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「薄毛の範囲が広がってきている気がする」「そろそろ薄毛の対策をした方がいいかも...」こんな時、「薄毛対策には何を選べばいいんだろう?」と迷ってしまう人も多いことでしょう。
自分にとって最適な薄毛対策をするためには、それぞれの対策の「良い面」だけでなく「悪い面」もきちんと理解した上で選択をすることが大切です。
ここでは薄毛対策として選ばれることの多い「かつら」と「植毛」について、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。「ベストな薄毛対策」を見つけるための参考にしてみてくださいね。
かつらのメリット・デメリット
かつらの種類
「かつら(ウィッグ)」は、薄毛対策としてもっともメジャーな手段として知られている存在です。ただしひとくちに「かつら」と言っても、実際には以下のような多彩な種類があります。
【使用範囲による分類】
全頭用 |
生え際から後頭部まで全てをカバーする形のかつらです。「フルウィッグ」とも呼ばれます。 |
部分用 |
生え際用・つむじ用等、髪の一部分をカバーする形のかつらです。「部分かつら」「ヘアピース」とも呼ばれます。この他ファッション用つけ毛である「エクステンション」も部分用かつらの範疇に入ります。 |
【使用者性別による分類】
男性用かつら |
原則としてはショートスタイルで「自然さ」「ナチュラルさ」を追求した制作が行われます。 |
女性用かつら |
ショートスタイルからロングヘアスタイルまで幅広い形状があります。自然さだけでなく「オシャレさ」「ファッション性」等が強調されたものも多いです。 |
【製作工程による分類】
オーダーメイド (フルオーダーメイド) |
頭の形や髪の流れ・毛質等をチェックし、一人ひとりに合わせた制作が一から行われるスタイルのかつらです。 |
セミオーダーメイド |
既に制作されている製品から髪の長さ等を微調整していくスタイルのかつらです。 |
既製品 |
製品は既に仕上がっており、長さ等の微調整等は自分自身で行うか美容院等で行います。 |
【素材による分類】
人毛かつら |
人間の髪の毛を使用したかつらです。既に染めやパーマ等の化学施術が行われているものと、施術なしのものがあります。 |
人工毛かつら |
ナイロン・ポリエチレンなどの化学繊維によって作られているかつらです。現在では人毛と変わりのないように見える高級繊維も使用されるようになっています。 |
ここでは薄毛対策用の全般的なかつらについて、メリット・デメリットをご紹介していきましょう。
かつらのメリット
かつらのメリットは下記の5点があげられます。
良点
- 効果を即座に実感できる
- ストレスを早く緩和できる
- 手術・通院等の必要が無い
- 種類が多く対策費用を選べる
- 技術の向上で「自然な仕上がり」も可能
効果を即座に実感できる
かつらの最大のメリットとして挙げられるのは、装着すればすぐにフサフサとしたボリュームのある髪を手に入れられる点でしょう。育毛剤やAGA対策用の内服薬での治療、また植毛等の様々な薄毛対策の中で、もっとも早く対策効果が得られる点が魅力となっています。
「かつらを手に入れよう!」と思ってから、実際に手にできるまでの速さもポイントです。既製品であれば、店舗で気に入った製品を見つければその日に購入することができます。またオーダー品についてはメーカーによって納品期間が異なるものの、原則的に以下のような比較的短い時間でオーダー品を受け取ることが可能です。
オーダーメイド※ |
注文(微調整)から平均1週間~2週間。 |
セミオーダーメイド |
注文から平均3週間~5週間 |
※フルオーダーメイド
「一刻も早く薄毛対策をしたい!」という人にとって、すぐに対策ができる「かつら」はとても助かる存在です。
ストレスを早く緩和できる
抜け毛が増える原因としては「ストレス」の影響も挙げられています。「髪が気になって出かけられない」「オシャレが楽しめない」...このようなストレスが自律神経を失調させて血行を悪化させ、抜け毛を更に増やしてしまっていることもあるのです。
かつらによって手軽に薄毛をカバーできれば、このようなストレスによる薄毛の促進に早めに対処できます。特にストレスを起因とした円形脱毛症等の場合には、かつらによる対策で薄毛の促進が緩和・改善されるケースも多く見られる傾向です。
手術・通院等の必要が無い
化粧品・医薬部外品に分類される「かつら」は、購入にあたって医療機関を受診する必要がありません。以下のような様々な方法で購入をすることができます。
【かつら取扱店舗一例】
- かつら専門メーカー・取扱店舗
- デパート・百貨店
- 理容室・美容院
- 薬局・ドラッグストア
- ディスカウントストア
- オンライン通販(Amazon・楽天等含む)
「時間が無いので手軽に薄毛対策を始めたい」という人にとって、店舗に一度赴けば対策がスタートできる「かつら」の便利さは重宝するものです。
また既製品かつらであれば、Web通販で誰にも知られずに購入することも難しくありません。ライフスタイルに合わせた購入方法が選べる点では、他の対策より利便性に優れていると言えます。
種類が多く対策費用を選べる
かつらを取り扱うメーカーは数多く、その価格帯も幅広くなっています。
かつらの価格
かつらの種類 |
価格 |
既製品かつら |
5,000円~20,000円 |
オーダーメイドかつら※1 |
数万円~150,000円 |
フルオーダーメイドかつら※2 |
200,000円~500,000円 |
特に既製品かつらの分野では、2015年に小林製薬株式会社が安価な女性用ヘアウィッグの販売展開に乗り出したことを起因として、大幅な価格破壊が始まっています。
「薄毛対策を始めたいけれど、費用があまりかかるのは困る」という人にとって、リーズナブルな価格の既製品バリエーションが増えたことは大きな魅力と言えるでしょう。
近年ではフルオーダーメイドかつらについても1ヶ月制の料金プランを用意するメーカーが増え、手軽に高級かつらを購入できるようになりました。「経済事情に合わせながら無理なく薄毛対策をしたい」という人にも「かつら」は助かる存在となっています。
技術の向上で「自然な仕上がり」も実感できる
かつては「かつら=不自然な印象」というイメージを持たれる方も多かったものですが、近年のかつら技術の向上によってこのイメージは払拭されるようになっています。
多くの顧客から選ばれている一流メーカーのものであれば、「自毛ではない」とバレるケースが非常に少なくなっているのです。
高品質かつらの質の向上
特にフルオーダーメイドタイプ(高品質かつら)は以下のような点で仕上がりが自然であり、多くの人から選ばれています。
ツヤ感
自然さ/不自然さを印象づける大きな要素がツヤ感(キューティクルの状態)ですが、一流メーカーのオーダータイプでは上質な素材が使われており、自毛と変わらない印象付けをしてくれます。
フィット感
個人差の大きい「頭の形」や「髪の流れ」に合わせた作りとなっているためナチュラルな仕上がりとなり、またつけ心地の良い点も魅力となっています。
髪質・髪色
同じ「黒髪」と言っても、その色味は人によって微妙に異なるものです。自毛に最も近い髪色・髪質をオーダーすることで、より違和感の無い仕上がりに近づけられます。
触り心地
人毛タイプ(レミー人毛等)は最も手触りがナチュラルで、手で実際に触れても違和感がほぼありません。また近年では人工毛タイプでも人毛に非常に近い高品質なファイバーを使用した製品が多く出回るようになっています。
かつらのデメリット
かつらのデメリットは下記の6つあります。
悪点
- 固定方式によっては薄毛が促進することも?
- 通気性が悪いと頭皮にダメージ
- メンテナンスの手間がかかる
- スペア購入が必要となることも
- 廉価製品ほど不自然になりやすい
- 買い替え購入の必要がある
固定方式によっては薄毛が促進することも?
かつらの固定方式にはいくつかの方法がありますが、クリップ等で装着するかつらでは頭皮の同じ部分に摩擦や圧力がかかります。
元々の生えている髪がかつらにより引っ張られたり頭皮が傷ついたりすることで毛母細胞が弱り、自毛が更に弱ってしまう可能性も否定できません。
また頭と合わないかつらを無理に装着している場合、毛根が圧力によって傷んだことからヘアサイクルが大きく乱れ「機械性脱毛症」となる恐れもあります。
通気性が悪いと頭皮にダメージ
かつらは繊維状のネット(網目のようなもの)に人毛・人工毛を結びつけたり、分け目やつむじを自然に見せるために人工皮膚(ウレタン皮膚・布製皮膚)に植え付ける形で制作されています。
通気性が悪い素材がネットや人工皮膚に使用されている場合、元々の頭皮が蒸れやすく、頭皮環境を悪化させてしまう可能性もあります。
高品質かつらについては長時間の着用を考慮した通気性の良い素材が使用されるようになり、通気性の問題は大幅に改善されています。
しかしながら廉価製品においては、いまだ通気性を考慮していないようなかつら制作が行われているのも実情です。特に皮脂分泌が活発である男性の場合には、通気性の良さを考慮していく必要があります。
メンテナンスの手間がかかる
かつらは「一度買えば、そのまま繰り返し何度でも使える」というものではありません。自毛と同じく使用後にはメンテナンスを行う必要があります。
セルフメンテナンス(自分で行うメンテナンス)
ブラッシング
静電気が起きないよう、丁寧に髪を梳きます。
洗浄
製品によっては専用シャンプーが必要です。
乾燥
カビを生やさないよう、風通しの良い場所で直射日光を避けて乾燥させます。
保管
型崩れを防ぐため、ウィッグスタンド・専用ホルダー等を使用することが推奨されています。
セルフメンテナンスをしっかり行わないと、かつらの髪のもつれや傷みが激しくなりかつらの寿命が縮まってしまいます。自毛に比べてより繊細なメンテナンスが必要であるため、その時間を「手間」と感じる人も居るかもしれません。
定期メンテナンス(専門家によるメンテナンス)
自分でできるメンテナンスは洗浄やブラッシングに限られています。髪の絡まりや人工皮膚の損傷といったトラブルが起こった場合には、速やかに専門家による補修を行ってもらうことが大切です。
また、かつらの場合には微細なトラブルに使用者が気づいていない場合もあるため、定期的なメンテナンス(検査)でトラブルを回避をすることが推奨されています。きちんとしたメンテナンスを受けることが、かつらの寿命を延ばすことに繋がります。
一流メーカーでは購入後のサポートプランを設け、常時無料でメンテナンスを受け付けるところもありますが、メーカーによってはアフターサポート毎に料金が発生するところもあります。
スペア購入が必要となることも
かつらを使用した生活の中では、以下のようなシーンで「現在のかつらが使用できない」という状況に陥ることも考えられます。
スペアが必要となる場合
- かつらの人工皮膚やクリップ部等が破損して使用できない(修理が必要になる)
- かつらが燃えるといった不慮の事故が起きる(新調が必要になる)
- かつらに強い匂いがつくなどで洗浄をしたが、使用までに乾燥が間に合わない
このうち「破損修理」の対応については、メーカーによっても対応期日が異なります。一流メーカーの場合には「即日」といった対応を可能とするところもありますが、修理完了までに数日を必要とするケースも少なくありません。
いずれにしても「今のかつらが使えない!」となった時、スペアが無く困ってしまうという方が多いのです。原則的にはスペア購入の必要性があると考えておいた方が良いでしょう。
廉価製品ほど不自然になりやすい
年々「自然に見える」という技術が向上しているかつら製品ですが、その分、高品質製品と廉価製品との間の差には大きな開きが生まれるようになっています。
ディスカウントストア等で購入できる廉価製品(既製かつら)についてはその毛質にも安価なファイバーが使用されており、どこかギスギスとした人工的な雰囲気がある点は否めません。
「とりあえず『かつら』を試せる」という点では便利な既製かつらですが、「かつらっぽさ」が出やすい点は予め留意しておいた方が良いでしょう。
「自然さ・ナチュラルな仕上がり」を追求するのであれば、信頼できるメーカーのオーダーかつらを選択されることをおすすめします。
買い替え購入の必要がある
いくらメンテナンスをしていっても、かつらには「寿命」があります。人工皮膚部が経年劣化してカンタンに毛髪が抜ける状態になってしまったり、毛先が傷んでチリチリとした状態になってしまうのです。製品や使用頻度、メンテナンスの丁寧さによっても寿命の長さは変わってきますが、一般的な「買い替えタイミング」は以下のとおりとなっています。
かつらの寿命
かつらの種類 |
寿命 |
オーダーメイドかつら (高品質) |
約2年~4年 |
オーダーメイドかつら (普通品質) |
約2年~3年 |
既製品かつら |
3ヶ月~1年 |
人毛かつら |
約1年~2年 |
使い捨てかつら |
2・3週間~1ヶ月 |
初期購入時には「安い!」と思える既製品かつらですが、品質の悪いものを購入するとそれだけヘタるのも早く、結果としてコストが嵩んでしまうことも考えられます。
また手触りの良さやヘアカラー等に対応している点が魅力の「人毛かつら」は、天然製品である分だけ劣化が早い点にも留意しておきましょう。
植毛のメリット・デメリット
植毛の種類
「植毛」とは、頭皮に髪を植え込む外科手術です。自分の後頭部の毛を採取して植え込む「自毛植毛」と、ナイロン等の化学繊維でできた人工毛を植え込む「人工植毛(人工毛植毛)」があります。
自毛植毛 |
自分の後頭部の毛を採取して植え込む |
人工植毛 (人工毛植毛) |
ナイロン等の化学繊維でできた人工毛を植え込む |
しかし、人工毛植毛については副作用・後遺症といった問題が近年指摘されるようになり、海外では人工毛植毛を規制する国も増えてきました。
日本でも「自毛植毛」が主流となりつつあります。ここでは植毛で選ばれることの多い「自毛植毛」のメリット・デメリットについて解説していきましょう。
また、自毛植毛の種類別の特徴については下記ページで詳細に説明しているので一緒にご覧ください。
あなたに合った薄毛対策はどれ?自毛植毛の種類とメリット・デメリット
植毛のメリット
植毛のメリットは下記の点があります。
良点
- 自然な仕上がり
- 通気性の良さ
- 自毛植毛なら拒絶反応の不安も少ない
- 自毛植毛が定着すればメンテは不要
- ヘアアレンジも可能
自然な仕上がり
一本一本の毛を毛穴に植え込んでいく「植毛」は、上手に作り上げればとても自然な状態となるのが最大のメリットです。きちんとした技術を持ったクリニックで植毛施術を受ければ、他人から違和感を持たれるような心配がありません。ナチュラルに自毛がフサフサと生えた状態を得ることができます。
通気性の良さ
毛を植え込み定着させるスタイルの「植毛」では、かつらのようにネット・人工皮膚等で頭皮や地毛を包む必要がありません。そのため頭皮は自然に髪が生えているのと同じ状態を維持することができ、「ムレ」によって頭皮環境を悪化させるといった心配はゼロです。
自毛植毛なら拒絶反応の不安も少ない
植毛が成功するか否かは、植え込んだ株がきちんと定着するかどうか...つまり拒否反応・拒絶反応が出ないことが肝になります。自毛植毛の場合には自分自身の毛を植え込むため体の拒否反応が出にくく、定着をしやすいのが魅力です。
自毛植毛が定着すればメンテは不要
自毛植毛の場合、植え込んだ株が定着をすれば毛穴から髪が繰り返し生えてくるようになります。定着後には髪が自然に生えている状態と同様になり、特別なメンテナンスを行う必要はありません。一生涯といった長期的な目線で見た場合、ランニングコストは低く抑えられる可能性が高いです。
ヘアアレンジも可能
自毛植毛が定着をすれば、カットやパーマ・ヘアカラーといったヘアアレンジも自由に行うことができます。髪の毛が自然に生えている時と同じように、ナチュラルなヘアスタイルを制限なく作ることが可能です。
植毛のデメリット
植毛のデメリットは下記のものがあげられます。
悪点
- 対策完了までに時間がかかる
- 費用がかかる
- 通院・手術等の手間がかかる
- 一時的に毛が抜けることがある
- 頭皮に傷や後遺症が残ることがある
対策完了までに時間がかかる
植毛はかつらのように「対策を始めたらすぐにフサフサの状態にできる」というものではありません。自毛植毛の場合、髪が生えそろうまでには平均して6ヶ月~1年以上の時間がかかります。
また髪を移植する範囲や定着率によっては、それ以上の時間がかかる可能性も否定できません。「今すぐ薄毛を目立たなくしたい」「スピーディーに対策をしたい」という人にとっては、植毛にかかる時間は大きなネックとなります。
費用がかかる
植毛は外科手術を伴う医療行為であり、専門の医療機関(クリニック)で施術を受ける必要があります。ただ疾病の治療といった範疇ではないので、国民健康保険・その他健康保険の適用を受けることができません。100%自己負担での診療・手術となるため、費用が高額となることが最大の難点です。
自毛植毛の費用
平均100万円~150万円(2,000株前後の植毛の場合)
「宣伝ではもっと安い価格が提示されていた」と感じる人も多いかもしれませんが、自毛植毛の費用は「範囲」だけでなく「密度(株数・グラフト数)」で変わってきます。
「料金が安い=植え込む株数が少ない」という可能性もあるわけです。料金を極端に抑えて植える髪の量(株数)を少なくしたことで、髪の密度が少なくボリューム感が出なかったり、施術後に元々の毛が抜けてきたことで再植毛が必要となるケースもよく見られています。
「長期的な薄毛対策をする」という意味では、原則として100万円以上の出費が必要となることは覚悟しておいた方が良いでしょう。
通院・手術等の手間がかかる
植毛では、以下のようなプロセスを経て髪の移植を行っていきます。
- 医師による診察(健康状態のチェック)
- 植毛計画の立案
- 自毛(ドナー)を採取(採取手術)
- 株分け
- 移植手術
- アフターケア
このうち、ドナー採取や移植手術が一回で終わるということは原則としてありません。一度に植えられる範囲・株数は限定されているため、2回~3回以上の手術が必要となるケースがほとんどです。手術前の診察等を含め、複数回の定期的通院が必要となります。
仕事は?入院は?
植毛手術にかかる時間は1回あたり4時間~7時間程度で、いわゆる「日帰り手術」が可能です。ただし、術後1日~2日には最悪の場合出血をする(血が滲む)といった恐れもあることから、仕事等を休んで安静にしていることが推奨されています。
植毛のために定期的な休みを取る必要が出て来ます。「仕事が忙しい」という人、「休みを自分のためだけに使えない」という人の場合、上記のような時間の確保が必要となる点がネックとなることも考えられます。
一時的に毛が抜けることがある(ショックロス)
自毛植毛を行った場合、一時的な抜け毛の増加である「ショックロス」という現象が起きることがあります。以下のような原因によって、植えた毛以外の自毛が抜けてしまうのです。
ショックロスの原因
- ドナー採取・移植手術時に麻酔注射をしたことによる頭皮負担
- 傷やかさぶた等が発生したことによるヘアサイクルの一時的な乱れ
- 栄養分を必要とする毛が増加したことによる周辺の毛の栄養不足
ショックロスの影響は原則として一時的なものであり、ヘアサイクルが安定することで抜けた髪は再度生えてきます。しかし、髪がきちんと生えそろうまでには数ヶ月から一年がかかるため、その間は薄毛の状態が現在より目立つ可能性も高いのです。
頭皮に傷や後遺症が残ることがある
頭皮に対して外科手術を行う植毛では、以下のような傷や後遺症が残る可能性があります。
ドナー採取による傷
自毛植毛では、AGA(男性型脱毛症)等の影響を受けていない後頭部等の毛をドナーとして採取し、薄毛となっている部分に植え込んでいきます。
ドナーの採取法にはARTUS植毛・FUE法・ストリップ法(FUT法)等があり、このうち切開を行うFUT方の場合等には切開の傷が残る可能性があります。
また切開をしない方法は傷の範囲が小さく治りが良いとされていますが、技術の低いクリニックによる施術ではケロイド状のようなキズ跡ができるケースも見られています。
植毛後にできる「ピットスカー」
「ピットスカー(pit scar)」とは、毛を植え込んだ後の毛穴部分が陥没する現象を指します。オレンジやレモン等の柑橘類の皮のように、頭皮が凸凹とした状態になってしまうのです。
「ピットスカー」はナイロン毛等を植え込む「人工毛植毛」で多く見られる副作用であり、「人毛植毛(自毛植毛)」での症例は比較的少ないと言われています。
ただし「機械式植毛」「くり抜き式植毛」等の手術方式によっては自毛植毛でもピットスカーが起きる可能性があるので注意が必要です。
植毛の「定着」に失敗することも
自毛植毛がきちんと定着すれば、その後も繰り返し毛が生えてくる「発毛」の状態になり、自然な髪の毛を手に入れることができます。
自毛植毛の定着率は比較的高いと言われており、通常定着率95%以上を誇るクリニックもあるほどです。
しかし必ずしも植えた髪の毛が定着をする確約があるわけではなく、以下のような要因によって植えた髪が定着せずに抜け落ちてしまう(発毛をしない)可能性もあります。
【自毛植毛の定着失敗の要因】
- 施術を受ける人の頭皮環境状態
- ドナー採取時の毛根の損傷(採取者の技術力の低さ)
- 移植時の密度の不適格さ(過剰な植え込みによる定着失敗)
このうち特に大きな要素となるのが、ドナー採取時の技術力や、移植時の的確な密度を考えた移植計画の立案が行われているかどうかです。他の外科手術と同様、手術の成功・失敗には施術側の技術力・経験値が大きく関わってくることになります。
仕上がりが不自然になることがある
「自然な仕上がり」を最大のメリットとする自毛植毛ですが、その出来栄えについては施術者(医師)の技術力が大きく左右をすることになります。
特に目立ちやすい生え際
特に出来栄えが目立ちやすいのが、「生え際」の生えそろい方です。生え際の形は人によって微妙に異なり、個々の頭の形に沿った微妙なカーブを描いています。また生え際部分には産毛のような髪や細い髪が生え、頭頂部に向かって徐々に太い髪へと移行することで「自然な雰囲気」が生まれます。
ところが、技術力の低いクリニック等の植毛施術では、毛流れや濃さ等の判断がきちんと行われておらず、生え際がまっすぐ一直線のようになってしまったり、生え際がから唐突に太い毛が生え始める(密度・髪の濃さが不自然である)というような出来になってしまうことがあります。
せっかくの「自然さ」がウリの自毛植毛であるのに、まるで廉価製品のかつらを被ったかのような不自然さが生まれてしまうこともあるのです。
仕上りの不自然さをなくすためには
定着率を高め自然な仕上がりを手に入れるには、安定した技術と経験を持った「信頼できるクリニック」を選ぶ必要があります。
クリニックの症例等を見せてもらった上で、出来栄え等をきちんとチェックをしておいた方が良いでしょう。料金の安さや手軽さといった安易な選択をすれば「不満足な結果」となってしまう可能性も高くなります。
AGA治療・生活改善は継続する必要がある
「自毛植毛が定着すれば、AGA(男性型脱毛症)の根本的な解決になる」と思っている方も多いことでしょう。
しかし植毛はあくまでも「新たな髪を植える」という方法であり、体質や頭皮環境が変化するわけではありません。AGAが進行すれば別の部分の髪が抜け始めたり、植えた以外の自毛が抜けてしまう可能性も高いのです。
「フサフサの髪」を維持していくためには、AGAの要因となる男性ホルモンDHTの増殖を抑制していく必要があります。
AGA専門医等での診療を受け、内服薬等による治療を続行していく必要が出てくるわけです。また抜け毛の原因が生活環境・生活習慣等にある場合には、その改善もしていくことが大切です。
「髪が定着すればその後のコストがかからない」という点が魅力の植毛ですが、この「コスト」とは植毛手術のみに限定した話であると考えた方が良いでしょう。
長期的に見た「薄毛対策全般」の費用や手間は術後にも発生する可能性があり、コストが嵩むことも考慮しておく必要があります。
おわりに
かつらと植毛には、それぞれ異なる魅力と欠点があります。またライフスタイル、現在かけられる費用、髪や頭皮の状態...このような点でも、デメリットの許容度は違います。
例えば「いち早く対策をしたい」「手術をするのは不安」という人にとってはかつらの方が向いていますし、「費用や時間がかかっても良いし、時間をかけてクリニックを選んでいく」という人であれば植毛が向いているかもしれませんよね。
個人個人によってメリットとデメリットの受け取り方は変わってきますから、一概に「薄毛治療にはどちらが良い」と言い切るのは難しいところです。「他の人が良いと言っていたから」といった安易な選択をせず、「自分にとって良い方法がどちらなのか」をきちんと考えていきましょう。