クレジットカードには利用限度枠があります。利用限度枠を決めるのは、利用者がどれだけ支払えるかを算出した支払可能見込額がもとになります。
支払可能見込額は「年収-生活維持費-クレジット債務(1年間のクレジット支払い予定額)」で計算され、さらに「0.9」を掛けて上限額が計算されます。
この金額を超えてクレジットカードを利用することはできません。
支払可能見込額(=年収-生活維持費-クレジット債務)
クレジットカードの申込みをするとき、カード会社の審査を受けます。
カード会社では、カードを発行後にクレジットカードのショッピングを利用した人が、きちんとクレジットの支払いができるかどうかの確認をする必要があります。
利用者がどれくらいクレジットによる支払いができるのか、それを見極めるひとつの方法が「支払可能見込額」の算出です。
支払可能見込額とは、利用者の1年間の収入額(年収)から、年間に必要とされる生活費(生活維持費)を差し引き、さらに1年間のクレジットで支払う予定の額(クレジット債務)を差し引いた金額のことです。
複数のカード会社のクレジットカードを利用していれば、それらをクレジット債務として合計して支払可能見込額を算出します。
下記の表は、日本クレジット協会のホームページに掲載された東京23区に居住している場合の生活維持費一覧です。
これを見ると、たとえば年収400万円の3人世帯で、持家ではなく賃貸だった場合、209万円が生活維持費になります。
生活維持費の目安(年収400万円のケース)
居住形態 | 4人世帯以上 | 3人世帯 | 2人世帯 | 1人世帯 |
---|---|---|---|---|
持家かつ住宅ローン無 または 持家無かつ借賃負担無 |
200万円 | 169万円 | 136万円 | 90万円 |
持家かつ住宅ローン有 または 持家無かつ借賃負担有 |
240万円 | 209万円 | 177万円 | 116万円 |
東京23区に在住で、クレジットカードをまったく利用していなかった人だとすると、1年間のクレジット支払い予定額であるクレジット債務がゼロですので、「年収400万円-生活維持費209万円=191万円」が支払可能見込額となります。クレジットカードを利用できる可能額は191万円です。
ただし、これでは万一に備えた余裕がありません。実際には支払可能見込額に0.9を乗じた金額(0.9は、経済産業大臣が告示した率のこと)を利用可能枠としています。
ですから、クレジットカードで利用できる事実上の支払可能見込額は、「191万円×0.9=171万9,000円」となります。
ちなみに、クレジット債務が年間30万円であったとき、上記例で計算すると、「(400万円-209万円-30万円)×0.9=144万9,000円」が新規で申し込めるカード利用枠となります。
なお、クレジット債務を隠そうとしても、カード会社は信用調査機関などでクレジットカードの利用履歴を調査しますので、虚偽の申込みはできません。
ショッピング利用可能枠とキャッシング利用可能枠
クレジットカードの2つの機能、ショッピングとキャッシングは、それぞれ別に利用可能枠が定められています。
ただし、ショッピングで利用可能枠の上限近く利用していると、キャッシング枠が利用できないときもあります。
たとえば、総額30万円のクレジットカード利用可能枠で、ショッピング利用可能枠が30万円、キャッシング利用可能枠が15万円設定されていたとしましょう。
今、ショッピングで30万円を利用していたとすると、キャッシングの利用可能枠が15万円あったとしても利用できません。ショッピングで20万円利用していたとすると、キャッシングは10万円まで利用可能になります。
もしショッピングの利用額が10万円であればキャッシングは15万円まで利用できることになります。反対に、キャッシングを15万円利用していたとすると、ショッピングは15万円までしか利用できないことになります。
どうしてこのような制限が生じるのかというと、クレジット(信用)という枠組みの中にキャッシングも含まれているという前提なので、このような関係になっているのです。
したがって、ショッピングとキャッシングの利用可能枠を知っておくだけでなく、現在のショッピング利用額がいくらで、キャッシング利用額はいくらか、総額の利用可能枠はいくらかを考えてクレジットカードを利用することが必要です。
ショッピング利用可能枠
カード利用明細書を見ると、「カードご利用可能枠」という欄があります。そこに記載されている金額がクレジットカードで利用できる金額になります。
もしカード利用可能枠が「30万円」でしたら、「30万円」までショッピング枠として利用できるということです。
カード利用明細書には、返済方法(一括、分割、リボ払いなど)別の利用可能枠やキャッシングの利用可能枠が記載されていることもあります。
キャッシング利用可能枠
クレジットカードのキャッシング利用可能枠は、ショッピングの利用可能枠に比べて上限額が低く設定されているのが一般的です。これは、ショッピングの翌月一括払いは利息のない「後払い」であるのに対して、キャッシングは利息の付く「返済」であることによるものです。
クレジットカードに関する法律(割賦販売法)と、キャッシングに関する法律(貸金業法)は異なり、カード会社はキャッシングについてより厳しく審査を行っています。
キャッシングの利用可能枠は、クレジット利用可能枠を算出して、そこでカード会社で決められた規定にしたがって上限金額が設けられます。
利用方法はカードローンと変わりませんが、返済についてはショッピングの代金の支払いと一緒に銀行口座で引き落としといった方法となります。