有担保

教育資金やマイカー購入資金、介護資金などの消費性資金、セカンドハウスなどの不動産購入資金、相続税支払資金など、フリーローンとしてさまざまな目的に利用できるのが、個人向け不動産担保ローンです。

最大の特徴は、無担保ローンに比べて低利で借りられること。金融機関によって利用者の年収制限や返済額の制限、取扱事務手数料のほか諸費用がかかるなど異なる点があるため、複数の金融機関の商品を比較して検討しましょう。

個人向け不動産担保ローンとは

一戸建てやマンション・アパートなどの居住用不動産を担保として金融機関に差入れて、資金を低利で借りることができるのが、個人向け不動産担保ローンです。

利用対象者

居住用不動産を担保として金融機関に提供でき、前年税込年収が500万円以上、同一勤務先3年以上勤務など、返済期間中に安定した収入が見込めることが条件となっています。

資金使途

借入れた資金は、健全な消費性資金(教育資金、マイカー購入資金、結婚資金、介護資金など)のほか、海外不動産や別荘、賃貸用不動産などの購入、建築、借換えの資金、相続発生後の相続税支払資金、経営者の自社株購入資金など、さまざまな目的に利用することができます。

なお、企業の事業性資金、カードローン返済、資金使途を確認できない資金に利用することはできません。

借入れ手続き時に、資金使途の証明ができる見積書、契約書、請求書、領収書、遺産分割協議書、株式の評価証明書などの提出が必要です。

借入限度額と返済期間

金融機関および不動産の担保評価額によりますが、数百万円以上数億円程度の資金を借りることができます。ちなみに、不動産の担保評価額は、一般的な流通価格の60%から80%までが目安になると考えられます。

返済期間は35年以内が一般的で、借入れを長期にわたって計画的に返済することができます。

返済金額

毎年の返済金額は、「前年年収(税込)500万円以上で、年収に占める返済金額の割合となる返済負担率が35%以内」であることなどが条件となります。つまり、年収に対して返済金額が著しく高い借入れはできない仕組みです。

借入金利

年2.975%の変動金利です。不動産担保ローンは無担保ローン(年5.975%)に比べると低利で借りることができるのが最大のメリットです(金融機関A社の例。平成27年10月26日現在)。

担保・保証

担保不動産には、原則として第一順位の抵当権が設定されます。万一、ローン利用者がローンの返済ができなくなると、金融機関は優先的に担保不動産を取り上げることができます。

なお、金融機関が担保不動産の状況やローン利用者の返済力を総合的に判断した結果、第二順位以下の抵当権でも借入れ可能になるケースもあります。

また、保証人は不要ですが、担保不動産の共有者や家族名義の担保不動産の名義人は、連帯保証人となる必要があります。

諸費用

ローン契約時には、取扱事務手数料(借入金額の1.08%)のほか、登記費用、印紙代が必要になります。金融機関によっては、担保可能な不動産かどうかを調査するための調査費用が必要になることもあります。

したがって、申込みにあたっては、あらかじめ諸費用の出費として数十万円程度を見込んでおかなければなりません。

個人向け不動産担保ローン(フリーローン有担保型)の概要(金融機関A社の例)
利用対象者 居住用不動産を保有していて担保提供でき、返済期間中、安定した収入が見込めること。
※その他条件
・借入れ時年齢が満30歳以上60歳未満、最終返済時年齢80歳未満
・同一勤務先に3年以上勤務、自営業は営業開始後3年以上経過
・前年度の税込年収500万円以上(自営業は所得)
・団体信用生命保険に加入できること
資金使途 健全な消費性資金(教育資金、マイカー購入資金、結婚資金、介護資金など)/不動産の購入、建築、借換え資金/相続税支払資金、自社株購入資金など
借入限度額 300万円以上2億円以内(10万円単位)で不動産担保評価額の範囲内
返済期間 1年以上35年以内
返済金額 前年年収(税込)500万円以上で返済負担率35%以内とする。
借入金利 変動金利 年2.975%
ただし、借入れの条件等により異なる場合がある。
担保 原則として、第一順位の抵当権を設定
保証 不要。ただし、担保不動産の共有者や家族名義の担保不動産の名義人は連帯保証人となる必要あり。
諸費用 取扱事務手数料(借入金額の1.08%)のほか、登記費用、印紙代が必要。
※借入金利は平成27年10月26日現在。

個人向け不動産担保ローンの借入れ時の注意点

個人向け不動産担保ローンのメリットは、居住用不動産に住みながら低利のローンが借りられる点にあります。

ただし、無担保ローンに比べて低利で借入れできるとはいえ、借入額が大きくなるときは、少しでも借入金利が低く利息の負担が軽いローンを選んで借りることが賢い利用の仕方です。

金利だけでなく、取扱事務手数料などの諸費用も少なくありませんので、複数の金融機関で情報収集して選択することが大切です。

また、マイホームを担保に差入れますので、万一ローンが返済できなくなると、マイホームを手放さなくてはならないケースも起こります。自宅を担保に差入れる際には、将来にわたって十分に返済可能な無理のない計画を立てるようにしましょう。

 
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