアカラーを行った経験がある女性は全体の44%、セルフカラーを加えれば65%以上にもなるのに比べ、男性でサロンでのヘアカラー経験があるのは全体のわずか5%程度です。ヘアカラーやパーマ等の美容施術による髪・頭皮へのダメージは、女性の方が大きいと言えます。


頭皮ダメージとカラーの適正回数

アルカリ性の液剤を使うカラーやパーマ等が頻繁に行われると、頭皮や髪へのダメージは徐々に蓄積されていきます。特にヘアカラーの薬剤成分は頭皮に残りやすく、ヘアサイクルを乱す大きな原因となるのです。

頭皮のターンオーバーを考慮した上でのヘアカラー頻度は2~3ヶ月に一度が限度であると考えられています。月1回といった頻繁なペースでパーマ・カラーを繰り返している場合、頭皮の疲れが薄毛・抜け毛の原因である可能性も高くなります。


おわりに

男性の薄毛の治療では、まずAGA(男性型脱毛症)であるかどうかの切り分けを行い、AGAである場合には要因となるDHTを抑制する薬を服用しつつ、AGAを進行させやすくなっている生活習慣の改善を行う方式が多く採用されています。

これに対し女性の場合には個人による原因の違いが大きいため、まずは検査で体の状態をチェックし、生活習慣等とあわせて原因を探っていくことがほとんどです。いずれにしても「原因特定」をしっかりと行うことが薄毛・抜け毛を改善する為の大切な要素であることに変わりはありません。

現在ではAGA専門の病院の他、びまん性脱毛症等の女性特有の薄毛対策を診察する女性専門クリニックも多数開設されています。「抜け毛が気になる」「髪が細くなってきた」と感じたら、専門のクリニックで原因調査を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

早い時点で原因を特定することが、将来の髪を守ることに繋がります。





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