クレジットカードの支払いを延滞すると遅延損害金が発生してしまいます。さらに、分割払いを選択していても一括請求を受けることになります。

延滞をそのままにしていると、購入した商品の引上げや強制執行により預貯金などから強制的に支払いをしなければなりません。

また、延滞すると指定信用情報機関に登録されて、新たにクレジットカードが作れなくなることがあります。

遅延損害金が発生する

クレジットカードを利用して支払時期になったときに、預金口座に入金し忘れた、あるいは入金したが金額が足りなかった、ということがあります。こうなると、カード会社では引落しができず、延滞となってしまいます。

支払代金を延滞してしまうと、まず、延滞した時点から支払いまでの間に遅延損害金が発生します。遅延損害金はショッピングとキャッシングのそれぞれの枠でかかる利率が違います。

ショッピングの支払いに関する遅延損害金は消費者契約法という法律に基づいて設定されていて、年利14.6%が上限となっています。

キャッシングは利息制限法や出資法という法律に基づいて年利が設定されています。利息制限法に基づく上限金利は、10万円未満までの借入れは年率20%、10万円~100万円未満は年率18%、100万円以上は年率15%です。

遅延損害金は上限金利に対して1.46倍以下で設定されます(図表参照)。この決められた上限利息をもとに、さらに遅延が発生したときから支払われるまでの間に発生した損害が、遅延損害金として計算されます。

遅延損害金・金利の計算例

キャッシングの金額 遅延損害金
適用利率 計算式 金利(再掲)
借入金10万円未満 年率20% 年率20%×1.46=29.2% 29.20%
借入金10万円以上100万円未満 年率18% 年率18%×1.46=26.28% 26.28%
借入金100万円以上 年率15% 年率15%×1.46=21.9% 21.90%

たとえば、1万円のキャッシングをしていて支払いが15日過ぎてしまったとき、遅延損害金は次のように計算されます。

1万円×29.2%÷365日×15日≒119.999…円

これに、ショッピングの未払いが2万円だったとすると、遅延損害金は次のように計算されます。

2万円×14.6%÷365日×15日=120円

つまり、遅延損害金の合計額は次のように計算されます。

120円+119.999…+12円≒239.999…円

期限の利益の喪失

クレジットカードの契約は、金銭消費貸借契約に基づいています。金銭消費貸借契約に関する書類の一文に、「期限の利益」に関する記述があります。これは「期限の利益喪失条項」と呼ばれていて契約書などには必ず入っています。

「期限の利益」とは、クレジットカードを利用して期日に従ってきちんと支払いをするまでは支払わなくてもよいという意味です。つまり、支払期日までの間は、支払が猶予されています。

「期限の利益が喪失する」というのは、たとえば支払期日までに支払いが行われなかったことが該当します。もしこうした事態が起きると、カード会社は利用者に対して債務弁済の請求をすることができます。

リボ払いや分割払いなどの支払いでショッピングしていたりキャッシングをしていたりしたときは、「期間の利益の喪失」に抵触すると、カード会社から一括請求されることがあります。

もちろん、すぐにこうした事態が起きるわけではありませんが、督促などがきても無視し続けていると、差押えの処置がとられることもありますので、期日に支払うように注意してください。

商品の引上げ

クレジットカードの利点は、支払いを後回しにして購入した商品を手にできるということです。

しかし、支払期日に延滞すると、購入した商品が引上げられることもあります。たとえば、高級時計や自動車、パソコンといった換金性の高い商品は、引上げられて売却されることがあります。

もちろん、延滞をしたからすぐに商品を引上げられるということはありませんが、自己破産などによって債務整理をする際には、こうした購入商品の引上げと換金がなされるようです。

強制執行

強制執行とは、支払いに対する督促をしてもなかなか支払いがなされないとき、カード会社が裁判所に申立てを行うことで、利用者に強制的に支払いを促すことができる処置をいいます。

通常は「支払督促申立書」という書類が送られてきますが、何もしないでいると、数週間後に「仮執行宣言付き支払督促申立書」という書類が届きます。

これは「強制執行を行いますがそれでもいいですか?」という意味ですが、これも無視すると、債務が確定し、強制執行に入ります。

強制執行となると、預貯金や住宅といった財産だけでなく、給与まで差押えとなります。

ここまで進む途中で「異議申立て」によって訴訟に入り、話し合いできる機会がありますが、強制執行になるまでの間、カード会社と話し合う猶予がありますので、支払いの計画をきちんと立てることが必要です。

指定信用情報機関への登録

現在、指定信用情報機関は3つあります。銀行系が加盟している全国銀行協会が運営する全国銀行個人信用情報センター(KSC)、信販・クレジット会社系が加盟している株式会社CIC(シーアイシー)、消費者金融系が加盟している日本信用情報機構(JICC)です。

クレジットカードやキャッシングに関する情報はすべて、指定信用情報機関に登録されます。

情報の登録期間は、CICでは、申込情報は6ヵ月間、クレジット情報は5年間(契約期間中および取引終了後含む)、利用記録は6ヵ月間となっています。

もし延滞すると、取引に関する情報がすべて指定信用情報機関に登録されますから、最低でも5年間は情報が消えることはありません。

延滞の状況、延滞期間などの情報が登録されれば、仮に新しいクレジットカードを申込もうとしたときに影響が出てきますので、注意してください。